米大統領選のキーワード「ストールン・バロー(Stolen Valor)」=武勇伝泥棒
7日、J・D・ヴァンスが、大統領選対立候補のティム・ワルツを「ストールン・バロー(Stolen Valor)」と非難し始めた。
この言葉が、数日前から英語圏のSNSや米メディアを賑わせている。
What to know about Walz's military record and Vance's accusations of 'stolen valor'(ABC News 2023/8/8)
知らない単語だったので調べたら、「ストールン・バロー(Stolen valor)」とは「軍歴詐称者(Military imposter)」のこと。
「ストールン・バロー」は、同名の本にちなんで、2000年代から使われるようになったらしい。
「バロー(valor)」は、戦場での勇気のことだから、ストールン・バローは「武勇伝泥棒」といった意味か。
ヴァンスは、ワルツが軍歴を誇称していると非難しているのだ。
米共和党の副大統領候補J・D・バンス上院議員が、民主党の副大統領候補に起用されたティム・ワルツ・ミネソタ州知事の軍歴の説明の仕方への批判を強めている。ワルツ氏が2005年に陸軍州兵を離れて連邦議会選に出馬したことに触れ、イラク従軍から逃げたと根拠を示さず非難した。
バンス氏はまた、ワルツ氏が州兵在籍中に戦闘地域で軍務に就いたという虚偽の主張をしているとも非難した。
(CNN 2004/8/8)
日本でも、経歴詐称は(ショーンKみたいに)ときどき問題になるが、「軍歴詐称」はほとんど話題にならない。
だから、「軍歴詐称者」にあたる言葉も、あまり使われないと思う。
アメリカでは、軍歴詐称とともに、ドナルド・トランプのように「徴兵逃れ」疑惑もよく取り沙汰される。
ヴァンスとしては、自分はイラクで銃を撃つ「本物の貢献」をしたのに、ワルツには本当の戦闘経験がない、という点を強調したいのだろう。
日本では、やなせたかしのように、軍隊で銃を撃たなかったことは、戦後はむしろ評価ポイントだが(アンパンマンの作者が、戦争とはいえ人をバンバン殺していたら、イメージがくるうかもしれない)、アメリカでは逆のようだ。
なお、上記Wikipediaによれば、軍歴詐称者はイギリスでは(小説の登場人物にちなんで)「ウォルツ(Walts)」と呼ばれる。
民主党の副大統領候補は「ワルツ(Walz)」で、偶然似ているが、そのことを当てこすっている記事は今のところ見ていない。
<参考>