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気持ちよく新年を迎えるために…巫女おすすめの正月準備

さて、あっという間に2020年の師走も中ほどを迎えようとしています。
この時期になると、年越しを意識してさまざまな準備を始める方が多いのではないでしょうか?

個人的な話で恐縮ですが、巫女のご奉仕を始めるようにになってからは「ゆっくりできるお正月」とは無縁になりました。しかし、夜まで活気のある神社の様子や、ご参拝の方々との交流など、年末年始ならではの特別なひとときを存分に楽しんでおります。

以前は年末年始に気が抜けて体調を崩すことも多かったのですが、巫女になってからのこの季節は、なんとなくアドレナリンのようなものが出ている気がして、すこぶる元気になるのが不思議です。(これも、神様のおかげなのかもしれませんね!)

そんなこともあり、今年も少しずつ年賀状の手配を始めたり、年明けにかけてのスケジュールを調整したりと、新年を迎えるための準備を始めています。
皆様も、年末年始のお休みをゆっくり心地よく過ごすために、それぞれ「やり残したことはないか」と考えている頃なのではないでしょうか?

……ということで今回は、誰にも共通してお伝えできる「押さえておきたい年越し準備」について、ご紹介したいと思います!


「正月事始め」から身の回りを整えましょう

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日本の暦では、12月13日がお正月を迎える準備を始める日――「正月事始め」として受け継がれてきました。

かつてこの日には「松迎え」と言って、門松に使う松やお正月料理に使う薪などを山に採りに行く日とされていたり、「煤払い」と呼ばれる、この一年で溜まった埃を一掃する行事を行う伝統がありました。

これを現代に置き換えて表現するならば、「お正月飾りの準備」「大掃除」……と言ったところでしょうか。
すべてに共通していることは、「身の回りのものを綺麗にして整えること」です。

神道の世界では、神様は「清浄」と言って、清らかな場所や人・物を好むとされています。ですから、神社も境内を綺麗に保つことを大切にしているのですね。
そしてそれは「神社」だけのことではなく、各「家庭」においても、同じことが言えるでしょう。

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お正月を迎えるにあたって、ご自宅に神棚がある場合は、まずそちらを綺麗にお掃除することから始めてみてください。

そして、新しい年と共に福を持ってやってくると言われている「年神様」という神様を、気持ちよくお迎えするためにも、玄関をはじめ、大掃除で美しく整えておくのが「吉」!

さらに、お正月飾りを準備することで、年神様(その年の福)を歓迎する用意を整えましょう。
たとえば「門松」「しめ飾り」は家の入り口や扉に設置することで、年神様に向かって「こちらへどうぞ。ようこそお越しくださいました!」と伝える大切な目印になるわけですね。


「冬至」には邪気祓いをしましょう

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夏の「夏至(げし)」を過ぎると、冬に向けて日がどんどん短くなりますが、反対に「冬至(とうじ)」を過ぎれば太陽が出ている時間が増えていき、また少しずつ日が延びていきます。

そのため、「冬至」は太陽の女神である「天照大御神(あまてらすおおみかみ)様」の御力が復活する、おめでたい日とされてきました。

この日は、先人の教えで「カボチャを食べて、柚子湯に浸かり、邪気を祓って病気知らずの体になりましょう」と言われています。

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なんとなく言い伝えられてきたのではと思われるかもしれませんが、これはきちんと理に適っていて、カボチャは冬に不足しがちな栄養を補ってくれる優秀な野菜ですし、柚子湯は冷え性に効果があるのです。

単に「縁起をかつぐ風習」というだけでなく、教えを守るだけで健康体が守られるというのは、本当にすごいことだなぁ……と、先人には本当に頭が下がります。

せっかくの年末年始に、風邪をひいて寝込んでしまうようなことがないよう、体のコンディションに目を向けることも大切ですね。


「年越の大祓」で心身を浄めましょう

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さあ! 身の回りを整え、体の調子を整えたら、今年の締めくくりには神社へ足を運び、神様にご挨拶をしておきましょう。

毎年6月30日(末日)には、神社で「夏越の大祓」という神事が行われますが、更に半年が経った12月31日(末日)には、「年越の大祓」が行われています。
(※神社によっては、日程が前倒しになっている場合もあるのでご注意ください)

これは、今年の下半期を過ごす中で、気づかぬうちに心と体へ溜まっていった「罪穢れ」という善くないものを、神様の御力で綺麗に祓い浄めていただく神事のこと。

お正月に「初詣」をするのはとても一般的な文化ですが、ぜひ年末の最後に行われる、この祭祀も知っておいていただければと思います。

夏越の大祓と同じように、「形代(かたしろ)」もしくは「人形(ひとがた)」と呼ばれる紙に、自身の背負った罪や穢れを移し、御焚き上げをして祓い浄めていただきましょう。

そして、今年一年も無事に過ごせたことに対して、神様に感謝をお伝えしてみてくださいね!


幸せを見つけられる心で新年を迎える

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思えば、今年の一年は新型コロナウイルス感染症が世界的な広がりを見せ、人々を震撼させるほど猛威を振るったことにより、これまでのような「自由な選択」が奪い去られた年でもありました。

自由に出かけること、自由に人と会うこと、自由に飲食すること……。
「当たり前」のことのように思えていたそれらが、いかに「恵まれていた」ことだったかを、思い知らされたような気がします。

そして、本当は「当たり前」の中にこそ、感謝すべきことがたくさんあって、それをできる限り一つひとつ思い出しながら生きていくのが、私たちにできる幸福への道なのかもしれません。

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そういった意味では、なおさら目に見えない神様を感じることや、神社での祈りの体験が私たちのそれらを思い起こす「大切なきっかけ」をくれるような気がいたします。

「できないこと」や「足りないもの」ばかりを数えていても切りがなく、どうせ数えるなら、自分の周りにある幸せの数を数えられる人でいたいものですよね。

今年のモヤモヤをすべて綺麗にしてから、また新たに前向きな心で、2021年を迎えましょう。
そのために必要な準備を、ぜひ今から考えてみてくださいね!


文/巫女ライター・紺野うみ


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