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見えているけど、見えていない

次男が小さいころ、子育てに悩んで市の相談を利用したことがあります。
定期的な面談を、6年近く続けました。
その時に、マルチプルインテリジェンスのことを初めて知りました。

次男は視覚や聴覚など身体的にはどこにも問題がありませんでした。
しかし、身体能力に問題がないことと、その能力が他の人と同等に使えるということは違うことなのだということを初めて知りました。

例えば、彼は探し物がとても苦手です。
今でもしょっちゅう
「〇〇はどこにある?」と聞いてきます。

「リビングの棚の上だよ」という答え方だと、なかなかうまく探せません。
「リビングの棚の上から三番目、右から二番目の引き出しの中の、右奥においてあるよ」というとわかります。

大きな景から目的物をひとつだけ見つけ出すということが、彼にはとても難しいことなのです。
人は何かを探す時に、探しているものにフォーカスして情報を処理することができるのに対して、あるタイプの人は多くの情報の中にさがしている目的物も同じ情報として埋もれてしまうのだと、わたしはイメージしています。
だから、具体的にありかを説明することで、彼は探し物を見つけることができます。

マルチプルインテリジェンスで、わたしは「言語、語学」、「内省的」という知能が高く、「視覚・空間的」、「音楽・リズム」の知能が低めです。

考えていることを言語化して説明することは得意ですが、初めていった場所で目的地にたどり着くとか、リズムにのって体を動かすなどは確かに苦手です。
何度も行った場所でも、その場所をいつもと反対の側から見ると迷ってしまったりします。
中学生の時に、行く道と帰る道をいつもべつの道をつかっていたのですが、ある日行く道から帰った時に道に迷ったことがあります。
我ながら、毎日通っている道を逆向きに見ただけで、迷ってたどり着けないことに驚きました。

7歳の子が通っている学校で、学校の周辺地図を作るということを以前やっていました。
夏休みに学校見学に来る外部の人向けに、学園HPに載っているGoogleマップの地図でなく、子どもたちが作った地図でご案内しようという企画でした。

その少し前にわたしもそこへ学校見学へ行き、Googleマップで見事に迷ったので、どんなふうにできているのかなと興味を持って子どもが作った地図を見てみました。

びっくりしたことに、こどもが作った地図がGoogleマップよりはるかにわかりやすいのです。
もしかして、わたしと同じくらいのマルチプルインテリジェンスバランスの子が作成したのかもしれません。

その地図は、道の大きさや、建物の面積が正確ではありませんでした。
大きな看板のドラッグストアは実際の面積より大きめに描かれており、学校へ下る坂道は実際よりずっと太かったのです。
しかしそのデフォルメされた情報は、逆に目的地にたどり着くには、わたしにはとても有用でした。

見えているものが実は見えていない、
聞こえているものが実は聞こえていない。
人によって認知している世界には、かなり大きな違いがあるのです。
どのような認知の特性、癖があるのかを知ることは、自分を理解するため、相手を理解するための大きな第一歩です。

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