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小詩集~宇宙がこわい


宇宙のことを考えるとこわいねん

と言って

死んだ同級生がいた

彼がなにを恐れたのか

私は陳腐な言葉にできないから

宇宙のことをあれこれ感じながら

生きてきた

たしかに死にたいほど

孤独でさびしく

膿のように不可解な情念につつまれる

そんな日々もある

無力で金も知恵もなく

ぽつんと虚空にとりのこされる

でもそのうつろさが

命の自由の源泉でもあると

私はうそぶく

何者かであろうとすると

宇宙のなかであまりに私は矮小だ

だからといって急ぐことはない

そのうち私も消滅するのだから

さびしさが響き合う

この空間を感じていようよ

師走に大阪四不動まいり結願しました

お不動さんの前では護摩をたく

ゴマとはサンスクリット語のホーマのこと

供え物や犠牲を意味し

火の儀式をおこなう

水の信仰の解明を火の儀式に祈願する

正反対のものがぶつかると

凄まじいエネルギーとなるはず

宇宙をも消滅させかねない

お不動さまはそれを制御され導かれる

どうか聖徳太子が願われた

平和と福祉の知恵ある国へ

みちびかれますように

冬至の直後の森羅万象のあらたまるとき

この街の四方で一斉に炎が輝く

南無上宮太子南無阿弥陀仏

芸術運動にアバンギャルドというのがあり

ちょうど私らの十代は大いに刺激された

従順よりひねくれ

真面目より笑い

意味よりすっとぼけ

それでみんな楽しけりゃいいのだ

信念をもつより信念をくすぐる


なんかつまんないね

心の中には広い宇宙があるのに

世界はごちゃごちゃしておもろいのに

それは正しいと思うより

ちゃうんちゃうやないかもしれへんのかな

ちゃうちゃうちゃうんちゃう

あらまちゃいまんがな


てなわびさびの世界は

コミュニケーションできないのね

相対性理論


この宇宙には

どこにも中心がない

つまり

あらゆるひとつの点が

全ての宇宙の

中心とみなされる


夕暮れの街で

あなたがスキップして

ふりかえると

全宇宙が半分回転して

あなたにほほえむ

ぼくはかるいめまいがして

あなたに恋をした


        写真ハッブル宇宙望遠鏡Google画像

もし宇宙から侵略する何かが現れたら

人類は一致団結して立ち向かうだろう

とおもてたけど

コロナ対策の支離滅裂右往左往みてたら

こんなあほな生き物

知的生物からは相手にもされへん

でもウィルスはそんたくしてくれへんで

亀井水は世界に2例しかない

究極の少数

2つを結びつけるためには

さらに孤独な探求がはじまる

およそ1300年間

ひとつは土に埋もれ

ひとつは意味もわからないまま信仰され

それぞれの歴史を経た

未知であることに耐えられない人は無視する

未知であることが楽しくて

夢中で生きてきたら

まわりには誰もいないようだ

当然だな

1429年をへて

これをお創りになられた方と

対話できるとすれば

「とみの井の水いかなくに

 たぎてましもの

 とみの井の水」

あなたの最後の言葉をわかるためには

涼やかな風のなかに

ひとりで水のおとを聞くしかない

むかし僕たちが見た

プラネタリウムは

新しい科学館の暗い通路に

レトロな文化財として

展示されている

このなかにあった僕の宇宙は

まるごとスクラップ

そして新しい宇宙が生まれたの

まだごみのままなの

わからないまま年老いたのよね

でも

宇宙が怖いとつぶやき死んだ少年がいた

彼のことは永遠にわすれられない

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