観劇レポ十三代目市川團十郎襲名披露巡業かぶきDOU其の76アフタートーク
いつもかぶきDOUを御愛顧いただきありがとうございます✨
前々回の番組でもご紹介しましたが十三代目市川團十郎襲名披露巡業公演が行われています。
福岡では9/14(土)J:COM北九州芸術劇場大ホールで開催されました。
午前11時と午後3時の2回公演で行われ、私は午後3時の公演を観劇しました。今回は観劇レポートをお届けいたします!
祝幕
襲名披露公演でまず私たちが楽しめるのは祝幕のデザインですね💕飾られていたのは伊藤園さんからのもので、左手に13代目市川團十郎白猿丈江とかかれています。そして中央に成田屋の家紋の大変大きな三升が描かれておりました。劇場内は撮影不可でしたが、團十郎さんの公式ブログに画像が掲載されておりますのでぜひご覧ください!
祝成田櫓賑(いわうなりた しばいのにぎわい)
まずはおめでたい舞踊 祝成田櫓賑です。
舞台は江戸の芝居町、登場する皆様も江戸風情ですが現代の十三代目市川團十郎襲名をお祝いしようと盛り上がっています!
当時の江戸で花形の職業 鳶頭を勤めるのは市川右團次さん、大勢の若い者を連れてご登場です。
若い者たちが着用しているのが
稲を刈る鎌のデザイン
輪っかの◯
ひらがなの ぬ
を合わせた「かまわぬ柄」の着物です。歌舞伎十八番を選定した七代目市川團十郎が舞台でこのデザインの衣装を着用したことで大流行となり以降、成田屋の柄となっています。当時の歌舞伎役者はファッションリーダーの役割も果たしていました。
そして若い者たちのアクションが素晴らしかったです!空中一回転とんぼ返りなどの大技を大勢で美しく決めてくれます。
そして舞台向かって下手(左側)の壁沿いに作られた花道から市川九團次さん勤める鳶頭と、大谷廣松さん勤める芸者お孝がやってきます。
芸者お孝は一服でも…と誘う片岡市蔵さん勤める芝居茶屋の亭主たちを拒否して「何がなんでも早く成田屋さんに会いにいきたい!」と推しへの熱烈な想いを手ぬぐいを使って表します。
さらに右團次さんが3つの面を使って
恋しい人を思う傾城
恋の相手のお大尽
太鼓持ち
のやりとりを踊り分け、廓の男女の機微を艶やかに表現されていました。賑わいの中に歌舞伎のエッセンスが詰め込まれた襲名披露に相応しい華やかな舞踊でした✨
口上
続いて十三代目市川團十郎襲名披露 口上です。
幕が鮮やかな青をベースに成田屋ゆかりの荒磯模様の波と大きな三升があしらわれたデザインとなっておりました✨
◯中村梅玉さん
北九州は5年ぶりのお目見えです。十三代目團十郎さんの全公演にご出演されています。
「十三代目の良いところは、伝統を守り革新を加えること」
河内山で共演されている梅玉さんは「十三代目の河内山は先輩方とちょっと違う。こうしてくるんだ面白い!」と話されました。
◯十三代目市川團十郎さん
小倉は3年ぶりとのこと。昼の部の前に行われた植樹式について触れられました。
團十郎さんによりますと植樹された苗木は小倉城にも移植されるそうです!
「小倉が大好き。父が来たおり、お寿司屋さんに連れて行ってもらった」と、お魚(特にまぐろ)が大好物だった十二世市川團十郎さんとの思い出にも触れられました✨
さらに成田屋一門の市川新蔵さんの地元が北九州で、新蔵さんのご家族から差し入れがあったという心温まるご当地ならではのエピソードをご披露いただきました。
今後、成田屋さんと北九州のコラボレーションが生まれたら素敵ですね!
天衣紛上野初花 河内山(くもにまごう うえのの はつはな こうちやま)
休憩を挟みまして河竹黙阿弥 作 天衣紛上野初花 河内山です。
番組では前々回「河内山」をかぶきDOU解説いたしました。よろしければこちらもご覧ください↓
まずは桜井新之丞を勤める市川九團次さんが登場します。桜井は河内山サイドの人間です。
歌舞伎では長いお芝居のよりぬき部分を上演することが多いですが今回は前段階の河内山の素顔の部分が割愛されています。
新之丞勤める九團次さんがこれまでのあらすじをとても分かりやすくご紹介してくださいます。
解説がストーリーに上手に組み込まれていて観客を飽きさせない演出上の工夫がなされていると感じました。
将軍家の菩提寺 寛永寺の使いの僧侶になりすました河内山(市川團十郎)は松江藩出雲守(中村梅玉)から腰元 浪路(中村莟玉)を解放することに成功します。
依頼主である質屋の上州屋からは解決金として200両もらっていますがこれに飽き足らず河内山は「山吹のお茶を一服所望する」と出雲守サイドに口止め料を要求します。山吹色のお茶=小判を運んでくる間に河内山がお香を炊く美しい所作がありますが、江戸城で大名をもてなす茶坊主としての仕事と、僧侶の所作が共通しているところをうまく活かしているなぁと思いました。
扇子の目録と称して小判を出雲守の近習頭 宮崎数馬(大谷廣松)が運んできますと河内山が一瞬ギラっとした目つきに変わります。目録を受け取りギョロッと辺りを見渡す河内山の目つきと間合いに本性が滲み出ていました。
しかし不意に背後から聞こえてくる物音に一瞬動揺する様子が客席の笑いを誘いました。
そして家臣の北村大膳(片岡市蔵)に正体を暴かれた時の河内山は「あー…」と声をあげ手にしていた扇子を落とします。河内山大丈夫かな?!と思ったら「知ってたのかぁ」と肩でクククッと笑い開き直ります。
家老の小左衛門(市川右團次)は江戸城に出雲守の悪評が立たぬように河内山をあくまでも寛永寺の使いの僧侶として丁重にお送りしようとします。
これをうけて再び僧侶モードにもどる河内山ですが、最後 花道で出雲守に「ばーかめー」と捨て台詞を吐き、再び僧侶モードになって満足そうに笑みを浮かべて花道をあとにしました。
團十郎さん勤めます河内山の僧侶になりきっている場面と本性が露呈する場面との切り替わりがとても見応えがありました!そしてクライマックスの清々しさがこの演目の最大の魅力だと思います✨
いかがでしたでしょうか?観劇気分をあじわっていただけたら幸いです。
9/27石川県小松市團十郎芸術劇場うららまで巡業は続きます。
気になる方は歌舞伎公式総合サイト歌舞伎美人でご確認のうえ、ぜひ足をお運びください!
そして2022(令和4)年11月12月の歌舞伎座から始まりました十三代目市川團十郎襲名披露 八代目市川新之助初舞台の公演も、大阪松竹座十月大歌舞伎で大千穐楽となります。
市川新之助さんは夜の部でお父様の團十郎さんと親子で連獅子を勤められます!チケット一般販売は9/20(金)となっております。
縁の一曲 十三代目市川團十郎さん
歌舞伎役者さんにゆかりの曲をお届けする縁の一曲のコーナー♪
今回は十三代目市川團十郎さん成田屋です。
2010(平成22)年3月に松本清張生誕100周年を記念して日本テレビで制作されたスペシャルドラマ「霧の旗」で海老蔵時代の團十郎さんが現代劇初主演を勤められました。
ミステリー小説の巨匠 松本清張さんは北九州市御出身です!今回の襲名披露巡業北九州公演との縁を感じて選曲いたしました。
じわじわと破滅に向かっていく團十郎さん勤める若き敏腕弁護士の大塚と、この曲が美しくシンクロしておりました。モーツアルトでレクイエムをお届けしました♪
公演かわら版
11年ぶりの上演となる博多座 スーパー歌舞伎ヤマトタケルは10/8(火)に初日を迎えます!
中村隼人さんと市川團子さんが小碓命後(おうすのみこと)にヤマトタケルと大碓命(おおうすのみこと)をWキャスト、さらに帝(みかど)の使者を交互で勤められます。
そして兄橘姫(えたちばなひめ)と弟橘姫(おとたちばなひめ)姉妹の2役と、みやず姫を中村壱太郎さんと中村米吉さんがWキャストで勤められます。
隼人さん 團子さん 壱太郎さん 米吉さんがスーパー歌舞伎ヤマトタケルで揃うのは博多座が初めてとなります。
博多座HPに中村隼人さん&市川團子さんのスペシャルインタビューの前編が公開されています!
配役がお日にちで異なりますので博多座HPでご確認ください
めでてえなあ9/11-9/17
お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介する
めでてえなあのコーナーです。9/11から9/17がお誕生日の皆さまです。
公演スケジュールが公開されている方のお名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますので何卒ご了承ください。
9/11 中村好蝶さん
中村時蔵一門
9/12 市川猿四郎さん
澤瀉屋
9/12 中村莟玉さん
高砂屋
9/14市川翔三さん
市川猿翁一門
9/14中村獅童さん
萬屋
9/15片岡亀蔵さん
松島屋
9/16坂東亀蔵さん
音羽屋
9/16坂東巳之助さん
大和屋
9/17片岡松四朗さん
片岡仁左衛門一門
今回9名の皆様でした。お誕生日おめでとうございます!
9/17アーカイブはこちらからどうぞ
スタジオには麻布十番 麻の葉さんの手ぬぐい隈取五種(博多座限定)を飾らせていただいております♪
次回は9/24(火)午前10時〜FM77.7Mhzで25分生放送です!権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりませんのでご了承ください