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「狭い日本、そんなに急いでどこに行く」はぁ?広すぎるだろ。自宅と会社の往復しかしてない奴が偉そうに。

リニア新幹線の工事に関係した話で久しぶりにこれを見かけたんですよ。カッコつけてますねぇ。自分では上手いこと言ったつもりなんでしょうけどね、今どき何言ってるんだと。もう令和ですよ。バカか。

もしかしてあなたの言う日本って、自宅と会社の往復だけだと思ってませんか。あんたの住んでる世界が狭すぎるだけでしょう。

得意げにこんなこと言って喜んでるようじゃ、自分は視野の狭いアホだと宣伝してるようなもんですよ。

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大前提としてこの国は広いです。

本州だけでも端から端まで1500km。
長さだけじゃなくて面積でもドイツ・イタリア・英国より広くて、ヨーロッパの殆どの国に重ねてみたらだいたいはみ出しますよ。韓国なんて北海道をちょっと膨らませたくらいしかないんですよ。

国土に山が多いとかそういう言い訳は無用です。山があろうがなかろうが都市間の距離は変わらないから。
狭いってそういう意味じゃないですよね。だってどこへ行く?って言ってるんだから。

だいたい土地が無かったらコメや野菜の自給率が80〜100%になるわけ無いじゃないですか。小学生でも騙されませんよ。

「外国」ということばが「アメリカ」とほぼイコールになってるようなシンプルな脳内回路の方には想像もつかないと思いますが実際この国は充分過ぎるほど広いです。

だからこっちは一秒でも速く移動したいんだよ。これまでも、これからも。

自分の狭い観測範囲がこの国の全てだと思うなよ。

本来はスピード違反を戒めるための標語なんですね。交通戦争と呼ばれた70年代の。古いですね。

現在ではちょっと意味が変わって、斜に構えた人たちが上から目線で使うイメージになってたりする。

「私はお前らと違って急がないですけどね」みたいな。

お客様は神様とかおなじような話ですかね。いずれにせよ不愉快ですね。

技術やインフラの進化が環境を破壊してるんだから無駄な公共事業はやめようとか二位じゃダメなんですかにも通じる昭和的リベラル思想。

また、自分達は進歩的であり、モーレツ社員(これは死語ですね)のように心を亡くすまで働かなくても幸せを手に入れられているのに、それに比べてお前らはなんなんだ、というような侮蔑的ニュアンスも感じますね。

自宅と会社の往復以外特になにもすることのない方々が広さに関してどう思おうがそれは個人の自由なのですが、実際のところオンラインの電子的やり取りだけではどうにもできないお仕事は依然として世の中に存在して、飛行機や新幹線、そして自動車で今日も日本中を駆け回っているさらりまん達がいるのは事実なんですよ。

たとえ世界中が未知のウイルスに冒されようとも行かなければ成らない、そういう仕事は確かにあるんです。

そこに対してもっとのんびり行けとか堪ったもんじゃないですよね。同じ24時間を生きる人間に対して失礼ですよ。

今日食べた埼玉県産のほうれん草や熊本県産のトマトがどうやってあなたの口まで届いたのか、それを買い付けに言った人達はどう商談してきたのか、MADE IN JAPANの”JAPAN”とはいったい日本のどこを指しているのか、そのどこかの工場に届けられる部品や機械、そしてエネルギィはどうやって、誰によって、供給されたのか。

あなたを構成する全ては、どれくらい”狭い”範囲のもので出来ていますか。

今の便利な生活と安い値段のすべてが、その狭い日本を一生懸命駆けずり回った誰かのお陰なんですよ。

少しでもそういう想像力があれば、とてもじゃないですけど恥ずかしくて言えないと思いますね。

根本にあるのは自分に関係の無いものは排除しても良いという残虐な思想。どこまでが自分に関係しているのかを想像する能力の欠如、無知と無教養。

かっこつけて良いこと言ってやったぜみたいなアホを見る不愉快さですよ。

意識高そうな人達ってそういう細かい所への配慮や詰めが甘くて自分の見たいものだけを見て、世界はそれだけで構成されてるとカン違いちゃっているから「意識高い系」とか言って馬鹿にされるんだと思いますよ。

新幹線が時速500kmになったり、国内線が音速に迫ったり、高速道路の速度制限を時速300kmとか無制限になってたら話は別ですけど、そんな時代がくるまでは、ああいう下らない標語を使う人が一人でも減ることを祈っています。

自分の手を汚さずに済む恩恵に預かっておきながら、そこへの感謝も尊敬も忘れてしまうような人間には、なりたくないですね。

この国がもっと狭くなりますように。

苦労する人が一人でも減りますように。

というか70年代なんて電車もクルマも遅くてもっと日本は広かったので同じように反発した人一杯いたと思いますが、日本が狭いってことにしておかないと困る人達でもいたんでしょうかね。

まあなんとなく、想像はつきますけどね。







おしまい

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