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パワフルな女性が活躍する国パレスチナ≪翻訳記事≫

「イスラム圏の女性は抑圧されている」
という言葉を耳にするし、パレスチナの話をすると時々女性の状況について尋ねられます。

イスラム圏全体のことは分かりませんが、パレスチナの状況に関しては直近でこう答えました――

ケースバイケースだと思います。私が知り合ったなかですら、状況は様々。イスラム教徒で、お見合い結婚が当然と受け止めている自分より若い世代もいれば、未婚でバリバリキャリアを積んでいることをご近所や患者さん(病院で働く)からよく思われていないと悩んでいる人にも出会いました。地域によって、外を長時間出歩くことが良しとされなかったり、逆に全然OKだったり。キリスト教徒もいるので、さらに多様です。

現地にいた時、一般論はどちらなのだろうと結論を見出そうとしたのですが無理がありました。グラデーションがあるのですね。

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架け箸では、過去にも何度かパレスチナで活躍するパワフルな女性を紹介して来ました。

今回も、雑誌This Week In Palestineから行動的なナジャットさんのお話を。

彼女は1968年生まれ。4人の息子さん、2人の娘さん、9人のお孫さんを持つお母さんでいて、地域のため国のため、バリバリ働いていらっしゃいます。

現在はとある村の首長を務めているそうです。
ちなみに、パレスチナでも女性リーダーが珍しいから取り上げられているのだと思いますが、日本の状況も調べてみました。女性は、792人の市長のうち25人つまり3%!徳島の女性市長さんのインタビューに掲載されていました。面白くないですけど面白いことに、パレスチナのナジャットさんも徳島の方も

女性が意思決定の場に不在である

ことを指摘しています。(https://www.news24.jp/articles/2021/03/08/07835756.html
(※町村長のデータにはたどり着けませんでした)

なのでナジャットさん、27歳の頃には既に女性のエンパワーメントに乗り出し、自宅を女性団体の事務所に提供しています。37歳で地元の議会選挙に出馬し当選、農業組合や幼稚園、女性連盟を創設し、仕事が無く入植地(パレスチナの中に作られているイスラエルの飛び地)に働きに出ざるを得ない女性たちに雇用を生みました。

こうして地域密着型で活躍する一方、全国的な交易の連合や委員会、フードバンク、社会的責任を推進するアラブ世界の団体の創設まで、一体ナジャットさん何人いるの、と言いたくなる躍進っぷり。

直近の新しい仕事はコロナ対策の委員会。

2010年からは、国連安保理の1325番決議⤵

をパレスチナで広めるべく、益々女性のエンパワーメント目線でもお仕事されています。

2000年10月に採択されたこの1325番決議は、人類史上初めて女性の意思決定への参画は必須であると謳われた決議で、特に紛争が女性に及ぼす影響に言及、平和構築や平和維持、人間の安全保障に女性の声をもっと増やさなければならないとされました。

市長になって数か月のナジャットさん。
これから先、何度も紙面を飾ってその名声はもっと大々的に、日本にも届いてくるかもしれません。

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Cover photo; This Week In Palestine(With permission)
※「入植地」は国際法上は違法な、占領地のなかに作られたさらなる占領地を指します 。
※パレスチナに対し記事内で「国」という呼称を使っていますが現在国連の正式加盟国ではありません。便宜上の問題と、現地の方への敬意を込めてそう呼んでいます。


架け箸はこれからも継続的にパレスチナを訪れ、日本に出回らない生の情報を発信したいと思っています。いただいたサポートは渡航費用や現地経費に当てさせていただきます。