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「少子化」「移民」「改憲」 大問題から逃げ続ける日本の絶望

昨年のいまごろは、岸田首相の「異次元の少子化対策」「少子化対策は待ったナシ」「不退転の決意」という言葉が新聞紙面に躍っていた。


 私は、少子化は我が国の社会経済全体に関わる問題であり、先送りのできない、待ったなしの課題であるとの思いから、不退転の決意で取り組んでまいりました。
 2022年の出生数は過去最少の77万人。今の50歳前後に当たる第2次ベビーブーム世代と比べて4割以下となりました。

(岸田内閣総理大臣記者会見 首相官邸2023/6/17)
https://www.kantei.go.jp/jp/101_kishida/statement/2023/0613kaiken.html


これは、昨年6月2日に発表された2022年の出生数で「予想以上に少子化加速」していたことを受けた発言だ。


だが、その後、たいした少子化対策はおこなわれず、1年がたち、また出生数発表の時期を迎えている。

もうすぐ発表される2023年の出生数は、政府予想を下回り、さらに厳しいものとなる見込みだ。


出生数の減少に歯止めがかからない。現在公表済みの統計などをもとにすると、6月にも公表される2023年出生数(確定値、日本人)は73.1万人程度へと減少する見込みだ。併せて公表される合計特殊出生率も1.21程度と、1947年の統計開始以来最低の水準へと切り下がることになる見込みである。(中略)

足もと、2024年の70万人割れも視野に入る状況にある。このところの少子化加速はあまりに著しい。

2024年の出生数がこの通りに減少すると、昨年リバイズされた国立社会保障人口問題研究所の将来推計人口、その中心シナリオである出生中位仮定の出生数を明確に下回り、悲観シナリオである出生低位仮定に近づくことになる。社人研推計は2024年の出生数増加を想定しており、乖離が広がる構図だ。
(星野卓也「出生数減少が止まらない~現実味を帯びてきた70万人割れ~」第一生命経済研究所2024/5/27)


「待ったナシ」って、何だったのか。

対策案をダラダラつくっていたら、現実が思った以上にさらに厳しく進んで、また作り直して、という繰り返し。

2022年の出生数が80万人を割って「ショックを受け」たが、このままでは、来年発表の2024年の出生数が70万人を割って「ショックを受ける」ことになる。

「ショックを受ける」ばかりで、政治家もマスコミも、なす術ナシである。なんとかしなければ、と焦っている空気もない。

このままでは、国内市場が劇的に縮小し、経済成長はなくなり、年金・保険制度は崩壊する。


それでは、移民を受け入れて、新たな国家像を示そうとしているかといえば、「移民」という言葉を避けて、問題の解決から逃げ続けている。

5月24日の参院本会議で、岸田首相は「いわゆる移民政策を取る考えはない」と発言したがーー


岸田首相の「移民政策をとる考えはない」 との発言に全く意味はない。「事実上の移民政策」をすでに行なっているからだ。さらに今後は育成就労制度の創設を通じて、永住につながる特定技能制度の受入れ数を増加させる方針だ。言葉遊びはやめ、「移民対策」を講じるべきだ。
(玉木雄一郎X 2024/5/24)


で、憲法改正についても、岸田首相は今年1月の施政方針演説で「9月までの任期中に改憲を目指す」としていた。


が、ご承知のとおり、時間切れとなった。


本日をもって、岸田総理の今年9月の総裁任期中の改憲発議は事実上不可能となりました。危機に対応できる統治機構づくりを急ぐべきとの信念に基づき取り組んできましたが残念です。今日も建設的な議論に努めましたが、時間切れです。自民党にはもっとしっかりやってもらいたい。
(玉木雄一郎X 2024/5/30)


「少子化」「移民」「改憲」ーーこれに皇室(天皇制)の問題をくわえていもいいがーーこうした国の大問題、大きな課題から逃げまくって、パーティ券がどうしたといった、どうでもいいことばかり「問題」にしている。

そして、都知事選だ「政局」だ、と大騒ぎしている。


もう日本全体が、将来のことは考えたくない、もうどうでもよくなった、ということでしょうか。

将来のない私のような老人や、甘い汁だけ吸って「逃げ切り」をはかる政治家たちはいいが、若い人はそれでいいのか。

若い人は、もうあきらめているから、子供もつくらない、投票にも行かない、のだろうか。

その気持ちもわかる・・



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