1:「経済財政運営と改革の基本方針」を読む
特定技能制度は画期的な制度ですが、その構造は非常に複雑です。
全体像を理解するために、まずは内閣府の「経済財政運営と改革の基本方針」について触れたいと思います。
特定技能制度は、「経済財政運営と改革の基本方針2018」(平成30年6月15日閣議決定)において、「新たな在留資格を創設する」と明言されたことにより創設されたものです。
「経済財政運営と改革の基本方針2018」は、全体で80頁ほどのボリュームで、特定技能制度は、第2章の「力強い経済成長の実現に向けた重点的な取組」の中で「新たな外国人材受け入れ」政策の一環として提唱されました。
上記の引用で、「一定の専門性・技能を有し即戦力となる外国人材を幅広く受け入れていく仕組み」と呼ばれているものが「特定技能制度」(在留資格:特定技能)です。
更に、この基本方針では新たな外国人材の受け入れ制度について、具体的な方向付けも行われています。
上記は要点をまとめたものですが、すでにこの段階で特定技能制度の大枠は設計されていたということが分かります。
従って、まずは「経済財政運営と改革の基本方針2018」に目を通すことで、特定技能制度創設の背景とその全体像を知ることができます。
2:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針
「経済財政運営と改革の基本方針 2018」(平成30年6月15日閣議決定)を踏まえ、 特定技能の在留資格に係る制度の適正な運用を図るため、入管法第2条の3第1項の規定に基づき、特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針が定められました。
3:特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針(分野別運用方針)
更に、入管法の第2条の4では 、第2条の3第1項の規定に基づき定められた「特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する基本方針」に則り、各分野(12分野)における特定技能制度の運用に関する方針が定められています。
以上、本稿では「経済財政運営と改革の基本方針2018」と、これにより創設された特定技能制度について、「基本方針」及び「分野別運用方針」について触れました。
次稿では引き続き、特定技能制度の運用に関する法令について解説します。