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川勝知事の発言は「差別」か?

またマスコミがバカ騒ぎしている。

そう思った人は多いのではないか。

「県庁はシンクタンクだ。野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、皆さまは頭脳、知性の高い方たち」

これ、差別ですかね。



話のポイントは、「シンクタンク」にある。

「シンクタンク」=頭脳、知性の高い人たち、というのは、ほとんど言葉の定義である。


前後の文脈から見ると、知事は、県庁職員には知性が必要だ、と言いたかった。

県民のために知性を使う仕事、「考える」仕事だ、と強調するために、「シンクタンク」だと言った。

「野菜」や「牛」の例を引き合いに出したのは、「シンクタンク」という言葉を知らない人もいるだろうから、説明のためにフォローしたのだろう。

そういう仕事ではなく、「考える」のが仕事だ、と。

逆に言うと、シンクタンクの人というのは、野菜を売ったり、牛を飼ったり、モノを作ったりできない。「考える」ことしかできない(実践面では弱い)人である。「シンクタンク」というものを実際に知っている人は、そういうマイナスイメージもあわせて持っている。

「野菜」「牛」「モノ」を出したのは、のちに知事が釈明したように、「職種がちがう」ことを言いたいがためだ。


誤算があったとすれば、県庁の職員を「シンクタンク」というのは、持ち上げ過ぎであり、実体に合わない。

知事としては、そう聴衆(新人職員)をおだてて、気持ちよくさせるリップサービスではなかったかと思う。

それで、やる気を出してもらおう、と。


しかし、それが裏目に出て、意図が伝わらず、メディアが「差別」のように言い立てている。


*川勝知事の「シンクタンク」のイメージが、少し古いのも、理解に食い違いを生じた原因ではないか。昔はエリート集団のイメージだったが、今では乱立して、そうでもなくなっている。だから、若い記者たちがピンとこなかった。


スピーチの一部だから、そこだけ切り取れば、言葉足らずかもしれない。

丁寧に、こう言えばよかったと思う。


「県庁はシンクタンクでもある。シンクタンクは、頭脳、知性の高い方たちの仕事であり、皆さまにふさわしい。その仕事の内容は、野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりとかと違い、『考える』ことだ」



これを「差別」とすることに違和感を覚えた人は多そうだ。

河野有理・法政大教授も、こうポストしていた。


某知事の発言、「その知性で他の職業の方々をお支えするのがあなた方の仕事」と付け加えればよかったのではないか。


アスリートを前にして、「皆さんは身体能力に優れているので、机の前で画面を睨んでいる方々とは違う」と言うのであればどうか。もしそれは差別発言ではないが某知事発言が差別だと感じるとすると、そのように感じる観察者の持っている与件の方が差別的ということにならないかなどということは思った。


繰り返しになるが、「職種がちがう」というのが知事発言の主旨であり、

「野菜を売ったり、牛の世話をしたり、モノを作ったりする人は、知能が低い」

ということではなない。

しかし、そういう意味を読み込む人がいるとすれば、

「読み込む方に差別意識があるんじゃない?」

ということだ。

まあ、マスコミの方に差別意識がある。「職業差別」に異常に敏感なのは、彼ら自身の差別意識の反映なんじゃない?


(マスコミは、「最近、こいつ嫌われてるから、辞任に追い込めば、喝采される」と考えたのかもしれない。そういう集合意識がマスコミ内で醸成されることはある。そんなとき、マスコミの私刑としての「問題発言狩り」は、よくおこなわれる。マスコミに引導を渡された形だが、川勝知事も、まあ辞め時とは思うけどね。でも、民主的に決まるべき政治家の「人事」を、マスコミなんかに握られるのが癪だ)



<参考>


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