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はじめに を #全文公開『新時代の中学野球部』

勝利と育成の両立を目指す名将の指導論

大きく環境が変わる中学校の部活動。
そんな中、知恵と工夫と情熱を持って、中学生の技術と心を育てる多くの指導者を取材してまとめた『育成年代の「技術と心」を育む 中学野球部の教科書』(2022年3月刊行)の
第二弾『新時代の中学野球部 勝利と育成の両立を目指す名将の指導論』が7月14日に発売!

著者はもちろん、長年中学野球を取材されている大利実さんです。
本日は本書の「はじめに」を全文公開です。
第45回全国中学校 軟式野球大会が8月18日より始まりますので、この時期にぜひ!


はじめに

 ここ数年、中学校の部活動を取り巻く環境が大きく変わり始めている。
 2018年3月にスポーツ庁から『運動部活動の在り方に関する総合的なガイドライン』(部活動ガイドライン)が策定され、週あたり2日以上の休養日を設け、1日あたりの活動時間を平日は2時間程度、土日は3時間程度とすることなどが明記された。ここに、コロナ禍が重なり、多くの学校で活動時間が減少。教員の多忙化を解消するために、地域によっては「休日の部活動の外部委託」が本格的に始動している。また、2023年からは、加盟校単位での出場が原則とされていた全国中学校体育大会(全中)において、総合型地域スポーツクラブなど民間団体に所属する選手の参加も認められ、参加要件が緩和された。
 野球部に視点を移すと、少子化の流れ以上に部員数が減り続け、2002年が約31万5000人、2012年が約26万3000人、そして昨年2022年は14万1000人(いずれも男女合計)。合同チームが増え、ひとつの学校では9人揃わない事例が出てきているのが現状だ。
 私は2002年から中学軟式野球部の取材を本格的に始め、知恵と工夫と情熱を持って、中学生の技術と心を育てる多くの指導者に出会ってきた。部活動を取り巻く環境が変わっても、その姿勢は何ら変わらず、熱い指導を続けている。その取り組みをまとめたのが、2022年3月に出版した『中学野球部の教科書育成年代の「技術と心」を育む』(小社刊)である。
 今回の『新時代の中学野球部勝利と育成の両立を目指す名将の指導論』は第二弾となる。
「勝利と育成の両立」を柱に、「短い時間で成果を上げる」「中学から野球を始めた生徒への指導法」「部員数を増やすための取り組む」「合同チームの作り方」「クラブチームの運営法」など、今の時代だからこそ出てくる現場の悩みや難題に応える一冊になっている。
 2022年夏に全中を初制覇した東京・駿台学園中の西村晴樹監督、勝谷大コーチ、2023年春の全日本少年軟式野球大会で2連覇を達成した鹿児島育英館中の森永顕悟監督、宮田由貴夫コーチをはじめ、中学生のやる気スイッチを入れることに長け、2022年春の全日本少年でベスト4入りを果たした神奈川・相模原市立相陽中の内藤博洋監督、未経験者の指導に優れた山梨・南部町立南部中の遠藤浩正監督、年間通して放課後およそ1時間の練習でありながら県ベスト4に食い込んだ岡山市立御南中の田島直哉監督、キャッチャー育成に長けた千葉・船橋市立葛飾中の長岡尚恭監督らに登場いただいた。
 さらに、中学野球だけに限らず、2022年夏の甲子園で東北勢悲願の全国制覇を遂げた宮城・仙台育英高の須江航監督、猿橋善宏部長からは「中学時代に身に付けてほしいこと」をテーマに、熱いメッセージをもらった。プロ野球界からは、中学から野球を始め、わずか6年でプロの世界にまで登りつめた北海道日本ハムファイターズの上沢直之投手が登場する。
 何かひとつでも、読者のみなさんの心に残る言葉や考え方をお届けすることができれば、ライターとしてこの上ない喜びである。ぜひ、最後までお付き合いよろしくお願いします。

2023年6月末 スポーツライター 大利 実

書誌情報

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