かきもち

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かきもち

日常と科学の関係が好きなサイエンスライター。物理学修士。科学読物研究、広報。 著書:『これってどうなの?日常と科学の間にあるモヤモヤを解消する本』『身の回りにあるノーベル賞がよくわかる本 しろねこと学ぶ生理学・医学賞、物理学賞、化学賞』(翔泳社)など。

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緊急時のサイエンスコミュニケーション

緊急時、私の場合サイエンスコミュニケーションが難しくなることが経験的に見えてきました。なぜなのか、どう準備していくかを覚書として書いておこうと思います(色々なやり方があると思います)。 ここでは大規模な災害や感染症などの流行、事件・事故、そのほか社会の動きによって人の健康や生命に危険が及ぶことが想像される場合を「緊急時」として想定します。 緊急時に必要なことまず緊急時のサイエンスコミュニケーションに何が必要なのかをまとめてみます。大きく分けると3点だと思います。 落ち着

    • 今年のノーベル賞受賞者発表の日程が公開されました!自然科学3賞のスケジュール(日本時間)はこちら! 10月2日(月) 18:30〜 生理学・医学賞 10月3日(火) 18:45〜 物理学賞 10月4日(水) 18:45〜 化学賞 https://www.nobelprize.org/prizes/about/prize-announcement-dates/

      • こういうサイエンスの文章が好き

        文章執筆のために、自分なりのこだわりや好きポイントをまとめました。 最近、自分の文章を評価しながら書いているのですが、どこまで何をクリアすればいいのかわからなくなってきました。自分なりのゴールが見えた方がいいと思ったので、ここでまとめておこうと思います。 想定している文章は、高校生以上向けのサイエンスに関する説明文や紹介文です。そして他でもなく自分への注文です…いつもこれを満たすのは難しいけれど、執筆のときに迷ったら参考にしてほしい(自分へ)。 説明の姿勢根本的な法則や

        • 「環境問題」とどう向き合うか 2

          前回、環境問題について書いてから4ヶ月が経過しました。いろいろと調べていく中でまた考えることもあり、メモしておきたいと思います。(長文注意…!) 前回の記事はこちら▽ 「環境にやさしく」が資料に出てこない前回のnoteでは「環境問題に関するコミュニケーションや広報活動には『地球がかわいそうだから環境を守らなくてはいけない』というメッセージにあふれていた」と書いていたのだが、最近の資料をあたっていると、こうしたメッセージや考え方はほぼ出てこない。むしろ否定されていることが多

        緊急時のサイエンスコミュニケーション

        • 今年のノーベル賞受賞者発表の日程が公開されました!自然科学3賞のスケジュール(日本時間)はこちら! 10月2日(月) 18:30〜 生理学・医学賞 10月3日(火) 18:45〜 物理学賞 10月4日(水) 18:45〜 化学賞 https://www.nobelprize.org/prizes/about/prize-announcement-dates/

        • こういうサイエンスの文章が好き

        • 「環境問題」とどう向き合うか 2

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          「環境問題」とどう向き合うか

          お仕事の中で環境問題についてふれることが出てきたので、少し考えをメモしておきたいと思います。ここで結論を出すことはせずに、考える過程を記録しておくことにします。 「地球にやさしく」するための環境保護「環境問題」という言葉には複雑な響きを感じる。単に環境の汚染や変化という意味だけではなく、それを問題としているという視点が入っている。科学におけるどんな問題もそうなのかもしれないけれど、問題を提起し、捉え、解決しようとする人がいる。そうした人々の気配をこの言葉からはまず感じる。

          「環境問題」とどう向き合うか

          春ですね 🌸🍵

          春ですね 🌸🍵

          科学の進む方向について話すために

          『まだ見ぬ科学のための科学技術コミュニケーション 社会との共創を生み出すデザインと実践』をご恵贈いただきました。奥本先生、種村先生、ありがとうございます! 近年注目されている、社会に浸透する前の科学技術に関する市民の対話について、科学討論劇、参加型展示、サイエンスカフェなど、CoSTEPでの実践内容を中心にまとめられた書籍です。 日々、開発や研究に関する情報が世界中の研究機関や研究者から発表されています。科学ニュースなどの形で紹介できることはとても嬉しいのですが、一方でな

          科学の進む方向について話すために

          しばらく体調不良でお休みしておりました。ちょっとずつ回復しつつ、ゆるゆる過ごしています。少なくとも年度末までは体調を見ながら活動することにしました。今年は仕事上でのターニングポイントもありそうな年でして、大事に過ごしたいと思います。遅ればせながら、今年もよろしくお願いします☕️

          しばらく体調不良でお休みしておりました。ちょっとずつ回復しつつ、ゆるゆる過ごしています。少なくとも年度末までは体調を見ながら活動することにしました。今年は仕事上でのターニングポイントもありそうな年でして、大事に過ごしたいと思います。遅ればせながら、今年もよろしくお願いします☕️

          かわいいサイエンスイラスト 2022年

          今日の文献はかわいいキャラクターがアウトリーチにどう貢献するのかをまとめてくれている文章です。論文ではないけれど、心理学的にも言及していたのでメモしておきます。 ※以下、ざっくりメモです ※参考文献の話と私の私見が混ざります。ご注意を…! サイエンスのイラストはどんなものか科学読み物の中で、あるいはアウトリーチの機会にイラストをどう制作するか。私の場合はこんな感じで制作します。 ・対象の定義や説明、過去にビジュアル化された例について調べる。 ・ひとまず形にする。イラストに

          かわいいサイエンスイラスト 2022年

          『化学』12月号がとてもよかった

          10月のノーベル賞発表後、各誌でノーベル賞特集が組まれています。今回、大変ありがたいことに月刊誌『化学』12月号をご恵贈いただきました。 拝読いたしまして、「そこが知りたかった!」というポイントをカバーしてださる記事で、勉強になりました。おすすめです。 月刊『化学』とは説明するまでもないながら、復習として… 『化学』は、化学同人さんから出版されている化学に特化した月刊誌です。全編、難しい言い回しや硬い雰囲気ではなく、やわらかく温かい雰囲気の紙面が展開されています。 特徴

          『化学』12月号がとてもよかった

          近未来の科学読み物 2013年

          科学読み物は時代と共に変化してきたのかもしれない…電子書籍が生まれて、また歴史が変わりつつある。近未来の科学読み物はどんなものだろう。 ・インタラクティブ 読者の意思を反映して変化する。物体の質量や速度が変更できるなど。 → "Basic Books" やサイエンティフィック・アメリカンがすでに2011年に取り組み始めている。ファインマン先生の講義とノーベル賞受賞者の講義を収録したiPad向けに出版するなど。他、音声が収録されているアプリ形式も。 インタラクティブなアプリ

          近未来の科学読み物 2013年

          デザインと感情と理解と 2013年

          ・マルチメディアを教育に活用 ・学習者のポジティブな感情を引き出す効果 ・その効果を、色と形に分けて検証 Q. 審美的に優れたデザインは、学習者のポジティブな感情を引き出せるのか?そしてポジティブな感情は学習者の理解を助けることができるのか? ・well-designed materials :ポジティブな感情を引き出し、理解しやすく ・情報伝達: emotional design には影響されない emotional design …マルチメディア学習環境において、学習

          デザインと感情と理解と 2013年

          読書を研究するということ 2006年

          いい本を作りたい、と思ったとき、いい本であるかをどのように評価すべきか。私は読書体験による人の変化によって評価すべきだと思う。読書によって変化したのか、したとすればどのように変化したのか。「良い」変化を作り出せる本を、「いい本」と定義してみたい。 しかし読書を定量的にとらえることって、できるのだろうか。読書によって人に起きている現象を調べることはできるのか。アンケートをとる?脳波をとる?それとも…というわけで、行き詰まったので、拝読することにした。 ・日本図書館情報学会に

          読書を研究するということ 2006年

          プレスリリースと論文 2016年

          ・2005年から2015年の間に、どのような論文がプレスリリースされているのかを調査。特に大学関連。 ・情報源は日経テレコンというデータベース。(このようなものがあるのだな) ・科学雑誌リストとして、クラリベイトのJounal Citation Reports、日本学術会議の協力学会リストも使っている。 ・学術関連のリリースを抽出するために、14,582件のプレスリリースを文ごと、形態素ごとに区切って分析。どの科学誌に掲載された論文かを調べている。 ・「Nature

          プレスリリースと論文 2016年

          一方向コミュニケーションは悪なのか

          前回宿題とした、<弱いロボット>に関する論文はまだ読んでいる途中。今回は科学技術コミュニケーションに関する文献を紹介する。 科学技術コミュニケーションにおいて、しばしば科学への不信感がテーマとなる。急速に発展する科学技術や、それらの研究開発を担う科学者を信用しない、信用できないと思っている集団を想定しよう。(私もそういう時がたまにある) その集団の人々が科学を信用しない・できないのは、科学についての知識が不足しているからだ、とするのが欠如モデルにおける考え方である。知識が

          一方向コミュニケーションは悪なのか

          ノーベル賞の本を書こうと思ったきっかけ

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