松雪泰子さんについて考える(38)映画『脳男』

*このシリーズの記事一覧はこちら*

*松雪泰子さんについて考える(51)「歌は語れ、セリフは歌え」*

松雪さん出演シーンの充実度:5点(/10点)
作品の面白さ:5点(/10点)
公開年:2013年
視聴方法:U-NEXT
 
※以下、多少のネタバレを含みますが、決定的なオチや結末には触れないようしております。
 
バイオレンス・サイコ・アクション・サスペンスとでも呼ぶような映画。
 
なんと読めばいいのか悩んでしまうタイトルだが、「のうおとこ」でいいらしい。見たものを一瞬で記憶する、感情を持たない男が主人公。生田斗真さんが演じた。
 
この脳男が、感情を持たないとはいえ、ダークヒーロー的な立ち位置であることが分かって、真の悪人に対する戦いへと物語が移行する。
 
詳細の説明は割愛するが、猟奇的殺人が起こったり、グロテスクなシーンが出てきたり、忙しい。そういうのが好きな人にはいいかもしれないが、苦手な人はいっそこの映画ごと観ない方がいい。最後まで見ても、何のカタルシスも感じられないと思う。この手の作品にありがちなラスト。
 
松雪さんは、脳男の精神鑑定をする医師役。犯罪者に対する心理療法的アプローチを信条にしていて、どんな人間でも心の奥底に良心が眠っていると信じて止まない。基本的には冷静沈着である一方、医師としての信念を発露させる熱いシーンも出てくる。
 
あまり書くとネタバレになるが、叫び声をあげたり、刃物をつきつけられたりして、激情に駆られるシーンもある。そういう意味では、この映画でしか観られない演技があるのは確かだが、内容が内容だけに、味わい深いものではない。
 
なお、声に関しては、かなり低め。後年の『5人のジュンコ』、『邪神の天秤』のときのような。
 
『アナザヘヴン』『救命病棟24時』『SHINKANSEN☆RX五右衛門ロック』などで共演した江口洋介さんと再び共演。しかし、江口さん演じる熱血刑事が、無駄にかっこつけてるキャラクターで、正直ダサい。ちなみに、後年には『小さな橋で』(2017年)でも共演する。
 
以上、特に面白いとも思えず、見所と思えるシーンも無かった。個人的には、おすすめしない。
 
なお、前田有一氏の「超映画批評」というサイトでは高評価。
https://movie.maeda-y.com/movie/01731.htm

この記事が参加している募集

映画感想文

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?