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かめとでたらめエッセイ

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3割嘘の日常
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#エッセイ

でたらめエッセイプチ -盆に散髪、夏の色-

でたらめエッセイプチ -盆に散髪、夏の色-

盆の頃、伸びに伸びた髪を伐採せんと美容院に来ているが、生憎作家という生き物には夏休みが無いのである。(念のため申し添えておくが、このエッセイはフィクションである)

美容院の鏡の前、髪を切っていようが染めていようがお構いなしにメールはやってくる。催促の通知が画面に浮かんでは消える。美容師の今日お仕事お休みじゃないんですか、という声に苦笑いしながら、今すぐにでもこの目の前のスマートフォンとかいう板を

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ドゥラメンテという馬とわたしという人間の話

ドゥラメンテという馬とわたしという人間の話

※こちらの記事は2022年4月に執筆・公開したものの再公開です。編集などを加えていないので、一部情報が古いものがあります。

ウマ娘から競馬に初めて触れたという方でも、ドゥラメンテ、という名前をご存じの方はとても多いだろう。

菊花賞馬タイトルホルダー、そしてつい先週スターズオンアースと2頭目のG1馬を輩出した、クラシック2冠の鹿毛の馬。

アプリゲーム「ウマ娘プリティーダービー」では、彼の戦績を

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でたらめエッセイ ーアイスコーヒーの呪いー

でたらめエッセイ ーアイスコーヒーの呪いー

アイスコーヒーには絶対にガムシロップから入れること。

それは、自分の生活内で明確に守らなければないルールとして私の中に存在している。

私は年がら年中アイスコーヒーを飲んでいる。夏でも冬でも、とりあえずカフェに入るとアイスコーヒーを頼む。家でもアイスコーヒーをがぶ飲みしている。

それは大方の場合安くて手軽であり、猫舌でもいつでも飲めるから。冷たい方が体にすっきりと沈み込み、体に素早くカフェイン

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でたらめエッセイ-自転車を買った話-

自転車を買った。

中古自転車屋の店頭で日差しに焼かれていた銀色のママチャリは、カゴが錆びていて鍵がないから、六千円だった。

「盗まれても諦められる値段だから」

シワシワの顔で店主はそう言って、私に自転車を受け渡した。わずか十分の出来事だった。

ジリジリと熱された黒いサドルに尻を乗せ、製造メーカーの欄に「不明」と書かれたその自転車のハンドルと防犯登録を握りしめて帰った。数ヶ月自転車に乗ってい

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