重度VR中毒患者のリハビリ日記 #2
鉛色の空、そして雨。幾分肌寒い一日。保護課のアシスタントは私を散歩に連れまわして、いつものように尋ねる。
「この風景を見て何か思い出すことは」
私もいつものように答える。
「急にそんなこと言われても…こんなの年中見る風景ですよね」と。
私の答えに納得がいかないのだろう、彼女の不服そうな表情が見えたので私はあわてて付け加える。
「雨って外にいる時に降られるとうんざりするけど、屋内にいる時はそうでもない。むしろ雨音は自然音の中でも好きな部類だったし、一日中人工的な雨音をBGMにし