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ランドスケープアーキテクトになるために学ぶソフトウェアと表現スキル

私がデザインを学び始めたばかりの頃、頭の中に何かしらのアイデアはあるのだけれども、それを表現するスキルが乏しく、手が動かない状態で悩みました。当時はAdobeやCADといったソフトウェアの名前さえも知らず、建築やランドスケープのコンペの優秀作品を見ても、こんな素敵な図面やパース(空間のイメージ図)を作る方法がイメージできず、何から始めたら良いのか分からずに一人で挫折感を感じていました。

メルボルン大学に留学し、AdobeやRhinoceros、AutoCAD、GISなど様々なソフトウェアを学びました。留学前はこれらのソフトウェアはあまり使ったことがなく、とても高い心理的なハードルを感じていたのですが、順を追って教えて貰えば、これらのソフトウェアはそんなに難しくありませんでした。下のイメージは私がメルボルン大学に入って3ヶ月で作ったものです。本記事では、そもそもランドスケープアーキテクトになるためにはどのようなものを作れると良いのか、そしてどういったソフトウェアを使えると良いのか、ソフトウェアの勉強法について紹介します。

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ランドスケープアーキテクトとして作成できると良いもの

学生の間でも、就職してからでも基本的にランドスケープアーキテクトとして作成するものは以下の5つです。

・ダイアグラム(抽象的なコンセプトを表現するイメージ)
・平面図、立面図、断面図等の図面
・パース(提案がどのような空間になるかを伝えるイメージ図)
・模型または3Dモデル
・文章や積算書(文章はコンセプトや調査内容を書く、積算書は主に就職してから)

まずは基礎的な図面、(平立断面図)が書けるようになることが第一歩、その次にダイアグラム、パース、模型や3Dモデリングと順を追って学んでいくのが良いと思います。
基本的に上にあげた5つを作成するために手書きを含めてどんなソフトウェアを使っても良いですが、それぞれ相性の良いソフトウェアがあります。

ダイアグラム(手書きやIllustrator)
図面(AutoCAD、Vectorworks等のCADソフト)
パース(手書きやPhotoshop)
模型、3Dモデリング(SketchUp、Rhinoceros)
文章等(Word、Excel)

多くの設計事務所もこのような使い分けをしているので、就職した際にも使えるスキルになるかと思います。とはいえ絶対的なものではないですし自由度高くデザインを楽しんで頂けたら幸いです。

最初に学ぶべき表現スキル

図面作図とCAD

最初のステップとしては手書きで基礎的な図面(平面、断面、立面図)が書けるようになると良いと思います。建築や造園関係の図面の書き方を最初に学ぶと良いと思います。下の2冊の本はまず必要となるペンや定規等の道具、線の種類や意味などが丁寧に説明されており参考になりました。
慣れてきたらAutoCADというCADのソフトウェアを使って同じように線を引いてみると良いと思います。線を正確に書くためのソフトウェアです。AutoCADで出てくる「コマンド」という考え方が分かりづらいかもしれませんが、画面上で「l(あるいはline)」と打つとマウスで線が引けるようになり「c(あるいはcircle)」と打つと円が書けるようになるというだけです。その後、長さや直径を数字で打ち込んで「enter」を押して正確な図面を書いていきます。こちらも3冊目の本を参考に作図してみて下さい。

ダイアグラムとIllustrator

次のステップとしてはダイアグラム(コンセプトを抽象的に伝えるイメージ)の作成の練習を行うと良いと思います。こちらも手書きでも問題ないですし、AdobeのIllustratorを使って作る人・事務所が多いかと思います。
伝えたい抽象的な考え方を図にしたものがダイアグラムです。
どのような表現をしても良いので自分に合った表現方法を模索すると良いと思います。まずはPinterestといったデザイン系の事例を調べるウェブサイトで「landscape diagram」と調べるなどしてイメージを膨らませると良いと思います。

デジタルで作成する場合はIllustratorを使うことが多いですが、私は高機能なPowerpointのようなものだと思っています。Powerpointと比べてオブジェクトを正確に拡大することができたり、点線の幅を調整することができたりと操作性が良いです。Powerpointを使ったことがある方はあまり問題なく使うことができると思いますが使いこなすためには1冊本を買って機能を学ぶと良いと思います。やりたい操作を行うための方法を調べやすい逆引き事典を買って、操作をしながら学ぶことをおすすめします。また下のYouTubeチャンネルでは実際に操作しているところを見ることができるのでダイアグラム作成の流れがわかりやすいかと思います。


パース作成とPhotoshop、SketchUp、Rhinoceros

パースも手書きでもPhotoshopでも問題ありません。雑誌を切り抜いて貼り合わせるフォトモンタージュという手法や、3Dモデルを精密に作ってレンダリングする方法、3Dモデリングで作ったベースにPhotoshopでテクスチャや樹木等の素材を加えていく方法など様々な表現方法があります。最近はAIでイメージを作る方もいます。
私は大学生の頃、プロジェクト毎にパースのスタイルを変えて、様々な表現方法を練習するようにしていました。

まずは手書きと写真を切り抜いてフォトモンタージュを作るなどしてPhotoshopの操作に慣れることをおすすめします。(実際に雑誌をハサミで切り抜いて糊で貼り合わせるといった手法もとても良いと思います。)ここで作ったフォトモンタージュでも十分にイメージを伝えることができるのであれば問題ありません。
Illustratorと同じく逆引き事典等を使って実際に触りながら学ぶことをおすすめします。

上で紹介したのは基礎的なパースの作り方ですが、パース作成で最も一般的なのは3Dモデリングで作ったベースにPhotoshopでテクスチャや樹木等の素材を加えていく方法です。Photoshopの操作にある程度慣れたら、次のステップとして3Dモデリングに使うSketchUpやRhinocerosを学ぶと良いと思います。

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