"勉強のできない生徒"というレッテルが火をつけ、“探究”科目の教師となった今(インタビュー)
*このnoteは、現在通っているライティング講座の課題(モノローグ記事の書き方をマスターする)として書いたものです。
今思うと、私は、学生時代、面倒くさい生徒だったと思うんだよね。
勉強が苦手で、しょっちゅう先生から呼び出されていたし。
その上、やけに正義感だけはあってね。「間違ってる」と思うことは、例え先生であっても楯突いたり。
でも当時から、将来は教師になろうって決めてたんだ。
動機としては、劣等感や叛骨精神かな。
何があっても学校に休まず通うことや、クラブ活動に一生懸命取り組むこと、周囲の生徒に気遣いを持って接することなど。
そういう側面には目もくれず、“勉強ができない生徒” というレッテルを貼り、そういう私としてしか見てくれないことが、かえって火をつけたんだよね。
教師たるやそれではいけないのではないか?
私だったら、その子の個性をもっと伸ばしてあげられる関わりができるはず。
自分がなんとかしてやる!って。
幸い、数学だけは得意だったし、周囲の子に教えてあげた際に、「分かった!」って喜んでもらえることが嬉しかったので、数学の教師を目指すようになったんだ。
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そこから今こうして教師になり、本当に学ぶことが多い日々だと感じるよ。
数年前に、長年担当していた数学から、「探究」の授業を受け持つことになったんだけど。
探究という教科は、必ず一つの正解が出る数学と違い、個人や組んだチームによって、答えが無数にある。
自己を知ることや、他者との違いを知り、理解し合うことを学んだり。
周囲や世の中の、どんなところに問題や課題があるのか?
それをどのように解決できるのか?
そのような問題意識を持つことや、解決のために思考したり行動を起こすために、どのようなカリキュラムを設計し、導いていけば良いのかを考えることは、正直相当難易度が高い。
また、自分たちが学生の頃にはなかった授業だし、生徒からどのような反応が起こるかも分からないから、常に緊張感があるしね。本当に奥が深くて面白いよ。
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実際、私もよく自分と向き合うようになったよ。
例えば、今自分が何とかしなきゃと思っている感情は、実はエゴなのではないのか?と。
自分がやらなきゃ気が済まないのか、本当にその子が、目の前にある山を越えさせてあげたいからやってるのか、どっちなんだろう?
実は自分が何とかしたいと思う欲求を満たしたいだけなのでは?と気づいて。
そこは手放して、その子が越えることが目的なのだから、そのためにどうしたらいいかを考えよう、と思えたり。
最近はそのように内省する機会も増えたし、何より生徒が生き生きと好きなことに没頭して、自ら進みたい道を決めて叶えていく姿を見ていると、この仕事をしていて本当に良かったと感じるよ。
<インタビュー後記>
今回インタビューをさせてもらったのは、中・高一貫校の同級生だった友人でした。
彼女とは、中学3年、高校1年の時に同じクラスでしたが、一緒にいるといつも笑いが絶えなくて、お互いに当時を振り返り「よくもまぁ、毎日、あんなに笑ころげてたよね」と言い合うほど、記憶にある彼女との学生生活は、とにかく楽しくて良い思い出ばかりでした。
当時から、彼女の数学の成績は際立ってましたが、それ以外の教科とのギャップが激しくて、頭がいいんだか、そうじゃないんだか、分からない笑
けど、とにかく底抜けにいい奴だし、大好きな子。
私にとっての彼女はそういう存在でした。
そんな彼女に今回インタビューをさせてもらい、まさか既に高校時分には、教師の道を志す様になったという事実を知り、衝撃でした。
毎日バカみたいにふざけあっていた彼女の内側には、そんなに熱いものが既にあったなんて…
学生時代に先生から貼りつけられたレッテル。
そこから芽生えた劣等感や叛骨精神。
彼女を教師の道へと進ませたかつての原動力は、今、目の前の生徒たちに向けての愛や信念へと昇華し、惜しみなく注がれている様子が、インタビューをさせてもらい、ひしひしと伝わってきました。
文字数制限のため伝えきれなかった忘れられないエピソードなど。
ぜひまた別の機会にご紹介してみたいと思います。
また。
このインタビューがきっかけとなり、この秋に、実際に彼女が現在受け持っている中学2年生の学生に向けて、単発での「探究」の授業を実施させていただくことが決まりました。
偏差値や他者との比較だけではなく、
自分の内側にある宝物(価値観、強み、ユニークな特徴)に、まずは自分自身で目を向けてみよう!
そこで見出せた宝物を武器に、この先、どの様に道を切り拓いていくことができそうか? 少し未来に向けてイメージを膨らませてみよう!
彼ら、彼女たちとそんなことを一緒に考える授業をしてみたいと思っています。
果たして、どんな反応が返ってくるのか。
想像すると今から楽しみで仕方ありません。
その模様も、また後日お届けしたいと思います。
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