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タイムリープで母を幸せに『こんにちは、私のお母さん』

中国は1979年から2014年まで「ひとりっ子政策」という人口コントロールをやっていた。

だから、4人の祖父祖母、2人の親という6人でひとりの子供を育てるということを「1−2−4体制」という。日本でも6ポケットといって、6人の親族で、孫を可愛がるから、孫のランドセルがどんどん高価になる一因は少子化だと言われている。

この作品の主演であり、監督と脚本も兼ねているジア・リンが1982年生まれであるから、きっとひとりっ子なんだろう。映画の中でも主人公に兄弟のいる気配はない。母親がひとり娘に期待し、ひとり娘は母親の期待に応えられずに苦しむところから物語は始まる。とはいえそれほどシリアスでもなく、コメディで、そのスタイルが80年代のトレンディドラマっぽくて、いなたい感じ。ねらってそうしているのか、もともと演出家としてそういうことをする監督なのかはわからない。

予告編でも言っているので、ここに書いてもいいと思うが、この娘が、タイムリープして、自分が生まれてこなくてもいいから、母を幸せにするために過去を変えようとするストーリーになっている。

舞台・テレビ・映画で活躍する人気喜劇女優ジア・リンが、自身の母との実話を元に監督・脚本・主演に初挑戦した本作。元気と明るさだけが頼りで、何もするにもまるでダメで母に苦労ばかりかけていた娘が、母と巻き込まれた交通事故をきっかけに 20 年前の 1981 年にタイムスリップ!?迷惑をかけてきた母の幸せのため、別のお金持ちの男性と結婚させるべく孤軍奮闘!それがたとえ自分が産まれてこないことを意味したとしても…。

(『こんにちは、私のお母さん』公式サイトより引用)

タイムリープした過去での若いお母さんのモデルは監督・脚本・主演のジア・リンの本当のお母さんで、本当のお母さんにやってあげたかったこと、後悔が物語に詰まってるから、まあ、すごく泣けるんだね。ジア・リンが白黒の映像のなかにタイムリープする場面は『カラー・オブ・ハート』を思い出した。初代ピーター・パーカーのトビー・マグワイアが1950年代の白黒テレビドラマの世界に入り込んでしまう物語。

公式でもここまであらすじを書いているということは、物語はここでは終わらず、最後にさらに泣かせる筋を用意している。子供は「あなたはそのままで、あなたらしく生きていい」っていう許しを与えてくれた大人のことは、一生忘れないよね。そんなふうに思わせる展開。

僕もひとりっ子なので、母親が生きているうちに喜ばせることができたかどうかを反芻しながら観ていた。母親が亡くなってもう6年になる。懐かしくて少し痛い映画だった。

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