見出し画像

経口避妊薬、ではなく、ピルを飲んでます、と私は言う

経口避妊薬、という名前の威力を感じる。
正しいことを伝えているという良い意味でも、
それを会話の中で自然にいうには、インパクトの強すぎるため控えてしまう、
という悪い意味でも。

私がこの2年くらいで飲んできたピルは写真にあげた通りで、いくつかの種類があるが、
どれも月経困難症や月経前症候群の治療として処方されてきた💊

経口避妊薬またはピルは、
基本的な薬の成り立ちは同じで、
さまざまに作用するため、どれに主眼を当てるか、何への対処が、により区別されている。

✿︎低用量経口避妊薬(OC: oral contraceptive)

✿︎低用量エストロゲンープロゲスチン(LEP: low dose estrogen-progestin)
である。

ピル、といったときに
一般の人はどちらが浮かぶだろう?

経口避妊薬の歴史をみてみると、OCとLEPの違いがわかる。

Oral contraceptive、経口避妊薬 (OC)は基本的に
女性ホルモンである、エストロゲンとプロゲストーゲンが配合されている。
ホルモンが作用し、卵子をつくることを抑えるため、月に1度の生理が起こらず、避妊効果がある。

ただ、当初から世界では、副作用として、
静脈血栓塞栓症という、血管が詰まりやすくなることや、脂質の代謝がうまくいかないことによる心筋梗塞といった病気のリスクがあることが懸念されていた。
このリスクは、女性ホルモンがもともともつ作用と関係しているため、避妊の作用と裏表の関係である。

そのため、1970年、エチニルエストラジオールというエストロゲンの種類のひとつのホルモンを、
50μg未満にすることで、そのような副作用が低下される、という勧告がだされた。
含まれるエチニルエストラジオールが50μg未満のものが、今一般的に“低用量経口避妊薬”と呼ばれるものである。
日本でも1999年に低用量経口避妊薬が販売され、2006年には、どのように使用されるべきかというガイドラインも日本産科婦人科学会から出された。

一方、経口避妊薬の主な作用は避妊であるが、
長年の研究から、ある意味副作用ともいえる、体への他の効果があることがわかってきた。
月経時の腹痛がつらい、生理の周期に合わせて気持ちがイライラしたり落ち込んだりする、という月経困難症を減らす効果や、
子宮内膜症といった婦人科系疾患の治療の効果である。
もともと経口避妊薬は、排卵を抑制するので、排卵に伴って起こる月経の症状も和らぐ、ということだ。
アメリカのガイドラインでも、避妊以外の効果があることが書かれている。

そのため、ホルモン量は、経口避妊薬に準じ、
月経困難症の治療を目的とする、
Low dose estrogen-progestin (LEP: 低用量エストロゲン-プロゲスチン)が登場した。
日本では2008年からLEPは保険適用の薬として処方されるようになった。

避妊を目的とするOCは、
マーベロン、ファボワール、トリキュラー、ラベルフィーマなど
月経困難症などの治療を目的とするLEPは、
ヤーズ、ヤーズフレックス、ルナベルなどがある。
---------------------
こうしてみてみると、
飲むことで避妊の作用があるという画期的な薬が、長年の研究によって
月経困難症といった生理時に起こる症状も軽減することがわかったという順序だとわかる。

ここで
経口避妊薬、または、ピル、という名前の問いかけに戻りたい。

Oral contraceptive は直訳で、
口から摂取して、避妊する、であるから、
経口避妊薬と言えるだろう。
低用量エストロゲン-プロゲスチン、という呼び方が日常で使われているのを聞いたことがない。
ピル、と呼ばれるのは、錠剤、つまり口から飲むよ、という意味合いで、
OCもLEPも含む、ある意味声に出しやすい
“隠語”に近い。
ウェブサイトを検索しても、ピル、または
経口避妊薬という名前が出てくることが多く、
何も知識がない人が読むと、
避妊を目的としたピルと、
月経症状を和らげることを目的としたピルがあることが、
なかなかわからないのではないか、と思ってしまう。

私は、生理時の腹痛、頭痛がひどく、
生理周期にともなってイライラや不安が増すといった月経症状に悩まされ、
LEPとして、ピルを飲んでいる。
今まで結構恥ずかしげなく「私ピル飲んでるよ」と声にしてきたけど、
相手にどう受け取られていたのかな、と思うと、少し恥ずかしい。

避妊も月経症状を和らげることも、
薬のもつ作用の表裏。
ただ、経口避妊薬やピルという言葉が先行することで、
女性が言葉に出しにくかったり、相談しにくかったり、あまり話題にならないのだとしたら、
それは名前の弊害といえないか?

ピルには、月経症状を和らげる作用があることがもっと知られてほしい。
それだけでは足りないだろうか。
日本でピルの使用率が、先進国の中で低いのは、処方箋なしで購入できないから、や
高価だから、といった理由だけでもないのかも、しれない、と思う。

参考文献

日本産科婦人科学会
低用量経口避妊薬、低用量エストロゲン・プロゲストーゲン配合剤 ガイドライン(案)
平成27年3月
http://www.jsog.or.jp/news/pdf/CQ30-31.pdf
希咲クリニック ホームページから画像
http://kisaki-clinic.jp/blog/2060/

#womenshealth #women #health #ピル #経口避妊薬 #ヤーズ #ヤーズフレックス #月経 #生理 #女性の健康 #女性ホルモン #月経困難症 #PMS #月経前症候群 #生理ちゃん #ワークアンドライフバランス #婦人科検診 #産婦人科 #妊娠 #出産 #お産 #助産師

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?