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「クリスチャン石破」と、右翼・陰謀論界隈

クリスチャンの石破茂が総理になるというので、キリスト教会がどう見ているか、わりに興味があります。

基本的には、教会としては歓迎でしょう。

でも、キリスト教会と言っても、左翼から右翼までいろいろあります。

基本は、「カエサルのものはカエサルへ」で、国のリーダーの悪口は言わない、政治的発言は控えている、とは思いますが。


そんな中で、複雑な思いを感じたのが、沖縄・南城市のつきしろ教会、砂川竜一牧師の説教でした。

砂川牧師は、沖縄の保守活動家として、メディアにも取り上げられたことがあります。


この牧師は、まあ「保守」というより、陰謀論寄りの極右です。(ここではそれが悪いと言いたいわけではありません)

これまでの言説から、リベラルの石破が嫌いなのは、わかっていました。

彼が石破総裁誕生をどう言っているか、興味があったんですね。


それで、9月29日、石破総裁決定後の説教を聞いてみました。


石破茂🇯🇵総理誕生【 マタイ伝 24章 】(つきしろキリスト教会5.0 2024/9/29) 


案の定、冒頭から、リベラル・石破がなぜ嫌われているか、という話でしたが。


それでも、クリスチャンということで、祝福と感謝のアーメンでした。


国のリーダーを悪く言ってはいけません。私、この人の悪口を散々、ほうぼうで言ってますけど、悔い改めてですね。

神様ごめんなさい。石破さんごめんなさい。とここで謝っておきたい。

日本は戦後最大の危機なんです。経済的にも安全保障的にも。

ありとあらゆる面で、内側も外側も危機を迎えています。

そんなときにですね、神様は、イエス・キリストを信じる人を総理大臣にしてくださいました。

これも、神様のご配慮、ご計画だと思います。イエス様に感謝します。

(動画4:00あたり)



で、説教のそのあとは、またいつもの陰謀論的な話になります。

ユダヤ人が古代に日本に流れついた、日本は「もう一つのイスラエル」だという・・

その説教を聞いてて改めて思ったんですけど、砂川牧師の話は、最近の「反ワク」とかの陰謀論者の話と、ほとんど変わらないですね。


陰謀論者の大規模集会


ところで、今年になって、「反ワク」団体が、いくつか大きな集会を開いて、その動員力が話題になっています。

なぜ、陰謀論者たちの動員力が高まっているのか、以下の分析が話題になっていました。


これまでの反ワクチン陰謀論界隈は集合と離散を繰り返しており、大規模な団体が生まれづらい状況にありました。その流れが変わったのは23年の中旬頃であったと考えられます。(中略)

短くまとめると、反ワクチン陰謀論集団が1万人を集めるデモを実現させた要因は、拡散力は高いが統率に欠ける草の根リベラル運動の手法と、人脈を原動力に閉じているが組織化に長けた草の根保守運動とが3年半の歳月をかけ融合し、散逸していた陰謀論支持者同士を結びつける洗練された団体が成立したことだといえます。

「国民連合」や、その発展形である「国民運動」がどの程度の勢力を維持し、どの程度持続するかは未知数ですが、個別の主義主張を一時的に脇に置いた形での熱狂的な集合という印象が否めず、構築的な活動へと移行するためには今のままの状態では問題が伴うように思えます。

なぜ日比谷公園に一万人の陰謀論者が集まったのか(山崎リュウキチ 2024/9/26)


この結論を、私なりにさらに強引にまとめるなら、

これまでのリベラル左翼的で散発的だった陰謀論グループの活動が、佐藤和夫や水島聡らの草の根保守活動家たちによって束ねられて、大きな集会を開けるようになった

ということでしょうか。

実は、上で触れた砂川牧師も、陰謀論者である久保有政らの「日本を愛するキリスト者の会」にかかわる一方で、草の根保守・水島聡の「チャンネル桜」に何度も出ています。


ネットを駆使する陰謀論グループと、従来型の草の根保守が合体して、新たな段階を迎えつつある・・


でも、上の論考で筆者が述べている、「個別の主義主張を一時的に脇に置いた形での熱狂」の危うさが、さっそく露呈しました。

9月28日、東京・有明でおこなわれた反ワクの大規模集会で、1万円の日当でサクラが集められていたことがわかったんですね。


それについては、集会に出演した茂木誠も、「カネで命を奪う人たちを批判する集会なのに、カネで人を集めるとは何事か」と憤激していました。

結局は拝金主義、根本的な病(もぎせかチャンネル 2024/9/29)


ともあれ、陰謀論界隈と、保守政治グループが「悪魔合体」しつつある現実はある。

いつもながらの自民党政治と、いつものとおりそれを報じる既成マスコミによって作られる「現実」の外側に、もう一つ別の現実が広がりつつある実感はあります。

それが、日本の総選挙と、アメリカの大統領選挙を控えたこれからの数カ月で、どのように現れていくか、注目しています。



<参考>


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