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【YouTube】カラーで見る「ヒトラーとフルトヴェングラー」

ヒトラーと第三帝国のために熱演する20世紀最高の指揮者、フルトヴェングラー。

歴史的映像が、リストア&カラー化されてよみがえった。

音楽好きに勧めたい、DW(ドイツ公共放送)のドキュメンタリーが、YouTubeで公開中です。

Music in Nazi Germany - The maestro and the cellist of Auschwitz


「ヒトラーの誕生日を祝ってベートーヴェンの第九を振るフルトヴェングラー」

「戦中の工場労働者たちのためにワーグナーのニュルンベルクのマイスタージンガー序曲を振るフルトヴェングラー」

「ワーグナーの聖地バイロイトでワーグナー家の一員として振る舞うヒトラー」

など、クラシックファンや歴史好きなら1度は見たことがある映像でしょうが、きれいなカラー映像で見ると、感動(?)もひとしおです。


ドキュメンタリーの狙いは、ナチに取り込まれいく名指揮者と、アウシュビッツに送られたユダヤ人チェリスト(アニタ・ラスカ)の運命を重ね合わせて、「音楽とは何か」を考えるというもの。

フルヴェン信者のダニエル・バレンボイムやクリスティアン・ティーレマンなどが出演。

ヒンデミット事件や退廃芸術展など、ナチ期の重要な音楽史を、当時の映像でおさらいできる。

残念ながら日本語字幕はありませんが、英語字幕で見ることができます。


前に見たときも思いましたが、バイロイトにいるときのヒトラーの表情が、なんと言うか、いちばん人間的に輝いている。

そのとき、挫折した芸術家であるヒトラーは、自分が偉大なドイツ芸術史に連なっている誇りを感じていたのでしょう。

ヒトラーの本質は、ルートヴィヒ2世と同じ、ワーグナーおたくだったのかもしれない。

彼は、権力の没落と愛による救済を描いた「ニーベルングの指環」を、どのような思いで聴いていたのでしょうか。

ベルリンの地下塹壕で、恋人のエヴァとともに自殺するとき、脳内で鳴っていたのは「神々の黄昏」だったかもしれません。


私の最近の楽しみは、フルトヴェングラーの「ニーベルングの指環」全曲(1953年のイタリア録音)を少しずつ聴くことです。

これを超える音楽があろうとは思えません。

ということで、私の音楽の趣味は、ヒトラーと同じなんですね。だからといって、趣味を変えるわけにはいかないでしょう?

このドキュメンタリーを見たあとは、フルヴェンを聴くたびに、アウシュビッツの光景が脳裏をよぎるかもしれませんが、気にしないようにします。

ナチのプロパガンダに使われたとしても、音楽は音楽だ。その価値は変わらない。それが、このドキュメンタリーの結論でもありますから。

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