マガジンのカバー画像

ボヤキ漫才はドツキ漫才より好き~詩と雑録

214
つぶやき、ヘボな詩の、はきだめです。はあ~
運営しているクリエイター

#宇宙

終日の雨がやみ
大阪の夜は春の寒波に
空の底がぬける
ああ暗いね宇宙は
人類の叡知も凍りつく
物理学の百年の定説がくつがえるかも
重力と時間の理論が懐疑に震える
老人の心は嬰児のごとく
うつろな虚空に遊ぶ
そうね
亀井水の亀形水盤の姿を見定めた
二十年まえのように
時代は再生する

小詩集~宇宙がこわい

小詩集~宇宙がこわい

宇宙のことを考えるとこわいねん

と言って

死んだ同級生がいた

彼がなにを恐れたのか

私は陳腐な言葉にできないから

宇宙のことをあれこれ感じながら

生きてきた

たしかに死にたいほど

孤独でさびしく

膿のように不可解な情念につつまれる

そんな日々もある

無力で金も知恵もなく

ぽつんと虚空にとりのこされる

でもそのうつろさが

命の自由の源泉でもあると

私はうそぶく

何者か

もっとみる
胆嚢摘出の宇宙的イメージ

胆嚢摘出の宇宙的イメージ

2018年12月記

「痛みにも宇宙がある」

我が宇宙論的闘病記。はてな?

宇宙なき言葉だけの信仰や道徳は、すべて欺瞞である。と激痛のなかで考えた。

言葉で小賢しく説明し、果ては言葉さえも拒む、虚構社会が、人間を食い物にしている。

胆嚢切除緊急手術、無事予定どおり退院の目処がたちました。ご心配おかけしました。

本当にありがとう

ございました。

五年間サイレント、無症状の胆石とはいえ、

もっとみる
小詩集・こもれび

小詩集・こもれび

こもれ日のあたたかい午後

巣立ちの雀が親に甘え

口うつしにエサをねだる

なさけうるわし

わが老いの年代記

こまやかな葉陰にしるす

よみびとしらず

ふかきかなしみを

おだやかな風となして

徹夜あけ

光をもとめ

徘徊す

光あり

満ち足り

静謐なる

わが老いの季節を刻む

私鉄の支線の終点の駅前で

おじいさんが胸にプラカードをさげて

なにか言いながらうろうろしていた

もっとみる
現実の愉快な曖昧さ~詩三編

現実の愉快な曖昧さ~詩三編

断酒会ではいつも

アルチュウで糖尿病と

自己紹介をする

大酒呑みで糖尿病で死んだ

父と兄の思いでを語る

脳梗塞から片足をえそで喪い

静かな五年の闘病で亡くなった父

いつもベッドに寄り添い

老いを迎えた三毛猫

生への疑念に沈んでいた

私は父のように酒呑みになって

はたちの命をなんとか保った

やがて兄が糖尿病の

あらゆる合併症を併発し

八年の混乱のすえ

死んでいった

もっとみる