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好きの原動力

そういえばエッセイにしたことはほとんどないと思うけれど、私はムーミンが好きだ。そこから派生してフィンランドという国が好きになった。


よくフィンランドが好きと公言すると、何回行ったことあるの?と聞かれたりするが、答えは、一度も行ったことありません。だ。


写真の中や動画の中で観るだけの景色に憧れ、文化や教育や挨拶や国民性を本から学び、いつかフィンランドに行くことが夢になった。


正直自分でも、「ホンモノを知らないくせに」と思う。

一度も行ったことないけど大好き!となると周りの人たちの反応も微妙になるし、私もその空気を感じ取る。

私はいわゆる「にわか」なのだと思う。ホンモノに触れたことがないのだから。

ホンモノに触れた瞬間、これは違うとか、思ってた通りじゃないとか言い出す可能性もあって、あっさりフィンランド好きという肩書きを捨てる可能性もあるわけだ。



だけどこれだけは言わせてほしい。

「好き」は限りない原動力だ。


フィンランドが好きという気持ちだけで、日本からも飛行機で飛べば行けるのだという可能性があるだけで、私は今の生活の辛いことを忘れられる。


大袈裟に聞こえるかもしれないけれど、本気で言っている。

嫌な客からのクレームに怯え、悪いと思ってないのに申し訳ございませんと演技しながら言っている時、「ああだけど、この世界にはフィンランドという国があるから」と考える。


まあもうこの仕事辞めるし適当にやってやる、と思うあの気持ちとか、明日休みだし今日くらい頑張るかというあの気持ちみたいな、それを考えるだけで心にスキマができる、あの瞬間に似た感情を、私はフィンランドに抱いてる。


フィンランド、フィンランド、フィンランド、


と、頭で唱えながら満員電車で押し潰され、何もしてないのにおじさんに「どこ見て歩いてんだ」と舌打ちされ、うまく眠れないけど今日も目を瞑って明日の朝を待つ。


フィンランドの何がそんなに魅力なのかは人それぞれなのでここでは語らないことにするが、とにかく、あああの国に行けば笑える気がする、という気持ちが不思議と湧いて、今の生活のことを忘れられると思えて、ある種の宗教みたいなふうに捉えてる。


好きなものって誰にでもあって、好きなものと向き合ってる間はなんでもできてしまうような感覚に包まれて、強く向き合うことができて、自分のことを好きになれる。


好きって限りないパワーを持っていて、自分を救ってくれたりもするし、笑顔にしてくれる。


将来フィンランドに行きまくりたいという理由から今の仕事を選んだというと周囲の人に「?!」という反応されるのも案外面白い。


新しくAmazonで購入したあのフィンランド関連の本は、私にどんなことを教えてくれるだろうと浮ついた頭で今日も考えてる。

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