🕊Kana Paek/白佳奈🕊

🕊Kana Paek/白佳奈🕊

最近の記事

仕事をするうえで「やりがい」や「モチベーション」は切り離すべきである

仕事をするうえで「やりがい」や「モチベーション」は切り離すべきである。なぜそう言えるのか。理由は二つある。 一つ、自分が進んで始めたことの場合、「やりがい」および「モチベーション」は一般的な指標では計測不可能だからである。自分がやりたくて始めたという前提の中で、「やりがい」や「モチベーション」は一般的にみて最高地点に達しているはずである。その後にわざわざ検討の土台に乗せて、自分がこの事業、目の前のタスクを通して感じるやりがいは何なのであろうか、モチベーションを高めて行くには

    • 『万物の黎明-人類史を根本からくつがえす』を読んで

      先日、デヴィッド・グレーバーとデヴィッド・ウェングロウの共著作『万物の黎明-人類史を根本からくつがえす』(原題:The Dawn of Everything)を読み衝撃を受けた。今まで教養として学んできた当たり前の前提から立ち戻ることになり、私が理解していた人類史が見事に根底から覆された。 要約当書は、人類史を再評価し、社会的不平等の起源や都市、文明、国家の形成及び発展、初期の人類社会の性質について多様な証拠とともに詳しく述べている。また、狩猟採集から農耕社会、最終的には国

      • 「ぎこちなさ」を解放する

        「社会」は「ぎこちなさ」を許してくれない。最近ふとそう思った。「ちゃんとしなくてはいけない」とか「変な人と思われないようにしなくてはいけない」とか、学校で学んだ「集団生活を正しく送る方法」のチェックリストをきちんとこなさないと、兎角面倒な評価をされてしまう。 私は、長年そのリストをきちんとクリアすることに一生懸命取り組んできた。当時は、その行為が自分が持つ「ぎこちなさ」と、「集団生活を正しく送る方法」との間を埋めるパターン学習になっているとは思ってもみなかった。真面目で何事

        • 『ハーバード流交渉術ーイエスを言わせる方法』を読んで

          当書を通して、必ず覚えておきたい交渉における4大原則は以下である。 上記の要素を満たした交渉のことを、当書では原則立脚型交渉と称している。 「人:人と問題を分離せよ、エゴを出すな」について 交渉をするときに案外忘れてしまいがちなのは、交渉相手が「人間」であることではないだろうか。つまり、感情を持ちながら日々生活の中で揺れ動く生命体であるということである。そうだとすると、人間にとって一番相手を許すきっかけになるものは、相手が自分のことを理解してくれていると感じることのよう

        仕事をするうえで「やりがい」や「モチベーション」は切り離すべきである

          社会構造から女性のエンパワメントを考える

          はじめに 昨今、女性のエンパワメントは言葉なりとも社会の中で浸透してきていて、人々の意識の中に男女の平等やそれに向けた社会改革は段々と高まっている。ただ、女性のエンパワメントに関する発言や行動をとると、逆差別だとか、被害者意識が過ぎるといった、耳を塞ぎたい意見が出てくることも事実ある。 これらの主張に関して、端的に問いたいことがある。 男女平等の問題を「ゼロサムゲーム」だと捉えてはいないだろうか。 男女平等を主張する者たちが目指すものは、ある特定の性別の優越や特権を支持

          社会構造から女性のエンパワメントを考える

          ホモサピエンスになりたくない

          意識的に生きようとする愚かさ 養老孟司さんの『ものがわかるということ』を読んでハッとした。 意識的な世界しか認めようとしない自分自身、そしてその愚かさを自覚したからだ。 何事も失敗しないように気をつける、相手を傷つけないように、自分が傷つかないように、なるべく想定されるシナリオを脳内に描いて行動する。そうすれば、意識が私を完全に制御して、思い通りの私になれるはずだ。そんなことを考えながら、日々を送っていた。 自分は何に突き動かされているのだろうか。意識なのか、行動なのか、無

          ホモサピエンスになりたくない

          現代において必要な能力とかなんとか

          世の中に溢れるビジネス本や自己啓発本などは、仕事/生きるうえで大切な必須スキルについて教えてくれる。タイムマネジメント力、ロジカルシンキング、プレゼンテーション作成術etc...確かにこうしたスキルが役立つシーンもあると思う。 ただ、ここ最近はそうしたスキルよりももっと本質的に大切だと思っているものがある。それは、「忍耐力」、「知的体力」、「謙虚さ」、「美学」である。変化の激しい現代において、人間が備えるべきは特効薬的なスキルではなく、こうした普遍的な基礎能力だとつくづく思う

          現代において必要な能力とかなんとか

          ドバイ移住1ヶ月目の所感

          ドバイに移住して1ヶ月が経ったので、この期間を通じて感じたことについて書き記しておこうと思う。 異文化に住むということ 生まれてずっと日本に生まれてきたので、ドバイでの生活は何もかもが新鮮で新しいものだった。街行く人々の人種も、スーパーの仕様も、定番チョコレートの味も何もかもが違う。 そんな環境に入り込むと「当たり前」など存在しないことに気付かされる。私の当たり前は私以外の誰の当たり前でもないし、彼らの当たり前は私の当たり前ではない。寛大でありたいと思ってきた私にとって、

          ドバイ移住1ヶ月目の所感

          信念と指針と人生と

          生まれてから現在に至るまで住んでいた日本を離れることになり、どうやらこれは人生における節目というものだろうということで、改めて、自分の信念はどこに依拠するのか、そして生きるうえでの指針となる価値観は何か、そのうえで私が歩むべき人生はいかなるものなのかについて、考えてみようと思う。 信念と 私は、生まれた環境がら「信念」という言葉をよく聞いてきた。いかなる環境においても、己の魂と紐づけられる揺るぎない確信や思い。それらを総じて信念と呼ぶらしい。私は、自分の属性や環境から信念

          信念と指針と人生と

          日本の文化性と自己認識

          はじめに 生まれ育った日本を出国することになったので、私が当たり前に生きてきた日本という国を振り返り、この国の文化性が私の人格形成や自己意識に与えた影響について書いていこうと思う。 日本語とコミュニケーション 私の母語は日本語である。物心ついた時から当たり前のように日本語を使ってきたが、絶妙な感情を柔らかく繊細に伝えることのできる日本語はとても心地良い。私が、常々日本語を扱ううえで重要だと感じてきたことの一つに、「行間を読む」ことがある。文字通りの言葉の意味には含まれな

          日本の文化性と自己認識

          web3のソウルを理解する

          はじめに SSI/DID/VCと同様に、Soul Bound Token(SBT)もあらゆる実体のアイデンティティを表現するための一つの手段です。 デジタルアイデンティティや分散型アイデンティティについて考えていくうえで、E. Glen Weyl氏、 Puja Ohlhaver氏、 Vitalik Buterin氏によって発表された論文、 ”Decentralized Society: Finding Web3’s Soul” を読み理解することは非常に重要です。 とい

          web3のソウルを理解する