マガジンのカバー画像

興味深いnoteの記事

294
気になった記事を取り置きするマガジンです。
運営しているクリエイター

2021年7月の記事一覧

芥川賞作家の思い出①

皆さんは「芥川賞作家」と聞いて最初に誰の名が浮かびますか? 私は中村文則(なかむら ふみのり)です。彼の代表作「掏摸」(スリ)に出会うまでは「現代文学は当たり外れが激しい」「小難しいテーマや前衛性に囚われて話があやふや」「太宰や三島や漱石を読む方が間違いない」という偏見が少なからずありました。 ところが彼の小説は(少なくともデビュー作「銃」から「あなたが消えた夜に」ぐらいまでは)、私の好きな旧時代の文学と味わいが似ていました。カミュやドストエフスキー、サルトルらの遺した名

荷風をさがして:1

 「趣味は読書」と言ったときに、小説の話ばかりになるのはなぜか。エッセイや新書や学術書は読書のうちに入らないのか。「好きな作家は?」と問われて、なぜ随筆家の名を挙げてはいけないのか。きまって「誰?」と反応されるのはなにゆえか。世の中はわからないことだらけだ。  とはいっても、わたしにだって好きな小説家くらい、いる。永井荷風である。  荷風の操る日本語、ことに情景描写はえもいわれず美しい。『つゆのあとさき』などは、このタイトルだけで軽くくらっときてしまうほどだ。このブログではこ

芥川龍之介を読む

今日(7月24日)は、芥川龍之介(1892年〈明治25年〉3月1日 - 1927年〈昭和2年〉7月24日(河童忌))の命日なので芥川龍之介を特集します(過去記事から)。芥川は俳句もやっていました。俳号は我鬼。また、芥川龍之介は遺書代わりの俳句を残しています。 最後に鼻だけが息をしている状態で他はすべて死んでしまったということらしい。これを妻に手渡し、医者に渡してくれと。いきなりこんなん読まされてもわかんねーよ。 また愛妻家であったのか妻に宛てた手紙は有名です。 『黄粱夢

原民喜を読む

『夏の花・心願の国』原民喜 (新潮文庫– 1973) 『苦しく美しき夏』 原民喜と生前の妻を描いた作品。原民喜にとって妻は自分の自我を肯定してくれる母のような存在。それは童話を創作することなのだが、その世界の対極が戦時中の現実であるわけだった。突然、特高に逮捕されたり家政婦を雇うと盗みをして去って行ったり。現実は民喜にとって怯える場所だった。 そんな民喜にとって彼の創作する童話を褒め称えてくれる妻の存在はなくてはならない人だった。二人の世界は天上界だった。原民喜が翻訳した

川端康成と梶井基次郎 伊豆湯ヶ島での邂逅

一九二六年──それは元号が大正から昭和に変わった年の大晦日、梶井基次郎が単身伊豆湯ヶ島を訪れる。梶井はこの時25歳。東京帝大を中退し、持病の養生のためにやってきた。 年が明けた元旦、彼は湯ヶ島を拠点にしている川端康成に会う。川端はこの時27歳。東京帝大在学中に同人活動に取り組み、菊池寛を訪ねてその才能が認められてから数年が経つ。「新感覚派」と呼ばれた当時最も若い作家たちの旗手と目され、前年には秀子と結婚している。梶井は若い世代の作家の中で、唯一川端だけを尊敬していた。 川端は

専門家が語る浮世絵の話は、とても興味深く、実に奥深い

山種美術館では、開館55周年を記念して「山種美術館所蔵 浮世絵・江戸絵画名品選―写楽・北斎から琳派まで―」を開催しました。 その関連イベントとして、7月17日にオンライン講演会を開催しました。 講師は国立歴史民俗博物館教授の大久保純一(おおくぼじゅんいち)先生。 浮世絵研究の最前線で活躍され、現在は町田市立国際版画美術館の館長もつとめていらっしゃいます。 1.当館の浮世絵コレクションとの関わり大久保先生が当館の浮世絵コレクションを初めて知ったのは、今から30年前のこと。

田山花袋「蒲団」1ー1

<今読んでも面白い「蒲団」の魅力> 前回まで告白形式の小説のパロディーともいえる谷崎潤一郎の『痴人の愛』を読みましたが、今度は日本の近現代文学に特有の告白形式の文学といわれる私小説、その私小説の元祖とされる『蒲団』をとりあげます。  この小説は、文学史では定番の超有名作品なのですが、一般的には今ではほとんど読まれていないし、知られてもいないと思います。しかし作品自体は実際に読んでみると、今読んでも(いろんな意味で)面白い。古臭いことは古臭いが、古臭いなりの面白さがあります。

pure life diaryとは

人生の純度が上がる手帳 pure life diary 好評につき、2021年下半期版は200冊完売! 現在2022年版の予約受付中です! こちらの記事では、pure life diaryをつくったきっかけ、pure life diaryの特長や使い方、誰でも参加できる無料ワークショップのご案内、2022年版の最新情報の受け取り方などをお伝えします。 pure life diaryをつくったきっかけテクノロジーの急速な進化によって、世界は人類史上かつてない速さで便利に

【関東近郊】温泉読書スポット厳選7選

こんばんはtagd.book編集部の令和寛です。 本日は、関東近郊の日帰り温泉読書スポット7選を温泉を熟知した方々とのコラボ企画ということで記事にしてみました!ぜひ最後までご視聴してください。 1 瀬音の湯 山に囲まれた、秘境の地。 見渡す限りの山景色を満喫しながら、露天風呂を楽しめる知る人ぞ知る幻の秘境温泉です。 ひぐらしの鳴き声と沈みゆく夕日を眺めながらの 露天風呂+露天サウナの黄金タッグは無敵です。 温泉後は、変わらぬ山景色で、コーヒー牛乳を片手にテラス席で身

noteで収益化に成功した【ないと】の無料コンサル受付中♪

先月末にサークルメンバーが100人を超えましたという事で、ZOOM交流会を開催しました。今月に入り、すでに加入者数が115名を超えています。 来月にはnoteマルシェを開催を予定しています。 入会特典として無料コンサル受付中ないと倶楽部に加入すると1時間の無料コンサルを受けることができます。すでに15名ほどの方にご利用いただき、笑いあり、涙ありのコンサルで大変好評を得ています♪ 2週間の有料コンサルではすでに60名、無料コンサルでは15名ほどの方とじっくりと話をしてきま

似合う色を極めよ〜パーソナルカラー〜

久しぶりに髪を切った。 ショートなので2ヶ月もしたら大変なことになるが、今回は3ヶ月以上ぶり。 伸びるとまたそれはそれで評判が良く、なかなか切りに行けなかったのだが、ボリュームがすごいことになり慌てて切りに行った。 巻いても映えるヘアスタイルにした。 さて、今日は本当に久しぶりに鮮やかな黃色の服を着た。 パーソナルカラーとは私のパーソナルカラーはウインターオータム。ウインターが一番似合って、次にオータムが似合う。 パーソナルカラー パーソナルカラー(英:Color an

罪深きノートの世界

私は、文房具が大好き。 中でも、ノートが好きで (ノートという響きからしてもう好き) 小さいころからノートを買ってもらってはお絵描きしたり 文字を書きなぐったり、放置したり… コピー用紙を束ねて折ってホチキスでとめて 「ノート!」とかって遊んだりもしてたから、 紙そのものが好きなんだろうなあ。 大人になって、いろいろなことに余裕ができて それはもうたくさんのノートと出会い、別れてきた(おおげさ) そんなノートフリークな私の現在のストックノートがこちら。 Dingba

三咲薫さんへのアンサー記事

先ほど、こちらの小説を投稿したところ 三咲薫さんからコメントをいただきました。 曰く 「すみません。意味が分かりませんでした。幸せって、どういう意味あい?」 坂口安吾は名作「白痴」の意図を聞かれたところ 「意図なんて全く分からない」と言いました。 僕も坂口安吾にならいたいところで、小説の意図なんて書けない。と言いたいのです。 第一、明確な意図があったら、それはエッセイで書けばいいだけの話なので。 この小説に関しては、一つの解釈として自作解題を試みてみようと思い