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フリーランスで国際協力!? 原貫太さんに取材してみた。



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フリーランス国際協力師 原貫太

学生時代、フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに国際協力活動をはじめる。ウガンダの元子ども兵や南スーダンの難民を支援。布ナプキン支援プロジェクトなどに従事。 現在は”フリーランス国際協力師”としてブログTwitterを通じて、アフリカ・社会問題や国際協力などの情報を発信している。


会長 高校生の時はどのような人だったのでしょうか。また、高校時代に培った今の活動に生きてる経験などを教えてください。

原さん 高校生の時、国際協力やボランティアに関しては全く興味がなかったですね(笑)。
中高一貫校の進学校だったので部活と勉強、つまり文武両道の両方を頑張る人だったと思います。

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高校時代。水泳に明け暮れていた。(中央)


当時は水泳部に所属していて週6日練習がありました。部活に明け暮れる中、限られた時間でいかにして勉強するのか。時間の有効活用をするために、”自分を律する”ことが必要だったんですよね。それは現在の自分の仕事にも必要で、フリーランスという自由な身である一方、ストイックに仕事と向き合うための自立心は高校時代に養われたと思います。
また、アフリカなどの海外に飛び回るためには体力が重要なんです。それらの基礎体力は水泳部で鍛え上げたおかげだと思っています。


会長 国際協力NGOを起業するために、就職の道を捨てたことに対して、当時不安などはあったのでしょうか。
 
原さん 不安とワクワクの両方がありました。大学を卒業し、同級生たちは就職していく中、NGO団体を起業する際に少し不安を感じました。でも、自分が心からやりたいと思ったことを始めることに”これから何が始まるんだろう”というワクワクがありました。                   あと、学生でそういった活動を始めると応援してくれる人が沢山いたんです。それらの後押しもあって、ワクワクが不安を上回り、決意が固まりました。            

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大学一年生の春に訪れたフィリピンにて、ストリートチルドレンの子どもたちと。

 会長 フィリピンから日本に帰国した後、学生団体を立ち上げたり、アフリカで難民支援を始めるなどの活動を始めていますが、これらの行動力は昔から身に付いていたのでしょうか。
 
 原さん 昔から自分が興味を持ったことには飛びつくタイプで、それが行動力があると呼ばれているだけだと思います。今でも気を付けていることは ”思い立ったらすぐ行動!”の前に、自分で調べる・いろいろな人に話を聞くという姿勢は大切にしています。
特に最近はインターネットやSNSで手軽に物事を調べることが出来ます。行動する前に、まず自分なりに調べる。その過程で方法・知識を身に着け、その上で行動することが大切だと思います。

 会長 原さんの活動の一つに ”生理用布ナプキン支援” というものがありますが、今でも日本でタブー視されている生理はアフリカではどう扱われているのでしょうか。

原さん  生理用品支援はアフリカのウガンダで行っていました。ウガンダは貧困層の多い国で、ボロ布やマットレスの切れ端を使って生理を凌いでいる女の子もいて、現地の生活基準から考えれば使い捨てナプキンは「高級品」にさえ分類されています。
そのため、生理が来ると学校を休みがちになってしまう女の子も多く、大事なテストと被ってしまえば進級することも叶わず、中には学校をドロップアウトしてしまう子もいるのが現状です。
また、ウガンダでは生理を語ること自体がタブー視されている地域も多いため、生理が原因で教育を受けられない女の子の問題は今まで放置されていました。
僕が思うに、この問題の原因の一つは生理に対する現地男性の無理解だと思います。そのため、このプロジェクトでは初期の段階から男子を巻き込んでいます。
一人は寸法を測り、一人は布を切り、一人は糸を縫う。女子と役割分担をしながら、男子にもナプキン製作に関わってもらっています。

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現地での、布ナプキン支援プロジェクトの様子。

 会長 アフリカでの海外ボランディアの経験の中で、印象に残ったこと・嬉しかったことはありますか。
 
原さん  自分が日本に帰っていた間も生理用ナプキン支援の活動が現地の人たちによって継続されていたことは、活動の自立を目指している僕にとって印象に残りました。
また現地の学校の先生に、布ナプキンの作り方を教えてくれたおかげで学校を休む女子生徒が減ったことを聞いたときはとても嬉しかったです。
 
 
会長 パートナーであるサイラスさんと出会ったきっかけを教えてください。

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ウガンダの現地パートナー、サイラスと原貫太。

原さん サイラスと出会ったきっかけは、全然大したことないです(笑)。もともと、国連関係のボランティア活動をしている僕の友人がウガンダに居て、その人が参加した現地のエアロビクス大会に偶然サイラスがいたんです。その友人とサイラスが意気投合したらしく、現地でボランティア団体を立ち上げたりしたんです。
それで友人がサイラスを紹介してくれて、僕自身も意気投合したので、一緒に活動するようになりました。


会長 インターネットで ”アフリカ 支援” と調べると多くのNGO・国際機関があることが分かります。
しかし、それら多くの支援団体があるのにもかかわらず、なぜ今でもアフリカは発展しているイメージが定着しにくいのでしょうか。


原さん 前提としては、様々なデータなどに目を通してみるとアフリカ各国の貧困率や初等教育普及率などは改善傾向にあるため、この数十年で確実に発展している事は事実です。
例えばウガンダ首都カンパラには高級ショッピングモールが建設されたりなど、経済成長が著しい場所もあります。
一方、田舎や都市部のスラム街では貧困に苦しんでいる人たちが多くいることも事実で、それら経済格差の原因は一概に説明することは難しいのですが、一つ挙げるならば「海外から援助がアフリカの自立のために使われていない」事だと思います。
僕が活動をしているウガンダの国家予算のうち、約50%が海外からの援助によって占められています。国家財政を海外からの支援に依存していたら、資金を援助してくれる西欧諸国と対等な立場で外交することも、自国の政策を自分たちだけで決定することもできません。
アフリカ支援を考える上で知ってほしい言葉があり、
”魚を与えるのではなく、魚の釣り方を教えるべきだ。”          
という中国の哲学者である老子の言葉です。
今の海外援助に必要なのは、ただ支援するのではなく、自立のための支援を行うこと。
つまり、「現地の人たちが自立するためのサポートをする」という支援のあり方こそが、これからアフリカが本当の意味で発展するために欠かせないと僕は考えています。


会長 フリーランスで国際協力を行うモデルは今後広がっていくのでしょうか。

原さん 広がっていくと思います。従来の国際協力の構図は、国際機関や政府機関などの組織が行うということが主流であったと思います。
でも逆に、大きな組織であることが活動を阻害するといった問題や、資金の流れが不透明といった問題が生まれる場合があります。
今の時代はインターネットを用いて、クラウドファンディングやブログ・Youtubeでの広告収入などの資金調達の方法は沢山あり、個人やNGOでの活動を始めやすい環境なので、相対的に見れば広がっていくと思います。

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原さんのYoutubeチャンネル。社会問題/環境問題/国際問題について解説している。

会長 原さんのように国際活動をしたいと思っている人たち、特に中高生が今から始めるべきことなどは何かありますか。

原さん 沢山ありますが、一番僕が伝えたいのは ”哲学をすること” ですね。言い換えると、答えのない問いを考え続ける姿勢を持つことです。
国際活動を行う中で、
”何故、国際協力を行うべきなのか。”
”何故、困っている人を助けるべきなのか。”
などの問いと向き合う時が必ず起こります。それらは様々な方向からの考え方があり明確な答えが無い点が、学校で習う”答えがある問題”との大きな違いです。
この広い世界を生きていく中で、答えのない問いを考え続けなければならない。その姿勢が”哲学”であると思います。

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アフリカ・ウガンダにて、元少女兵アイーシャさんにインタビューを行っている様子。

会長 最後に将来、国際協力活動をしたいと考えている中高生に向けて、アドバイスをお願いします。

原さん ”今、自分自身が何をすればいいのか” と思っている人に向けて言いたいのは、”焦らなくていい” と言うことです。
焦ってしまうと ”スキルを習得しよう” や ”英語を勉強しよう” といった表面上のことばかり追いかけてしまい、物事の本質的な部分を考えずに終わってしまうかもしれません。
中高生は社会人などと比べたら、好きなことを追求できる時期、良い意味で人生に悩める時期だと思います。
時間がたっぷりある今だからこそ、”自分は将来、何をするべきか”といった「答えのない」問いと、ジックリ向き合ってほしいです。         つまり、                                           ”焦らずゆっくりと。哲学してください。”ということです(笑)。

会長 ありがとうございました!


原貫太さんのTwitter , YouTube , blog は←ココから!!


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1994年生まれ。フリーランス国際協力師。早稲田大学卒。
フィリピンで物乞いをする少女と出会ったことをきっかけに、学生時代から国際協力活動をはじめる。大学在学中にNPO法人コンフロントワールドを設立し、新卒で国際協力を仕事にする。出版や講演、ブログを通じた啓発活動にも取り組み、2018年3月小野梓記念賞を受賞した。
大学卒業後に適応障害を発症し、同法人の活動から離れる。半年間の闘病生活を経てフリーランスとして活動を再開。現在はウガンダのローカルNGOと協働し、最貧困地域での公衆衛生改善プロジェクトを実施中。他にも講演やブログ、YouTube、オンラインサロンの運営にも携わるなど、「フリーランス×国際協力」という新しい働き方を追求している。著書『世界を無視しない大人になるために』



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