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中国の人はなぜ謝らないのか?


はじめに


昨日華村さんが書かれたこの記事にとても共感し、記事を綴らせて頂きました。



仕入先である華村さんが、翻訳文章を客先の担当者に納品された時に、以下の出来事が発生しました。


・華村さんが翻訳された文章を客先に納品したら、客先担当者に紛失された

・客先担当者は謝罪するどころか、絵文字付きのメッセージを送ってきた

・客先から言われていた納期が、本当に商品が必要な納期では無かった

・客先担当者が、軽々しく華村さんに無償で再納品を要求した


私が華村さんだったら、

10,000%ブチ切れて「○▽※△☆△※◎☆○×…!!」って叫びます(笑)

※ 中国語に訳すと、何か大切なものを失いそうなのでやめておきます。


そして華村さんが、中国人である奥さんに、この出来事ちょっとどう思う?と意見を求められた時のやりとりを記事にされました。


改めて、どうしてこんなことが起こるんだろう?と思い、華村さんと、華村さんの奥さん(中国の方です)ご意見を太字で書き、↕ で結びました。

※ 個人的に必要だと思った箇所は、()で追記させて頂きました。()以外は、華村さんご夫妻の原文通りです。

そこに私なりの考えや実体験を加えさせて頂きました。



① 何でも簡単に依頼する


(華村さん)

(客先担当者が仕入れ先の)納品物を紛失する、というのはこれ以上ないほどの失礼である

(奥さん)

・こんなの(納品物の紛失)よくあること、いちいち怒っていては身が保たない


(向井の私見)

奥さんの仰ることは、全くその通りなのですが…


相手の為に一生懸命作って届けたものを、「無くしました」と言われれば、腹が立つのが普通だと思いますが、企業対企業の関係での中で、中国では物をとしか見ていなくて、それを作るまでの努力過程はあまり重要視されないと感じました。


国土も広く、人口も多く、色んな人がいる為、そのすべての人たちに、日本のような細やかな気づかいや配慮は、物理的に難しいかもしれません。私もそこまでの気遣いや配慮は、正直出来ませんでした(笑)


以前の会社で、顧客にサンプルを納品したことがよくありました。サンプルは、設計をして金型を起こし、材料を買い、何人もの現場スタッフが色んな機械を動かさないと作れませんでした。


何もわかっていない購買担当者は、

「サンプルだからタダでくれよ」とよく言っていましたが、

「自分で作れ!そしたらタダやろ!」

と、心の中で100万回叫びながら、

「すいません。タダでは無理です。」

と、やんわり断っていました。


また、棚卸で在庫数が合わない場合は、

「タダでくれ。三個だから良いだろ。」と言ってきたこともありました。

「今どきの乞食でもそんなこと言わんわ!」

と、心の中で100万回叫びながら、

「御社の棚卸数の差異は、弊社の責任では無いので…」

と、やんわり断っていました。


もし支払いの面やその他の面で、こちら側が優位な立場にいるのであれば、

「弊社にもデータはありません。同じものを最初からもう一度作りますので、再度代金を払ってください。」と言って追いつめてやりたいですね。

そうすれば、無くしたはずのデータが出てくるかもしれません(笑)



② 面子の為と、自分の優位性を保つために、基本的に謝らない


(華村さん)

(客先担当者が翻訳文書ファイルを紛失したことが)失礼であるのに(客先担当者は)謝罪の言葉ひとつなく、ましてや絵文字付きのメッセージで済まそうとしている


(奥さん)

・向こう(客先担当者)の送ってきたメッセージは中国では礼儀正しい方に入る。「再给我~」とかの一行で済まされることの方が多い


(向井の私見)

1、面子の国中国では、謝ると面子を失う事になるので、基本的に謝りません。


2、中国には「打落水狗」、「弱った相手に反撃の余力を残さない様、徹底的に叩く」と言うような意味ですが、謝ることは弱い立場になります。そうすると叩かれる口実を与えてしまうので、出来るだけ劣勢に立たないようにします。


この二つの考え方が反映されたのかと思いますが、この様な人は多く、残念ながら他人の考えを変えることは出来ないので、私も慣れることは出来ませんが、少しでも慣れていくしかないと思います。


③ 自分が不利にならない為に、なんでもサバを読む


(華村さん)

・今になって(客先担当者が翻訳文章を紛失した時からずっと後になって)それ(翻訳文章のファイルを無くしたので欲しいと言う事)を言ってくるということは、以前に渡した(翻訳文章の)ファイルは今まで必要なかったということか? せっかく厳しい納期の中頑張ってきたのに?


(奥さん)

(電子版の翻訳文章ファイルは)別に減るもんじゃないし送ってあげればいい。(華村さんが)変にヘソを曲げて向こう(客先担当者)を逆に怒らせてもいいことがない。あなた(華村さん)が「この程度で怒る人」「どこで怒り出すかわからない人」として(客先担当者から)評価されることのデメリットの方が大きい


(向井の私見)

華村さんの奥さんの、このコメント。


(電子版の翻訳文章ファイルは)別に減るもんじゃないし送ってあげればいい。(華村さんが)変にヘソを曲げて向こう(客先担当者)を逆に怒らせてもいいことがない。


核心をついていると思います。


客先担当者の頭の中では、「ファイルを無くしたこと」と「ファイルをもう一度送ってもらう事」が、完全に切り離されていると思います。


その二つの因果関係を無視し、「ファイルをもう一度送ってもらう事」だけを見ると、それほど多くの時間、お金、労力がかかる作業では無く、その感覚で依頼しているものと思われます。


では、「ファイルを無くしたこと」について、どうなのか?と客先担当者に問うと、所謂「言い訳」が延々と出てきますが、④で触れたいと思います。


また、客先担当者の人間性にもよりますが、客先担当者を逆に怒らせることについても、その客先担当者が主導権を握る立場にあるのであれば、少し慎重に出た方が良いかもしれません。後々の仕事で色んな仕返しをされる可能性があります。


納期の話になりますが、中国での営業で感じたことは、客は仕入れ先より偉いのが当たり前という考えが根強く、仕入れ先に対する「思いやり」があまり無いと思います。この為、納期の設定も、相手の事を全く考えず、納品される物の製造工程や製造に必要な時間を理解せず、すぐに必要ないものでも早めの納期設定をします。


但し、管理が出来ている企業は別で、部品納期を自社の生産と連動しているので、納品が遅れれば即ラインストップにつながります。


この納期設定の感覚は、中国での(昔の)買い物と同じで、売る方は、買う方が値下げをしてくることを前提にふっかけ、買う方は、売る方がふっかけてくることを前提に値下げ要求をしてくるので、中国の交渉事は、なんでもサバを読むことが当たり前のような感じがします。


中国での営業時代は、無茶苦茶な納期ばかり要求されていましたが、それが客先担当者のエゴによるテキトーな納期設定なのか、本当にそのタイミングで必要な納期設定なのかを確認してばかりいました。中国で物事がスムーズに進まない一因ですね。


④ 中国の人は、言い訳をしている意識が無いのかもしれない?


(華村さん)

(華村さんの翻訳文章を保存した客先の)ハードディスクが壊れたのは不可抗力だとしてもそっち(客先)の都合、最初にこちら(華村さん)に言うべきことではない


(奥さん)

・いろいろ(客先担当者の)言い訳がついてくるのも、日本人から見て違和感があるのはわかるけど、中国では普通のこと


(向井の私見)

言い訳が何故普通の事なのかについても、自分なりに考えてみました。


例えば、日本人上司と、部下の中国人スタッフの場合、上司が部下を叱ります。


素直に謝れば許すという昔からの考えから、上司が求めているものは主に

「謝罪」

なのですが、


「どうして失敗したんだ!」「なぜできないんだ!」

と言われている部下が思う、上司が求めているものは、

「起こったことの理由や経緯の説明」

だと思います。


そのギャップから、中国人スタッフは、全く悪気が無いまま、火に油を注ぎ続けている場面をよく見かけました。


もう一つは、中国の人は、②の、自分の面子の為や、不利にならないようにと言う考えから、自分がどれだけ不利であっても、何か言われたら、とりあえず何か言い返そうとする人が多いです。


この二つの考え方が、私が中国語初学者の頃に学んだ「对不起」(ごめんなさい)という言葉が、中国の現代漢語詞典にちゃんとあるにもかかわらず、実生活ではほとんど聞くことが無かった理由を教えてくれました。


また、中国語で、「因为」という原因を表す言葉と、「所以」という結果を表す言葉がありますが、私も中国で仕事をしていた時は、「因为」ばかり聞かされていたので、「因为」と言う単語は、一生忘れることは無いくらいに憶えたから、今は「所以」を教えてほしいと、よくスタッフに言っていました。



さいごに


色々綴らせて頂きましたが、あくまで私の実体験からの考察で、全員に当てはまるものではありません。相手との関係によっても変わりますが、人間関係は、同じ国の人同士でも難しいので、違う国の人ならなおさらだと思います。



最後の最後になってしまいましたが、華村さんと、華村さんの奥さんのお陰で、多分人生で初めて4,000字近くの文章を書かせて頂けたことに、厚くお礼を申し上げたいと思います。



有難う御座いました!



【お礼】

私が記事を書き続けられるのも、今こうして貴重なお時間を割かれてこの 記事を読んで下さっているあなたのお陰です。本当に有難う御座います!

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今日も「人生これから!」という、自分に甘く優しいプロフィールです。



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