見出し画像

【授業】「”全員が”学ぶ場」にするために

 一問一答型の簡単な問いを駆使し、生徒に答えさせながらリズミカルに授業を進める先生がいます。リズムがいいので生徒も楽しく参加し、インタラクティブな授業が成り立っているように見えます。しかし、この授業で本当に”全員が”学んでいるでしょうか。”全員で”学んでいるでしょうか。ぱっと答えを言える生徒だけが参加し、実は何も学んでいない生徒は置き去りにされている、なんて状況になっていないでしょうか。

〈私の授業思想〉

 授業は、教室にいる生徒”全員が”学ぶ場であるべきです。勉強が得意な生徒だけが参加し、楽しみ、学んで、苦手な生徒はその場にいるだけ、ということがあってはなりません。授業の一部分だけ、リズムを付けるために一問一答のようなやりとりをするのは構わない(むしろするべき)だと思います。でも1時間ずっとその調子では、勉強の得意な生徒と苦手な生徒の差が広がるばかりでしょう。できる生徒だけとの”対話”は、先生の自己満足に過ぎません。

〈私の工夫〉

 授業を教室にいる”全員が”学ぶ場にするために、私は「個人で考える時間」と「対話する時間」を明確に切り分けています。これは1時間の中で絵も、単元の中でもです。

 1時間の中ではマグネットの表示(「授業スタンダード」と呼ばれることが多いようです)を用い、「考えをもつ(個人で考える時間)」と「考えを深める(話し合ったり説明を聞いたりする時間)」を切り分けます。

 「考えをもつ」の時間には一切発言をさせず、個人で学び、考えたことをノート(授業プリント)に書かせます。今流行りの「主体的・対話的で深い学び」ではないように見えますが、これは「自分との対話」の時間であり、主体的にならないと何も書けません。他人との会話だけが”対話”ではないのです。

 こうすることで”全員が”学び、考えることになります。一人では十分に考えをかけない生徒もいます。そのような生徒は「考えを深める」の時間に、他の生徒の考えから学んだり、教師からの説明から学んだりすることができます。

 十分に考えをかけた生徒も、他の生徒の考えを聞き、自分の考えをぶつける=「他人との対話」で、より深く、多面的に考えることができます。

 また単元末には、テーマに合わせた話し合い活動に1時間、話し合った内容をもとに自分の考えを文章にまとめる活動(「レポート」と呼んでいます)に1時間を使います。こうすることで、”全員が”話し合いや学ぶこと、考えることに参加せざるを得ない状況をつくっています。

〈まとめ〉

 学ぶこと、考えることから逃げてしまう生徒を出してはいけません。授業を”全員が”学ぶ場にするため、”全員が”個人で学び考える時間と、”全員で”話し合い、学びや考えを深める時間を明確に切り分ける工夫が必要ではないでしょうか。

この記事が参加している募集

最近の学び

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?