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勉強は「わかる」ことよりも「〇〇〇」ことを優先するほうがいい

 子どもたちの「勉強がわからない」という状態は、よくよく確認してみると問題が解けないために「わからない」と感じている場合が多いです。学習した知識がうまく使いこなせずに解くことが「できない」から「わからない」と感じてしまうということです。
 ならばこの場合、解くことが「できる」状態に導けば「わかった」と感じるようになるでしょう。つまり、勉強は「わかる」ことより「できる」ことを優先れすば、多くの場合、解決するはずです。

「わかる」ことは難しい

 そもそも「わかる」という認知レベルは、かなり高度なものです。私は教員時代、数学を教えていましたが、「数学がわかりますか?」と質問されると困ってしまいます。数学の専門家レベルで判断されると「わからない」と答えざるを得ません。数学の真髄をわかっていなければ数学を教えることができないのであれば、数学教師になるためのハードルは、かなり高いものといえます。しかし、現実はそこまで求められておらず、私の場合、数学の真髄まではわからないけど、ある程度の知識があり、方程式などを解くことはできるので教えることができていたという感じです。
 また、「LINEわかる?」と質問すると、今どきのこどもたちなら普段から活用できているので、すぐに「Yes」と答えると思います。しかし、「LINEのシステム、プログラム的なことがわかる?」と質問すると大人も含めて大半の人は「わからない」と答えるでしょう。このように数学であってもLINEであって原理が「わかる」ようになるのはかなり難しいといえます。

また、多くの人は
①「わかる」=「わかる」+「できる」 
②「わかる」=「できる」
このような2つの意味にとらえています。

先ほどの「LINEわかる?」という質問は「LINEできる?」という質問に脳内で変換する人が多く、「LINEわかる?」を「LINEの原理がわかる?」と脳内で変換する人は少ないと思います(②)。それなのに「数学わかる?」の場合、「数学の原理がわかる?、その知識を活用することができる?」というように脳内で変換しがちです(①)。勉強のほうは、なぜか「わかる」のハードルが上がってしまうんです。しかも、原理が「わかる」かどうかになってくると難易度が格段に跳ね上がってしまいます。
そこで、勉強も「わかる」=「できる」だけに認識を変えてやれば、勉強に対する気持ちの障壁を乗り越えやすくなると思いませんか。

持続可能な勉強のために

 勉強を嫌いにならず、自主的に持続することを目指すために、勉強の認知レベルを4つの状態で考察してみます。

A 「わかる」 かつ 「できる」
B 「わからない」 けど 「できる」
C 「わかる」 けど 「できない」
D 「わからない」 かつ 「できない」

Aの状態は理想的です。勉強が楽しく感じ、自主的に勉強するようになります。
Bは「よくわからないけど、こうやればできる」という状態であり、わからなくても「できる」ので結果は良好です。好結果が出ますから、自分は「できる」という自尊心がもて、勉強に対して抵抗は少なくなりますので、持続しやすくなります。また、勉強が持続できれば、いつか「わかる」状態になる可能性が生まれます。
Cは「意味がわかるのに、問題になるとできない」という状態で、これは勉強の努力が報われないタイプです。「わかった」と思っていたのに結果が悪いため、落胆します。これが繰り返されると、勉強へのやる気が失われてしまいます(ちなみに私はこの状態に陥ったことがあります。よくよく考えると、わかったと思っていた知識もわかったつもりの状態だったと思います)。
Dは勉強しても結果が全くでない状態です。苦痛しか感じないため、勉強にメリットを感じることはありません。
 以上の分類から、勉強を持続可能な状態にするには、最低でもBの「知識の原理はわからないけど、その知識を活用することができる状態」にすればいいということがわかります。Bの状態になれば、成績やテストなど目に見える成果につながるので自尊感情が向上し、勉強すれば結果がついていくるという認識が芽生え、また勉強に取り組むという好循環が生まれます。

 私は教員時代に数学を教える際、「極端な話、なぜこうなるかという意味は最悪わからなくていい、なぜかわからないけどできる状態を目指すこと、できる状態が続いていれば、今わからなくてもいつかわかる可能性が出てくる、そもそも、わかるし、できるという両方をすぐに身につけたいと欲張りすぎると無理が出る、でも、わからないし、できない状態では前に進まないから、とりあえず、まずはできることを優先すること」とわりきって考えるように伝えていました。
 「わかる」よりも「できる」を優先するという発想の転換が大切です。「できる」状態が持続すれば、果報は寝て待て、いつか「わかる」が追いついてくるはずです。


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