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新型コロナ時代こそ漢方(8) 実は存在しているコロナ治療薬はコレ、中国政府が認めた「清肺排毒湯」その1

これだけで90%が早く回復!「清肺排毒湯」とは

今回のコロナ大流行で、中国では、漢方(=中医薬)など、中国伝統医学の治療方法も新型コロナの対応に使われている、といったニュースは耳にされたことがあるかと思います。

中国といえど、西洋医学の治療が主流を占めています。しかし1月27日に新型コロナウイルスに有効な方剤(漢方処方)の開発を緊急指示、漢方に知識のない医療スタッフも使用ができる処方、「清肺排毒湯」をたった数日で完成させました。

その後の臨床で一週間後の2月6日には国家衛生健康委員会と国家中医薬管理局が、西洋医療での治療プロトコールと「併用」して、「全土」での新型コロナ患者「全員」への清肺排毒湯の投薬を推奨し、通常の医療同様無料としました。

このことは「西洋医学」と「東洋医学」は対立するものではなく、両立し、さらには補い合うことができるという中国の近年の姿勢の端的な例であり、中国国外でも示唆に富む事実です。

ふつうの漢方処方では、たとえ新型コロナといえど、患者の体質や症状、進行状況を東洋医学的に診断し、何十通りにもわけて投薬するところです。

そういった診療手順の西洋医学との違いが、現代医療での漢方浸透をはばむ一因となっているわけですが、それを「清肺排毒湯」という包括的な調合によって敢えて誰でも投薬できるように、たった「一種類」にしたところが画期的です。

また新型コロナは、流行性ウイルスにしては個人による症状の出方が実に多様です。極端ですらあり、単なる不調から風邪症状、肺炎、胃腸炎、マラリア様高熱、サイトカイニンストーム(自己免疫攻撃による急激な多機能不全)、と医療現場での治療を困難にさせてきました。

「清肺排毒湯」は、その一種類の処方内の21種類もの生薬の一つ一つに、検査が陽性、または症状によって推測できる新型コロナ「患者全て」の「様々な」症状対応がされていることで、包括的に症状を緩和・改善し、患者の回復を助けるよう、調合されています。

各生薬の働きなどについては、別記事で詳しく解説したいと思います。

 なお、「清肺排毒湯」に相当する処方は、現時点での日本国内の医療機関では入手が難しく、既存の漢方製剤を数種組み合わせるか、漢方の専門家が中国式の処方通りの生薬の煎じ薬を調合する必要があるようです。

アメリカでは、漢方製剤の資格を持つ東洋医学療法士(鍼灸師および漢方薬剤師、州ごとに肩書は異なります)が、規制により入手できない数種の生薬置き換えることで、生薬のエキス製剤(顆粒)として調合・販売することが一般に可能です。詳しくは最寄りの漢方薬局または東洋医療治療院にお尋ねください。

「清肺排毒湯」の有効性90%の根拠データ

「清肺排毒湯」の効果ですが、緊急開発において、臨床選別が行われた2月4日までに「清肺排毒湯」が投薬された214人の軽症から重症の患者のうち、90%以上が服用によって症状の悪化がとまり回復が始まったと報告されています。また、患者の過半数が一回の服用で効果を実感したとも報告されています。

その後、国家衛生健康委員会が2 月 中に発表 した内容によると、「清肺排毒湯」での治療が行われた 701 症例中:
130 症例が治癒および退院
51 症例 の臨床症状が消失
268 症例の症状が改善
212 症例が悪化せず安定した症状改善

とあり、このデータ内における「清肺排毒湯」の効果は 94.3%の患者に認められたことになります。

中国科学院の仝小林院士によると、3月13日の時点で、「清肺排毒湯」を服用した10省の新型コロナ患者1261人中:

1102人が治癒
29人の症状が消失
71人の症状が改善
投薬時点で重症だった患者40人中28人が退院、残り12人は病院で治療中で10人の症状が好転し軽症状のみ

と報告しました。「清肺排毒湯」有効率は97%、重症化例はゼロとのことです。

また、昨年12月に新型コロナ流行が始まって以来、8万人超の感染確認済みの患者のうち、90%以上が何らかの漢方薬を服用したと報告されています。国家中医薬管理局による3月23日の記者会見では、漢方薬が症状の緩和と憎悪防止に効果があり、回復率を改善し、死亡率を現象させていると発表されています。

なお、今回のようなパンデミックでは、感染のさなかに完全なる実態数値の取得が不可能なうえ、ウイルスの性質上陰性と陽性の線引きが難しく、検査の正確性や検査キットの不足が問題視され、さらには中国を含む各国の政情によって、データ操作の可能性などが取沙汰されているとあっては、あらゆる発表数値に疑問の余地はあると思います。

ただ巨大な人口を抱え、一旦医療崩壊した国が、2か月前後でロックダウンを解除し、経済活動を徐々に復活させるレベルに到達しているということは、実際の患者数や回復状況にブレはあるにしても、政治に命取りの大流行をコントロールできる範囲におさえているということですから、やはり漢方を含んだ国家としての治療戦略に、自信と効果を認めていると考えるべきでしょう。

本記事で引用した「清肺排毒湯」開発に踏み切る前後の有効性観察データは、スピード重視の効果検証であったために、厳格な科学的エビデンスを追及する学術研究や治療薬開発の治験のような手順を踏んでいません。

その可否の議論はさておき、特例ともいえる政府のガイダンスで、迅速な投薬治療が全国多数の患者に施されたこと自体は、結果的に英断だったといえます。

漢方以外でも、中国各地の病院で、鍼やお灸、リハビリとしての太極拳などが取り入れられています。そういった伝統医学を除けば、中国の西洋医学の治療手段や設備は、他国とほとんど変わらないわけですから、その観点でも「清肺排毒湯」をはじめとする伝統医学治療は全く効果なし、とは言い切れないと思います。

②に続きます。

参考:
https://www.jmedj.co.jp/journal/paper/detail.php?id=14426
http://www.kansensho.or.jp/modules/news/index.php?content_id=147
http://j.people.com.cn/n3/2020/0312/c95952-9667568.html
http://j.people.com.cn/n3/2020/0317/c94638-9669158.html
http://j.people.com.cn/n3/2020/0408/c94638-9677377.html
https://www.nbcnews.com/news/world/china-encouraging-herbal-remedies-treat-covid-19-scientists-warn-against-n1173041

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