砂漠を横切るラクダのように【3-(1)】
・3・
こうして私の契約更新は白紙になった。
あんなにも苦心して手にした「決断」だったのに、それを私はあの揺れの中に落っことして(もしくは投げ捨てて?)きてしまっていた。戻れるわけがなかった。
無責任だな、と思う。あの地震でぐちゃぐちゃになった机の上も、引き出しの中も、やりかけの仕事も、全部ほったらかしにしたまま辞めるなんて……。でも、あそこで死んでいたら? ……同じじゃないか。この仕事をしていく人間の代わりなんて、いくらでもいる。だけど今、私を守れるのは私だけ……。罪悪感の欠片もなく素直にそう思えた。思おうとしていた。
“はじめまして”のnoteに綴っていたのは「消えない灯火と初夏の風が、私の持ち味、使える魔法のはずだから」という言葉だった。なんだ……私、ちゃんとわかっていたんじゃないか。ここからは完成した『本』を手に、約束の仲間たちに出会いに行きます♪ この地球で、素敵なこと。そして《循環》☆