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新聞記者という特権階級 「毎日新聞」は潰れるのか

昨日、YouTubeの高橋洋一チャンネルが「新聞テレビが潰れてジャーナリストはどうなる?」という動画を上げていた。

毎日新聞の部数が7月に200万部を切ったことを話題にしたものである。

関係者は知る通り、毎日新聞が200万部を切るのは時間の問題だった。ほぼ全ての新聞の部数が「自由落下」しており、部数の急激な落ち込みは毎日新聞だけの問題ではない。

だが私がマスコミ業界に入った35年前、毎日新聞の部数はまだ500万部あった。

その頃から減り始めてはいた。しばらくして、「400万部を切ったら危ない。400万部が生命線だ」と言われていたのを覚えている。

それが200万部を切ったのだから、多少の感慨はある。30余年で半減以下である。今やブロック紙の中日新聞の部数より少ない。

日経新聞にも抜かれるだろうと思われていたが、日経の部数も意外に落ちているので(180万部台)、まだ毎日の方が多い。

しかし、日経はデジタル版に読者が移行している。毎日がどれほどデジタルの読者を得ているかは情報がないが、多分、少ないだろう。だから、デジタル版を合わせれば、すでに日経にも抜かれていると思われる。

毎日新聞は朝日新聞に続いて値上げしている。その結果がどうなるかも注目だろう。一時的に収入増となるかもしれないし、さらなる部数減を招くかもしれない。

毎日の部数はまだ産経よりも多いが、産経はすでに夕刊を廃止し、販売網を関東と関西に限定して、「全国紙」の看板を下ろしている。

毎日新聞はまだ「全国紙」の看板を掲げている。それを自ら下ろすのか、あるいは、すでにもう全国紙ではないと言うべきか。

毎日新聞は関西や山口・福岡あたりでまだシェアがあるのだが、首都圏で弱いのが致命的だ。

私は神奈川に住んでいるが、購読勧誘のチラシが入っているのは、朝日と読売、東京だけだ。古紙回収の時になんとなく見ているが、購読されている新聞は朝日が多く、他は読売。しかし、新聞を購読している世帯そのものが、すでに3分の1くらいに思える。

コンビニや図書館でも、朝日、読売と地方紙だけ置いて、毎日・産経を置かないところが増えてきている。

毎日は、首都圏ですでに戦意喪失しているようだ。

モノが最も売れるのは首都圏だから、ここで見られないメディアは広告価値がない。言論メディアとしても、影響力が限られる。


そんな毎日新聞だが、来年は150周年を迎える。記念のキャンペーンをやる元気はまだ残っているだろうか。

毎日新聞は現存する最古の新聞だが、この150年、この業界にはほとんどイノベーションがなかったことに改めて気づかされる。イノベーションではなく、既得権を政治的に守ることで生き延びてきたのだ。

高橋洋一も言っていたが、新聞社はコーポレートガバナンスが効かない。日刊新聞法に守られ、株主が事実上存在せず、経営者の独裁である。市場を超越した特権を享受してきた。

若い頃の事件記者は確かに忙しいが、現場から上がれば、あとは定年まで遊んでいるのがほとんどである。全く会社に来ない記者も珍しくない(左翼の活動家に多い)。記者の生産性などは限りなくゼロに近い。

そういう記者が管理職から叱られることはない。組合問題にされると面倒臭いからだ。その代わり、記者も経営者を批判しない。新聞社の経営者も管理職も、元記者の仲間同士だ。そういう馴れ合いで続いてきたのが新聞社の実際だ。

新聞記者は、一握りの優秀な働き者以外は、全員失業して仕方ないと思う。しかし、新聞社にいるのは記者だけではない。営業や総務にいる人にも生活があり、出入り業者や子会社もあるのだから、それは潰れないに越したことはない、とは言える。

毎日新聞は1970年代に一度潰れている。東京日日も事実上潰れた(大阪毎日に吸収された)ので、それを入れれば2度潰れている。だいたい50年ごとに潰れているので、そろそろ潰れる頃ではある。

しかし、いったん潰れても、吸収合併により、あるいは宗教団体の力を借りて、現に政治的に生き延びているのだから、結局潰れない、と見ることはできる。人件費等をギリギリに切り詰めながら、しばらく生き延びるのか(給料が安いと優秀な人材は集まらず、ますます左翼と創価学会員だけが入ってくる)。

しかし、このまま潰れないとなれば、モラルハザードがさらに進み、放漫経営が社会に害悪を垂れ流しつづけることになるだろう。本来、新たな雇用や社会の進歩に使われるべき資本が、新聞というゾンビの存続のために浪費される。

新聞は政治権力が腐敗しているというが、政治家には少なくとも選挙がある。市場という「民意」(本来株主が代表すべきもの)から超越した新聞の腐敗には、歯止めがないのである。

だから、政治権力が、見せしめに毎日新聞を潰す、ということもありうるかもしれない。

世間も、毎日の論調は朝日と同じなのだから、朝日が残ればいい、と思うだろう。

もし、そういうことがあるとすれば、やりそうなのは安倍・麻生あたりなので、新聞としては、こいつらだけは潰しておこうとしているように思える(あるいは、どこかで政治的取引がおこなわれる)。

また、毎日新聞というライバルが消えれば他の新聞社が喜ぶか、といえばそうではない。すでに毎日が「ライバル」でないこともあるが、本来の「競争」がない新聞業界は、自社の成長以上に、今の業界体制が維持できるかに関心がある。現状維持こそが利益というのが共通認識なので、他紙が救済に回る可能性はある。

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