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星合世十三團かぶきDOU其の64アフタートーク

いつもかぶきDOUをご愛顧頂きありがとうございます。博多の街は博多祇園山笠(7/1-7/15)の準備が着々と進んでおります。写真は博多駅前で現在組み立て中の飾り山笠です。出来上がる工程を観られるのも醍醐味です♪
今回のかぶきDOUは来月開催の歌舞伎公演からピックアップしてご紹介いたします。


星合世十三團13役かぶきDOU解説

歌舞伎座では7月大歌舞伎が開催されます。昼の部は通し狂言 星合世十三團(ほしあわせじゅうさんだん)成田千本桜 市川團十郎十三役早替り宙乗り相勤め申し候 です。
古典歌舞伎の三大名作の一つである義経千本桜のドラマ性に焦点をあてて描かれた星合世十三團は2019年7月に13代目市川團十郎さんが海老蔵時代に初演されました
主な登場人物13役!を鮮やかな早替りで披露され、さらに宙乗りなど歌舞伎の魅力が詰め込まれた演出で大変話題となりました。
今回は團十郎襲名後初めての上演となります。先日の取材会では13役の衣装がずらりと並んでいました。
團十郎さんは会見で「歌舞伎を観たことがない方も、気軽にお越しいただきたいと思います。現代では敷居が高く感じられるかもしれませんが、歌舞伎は元来敷居の高いものではありませんでした。日本の文化を気軽に楽しんでいただきたいです」と笑顔で語られました…歌舞伎美人より

今回は團十郎さんが勤められる13役についてかぶきDOU解説いたします。上演前につき演出が異なる点もあるかもしれませんが、ご観劇の参考にしていただけたら幸いです✨

1.左大臣 藤原朝方(ふじわらのともかた)

平家討伐の手柄をたてた源義経が平知盛、維盛(これもり)、教経(のりすけ)の首を持参しますが藤原朝方はニセ首だと激怒します。
しかしこれは義経の策略でした。実際は捜索中であるとわかると、恩賞として義経に初音の鼓を渡します。これは後白河院からの院宣で「兄の頼朝を討て」という意味でした。


2.卿の君(きょうのきみ)

堀川御所にいる源義経の正室ですが平家方から嫁いでいます。


3.川越太郎

源頼朝の使いです。義経が初音の鼓を賜ったと知った頼朝から「兄に対して謀反する気持ちがあるか義経を見極めるよう」命じられています。さらに義経に「卿の君の首を討ち頼朝に差し出すよう」命じます。 実は川越は卿の君と深い繋がりがありました。


4.武蔵坊弁慶

義経に惚れ込み主従となりますが、鎌倉方の兵士を弁慶が討ってしまい義経は都落ちとなります。


5.渡海屋銀平 実は新中納言知盛

平知盛は壇ノ浦の合戦で入水して死亡したと思われていましたが、生きていました。
船頭に身分を落として銀平という名で生活しています。源氏への恨みを晴らす機会を狙っているのです。そこに義経主従がやってきます。しかし義経を前にその願いは叶わず、碇を体に巻きつけ海に飛び込む壮絶な最期は大変有名です。 


6.入江丹蔵(いりえの たんぞう)

渡海屋で共に身分を偽り暮らしていた安徳天皇と典侍の局(すけのつぼね)に「義経は知盛の策略に気付いており計画は失敗した」と報告。敵を道連れに海に入水します。


7.主馬小金吾(しゅめの こきんご)

平維盛の主従です。維盛が高野山で生きていると噂で聞き、北嵯峨の庵にいる維盛の正妻 若葉の内侍(わかばのないし)と嫡子の六代君(ろくだいぎみ)を呼びにきました。
しかし平家の落人詮議に見つかってしまい自分が盾になって若葉の内侍と六代君、庵の主 妙林を先に逃します。その後を追いますが敵に阻まれ討死にします。


8.いがみの権太

大和国(現在の奈良県)下市村の、椎(しい)の木のそばにある茶店に旅姿の権太が現れます。
妙林は体調がすぐれない六代君のために茶店の女将に薬を頼みます。権太は休憩する若葉の内侍たちに近づきます。
椎の実を拾い始めた六代君に「それは虫食いだ」と声をかけた権太は「木から落とした実を拾ってやる」と椎の木に向かっていきました。
実はその隙に荷物が取り変えられ、権太は「20両が無くなった」と因縁をつけます。大事にできない身の上の為、仕方なく権太に金を払い三人は茶店をあとにします。
茶店の女将 小せんは権太の女房です。夫の悪行を咎めますが権太は気にも止めません。権太が溺愛する息子は六代君と同じ年頃です。
悪人の権太が父親にみせる本心「もどり」が見どころです。


9.鮨屋 弥左衛門

弥左衛門は平維盛の父に大きな恩義がある為、弥助と称して維盛をかくまっています。
しかしそれが梶原景時にバレてしまい、首を討つよう命じられてしまいます。
たまたま小金吾の亡骸を発見し、その首を維盛と偽るためにこっそり鮨桶に入れて持ち帰ります。 弥左衛門の息子は先ほどご紹介した「いがみの権太」ですが、今は勘当中の身です。
母親に金の無心をしたところで弥左衛門が帰ってきたため、慌てて権太は鮨桶に金を隠して様子を伺います。
維盛をかくまっていた事を知った権太は情報をリークして褒美を貰おうと企てますが、自分の鮨桶と小金吾の首が入った桶を取り違えてしまいます。
ここから悲劇が始まるのでした…


10.弥助実は三位中将 維盛

弥助は弥左衛門の娘 お里に惚れ込まれて祝言をあげることになりますが、自分は維盛で妻子がいることを告げて謝罪します。
そこに偶然、若葉の内侍と六代君がやって来て再会となります。


11.佐藤忠信(ただのぶ)

吉野の僧侶を束ねる川連法眼(かわつら ほうげん)の館に匿われた義経は、家臣の佐藤忠信と再会しますがどうも話が食い違います。
そこに伏見稲荷前で別れた静御前がやってきて義経と再会します。静御前は「佐藤忠信を伴ってきた」と言います。「鼓の音を鳴らすと忠信が現れて時折、鼓の音色に聞き入っていた様子だった」とのこと。
義経の指示で静御前が奥の間に入って鼓を鳴らしてみると忠信が現れます。


12.佐藤忠信実は源九郎狐(げんくろうぎつね)

初音の鼓は源九郎狐の両親のキツネの皮からできていました。
父と母が恋しくて、義経の手に渡った初音の鼓を追いかけてきたのです。
静御前の危機を源九郎狐が佐藤忠信に化けて救ったのがきっかけでその姿で帯同していました。
しかし、両親から巣へ帰るよう促された気がした源九郎狐は、今生の別れに涙しながらその場を去ります。兄 頼朝から追われる身となってしまった義経も家族離散の悲しみは痛いほど分ります。再び鼓を打って源九郎狐を呼び出して初音の鼓を授けるのでした。
大喜びの源九郎狐です!義経たちが吉野の悪僧らに夜討ちをかけられることを察知した源九郎狐は、鼓のお礼に狐の妖術で敵を翻弄し撃退します。


13.横川覚範(よかわのかくはん)実は能登守教経(のりすけ)

覚範は吉野の荒法師です。平教経は源義経と互角の力と評判でしたが、壇ノ浦の戦いで海に飛び込み死亡したと思われていました。
しかし実際は覚範になりすまして生き延びており、平家の恨みを晴らそうと機会を狙っていたのです。 兄の命を教経に奪われた佐藤忠信との一騎打ちとなります。


…いかがでしたでしょうか?星合世十三團の13役の大まかな解説をお届けしました。
全てを團十郎さんが勤められます! 13人の内、誰1人欠けても物語が成立しない緻密な配役となっていますね…とんでもないスピードでの早替りも要所要所にありそうです!
会見で團十郎さんは「早替りの舞台裏はF1のピットインのよう」と話されていました…歌舞伎美人より

複雑な相関図の通し狂言 星合世十三團の世界観を少しでもイメージしていただけましたら幸いです!


縁の一曲〜初代片岡千之助さん〜

歌舞伎役者さんにゆかりの曲をお届けする縁の一曲のコーナー。 今回は初代片岡千之助さん 松嶋屋 です。
現在公開中の映画「九十歳。何がめでたい」に千之助さんがご出演中です!

昨年100歳を迎えられた直木賞作家 佐藤愛子さんのベストセラーエッセイ集を映画化したものです。 草笛光子さん演じる断筆宣言をした90歳の作家 佐藤愛子。 唐沢寿明さん演じる編集者の吉川は愛子に連載をオファーするために手土産を持ち何度も足を運びます。 千之助さんは吉川と同じ部署の若手社員 水野役でご出演です。
松竹チャンネルのインタビューで千之助さんは「水野という、つかみどころのあるような、ないような男の子を演じさせていただいています。いい意味で強烈な個性のあるキャラクターに囲まれた面白い作品なので色んな方にみて頂いてハッピーな雰囲気を味わって頂ければと思います」とコメントされています。
主演の草笛光子さんは御年90歳です!
千之助さんの祖父 片岡仁左衛門さんが孝夫時代に赤穂藩 浅野内匠頭役で出演された、1975年放送のNHK大河ドラマ元禄太平記草笛光子さんも徳川家 お伝の方として出演されています。
そして千之助さんのお父様 片岡孝太郎さんは唐沢寿明さんとドラマ白い巨塔で共演されています。松嶋屋三世代に渡っての共演は素晴らしいですね!

音楽 湯浅譲二 ♪元禄太平記のテーマ曲をお届けしました。


イベントかわら版 船乗り込み

大阪松竹座で開催の七月大歌舞伎を前に6/29㈯に「船乗り込み」が開催されます。

今年は関西・歌舞伎を愛する会 結成四十五周年のメモリアルイヤーとなっております。遠方で足を運べないという皆様!Youtube松竹チャンネルで生配信も行われますのでぜひオンラインでご参加ください!

2024年6月29日(土)
スケジュール(予定)です
※当日は雨天決行、警報発令時は15:00からの式典のみ開催されます
14:20 出航
本町橋(ほんまちばし)船着場

14:45 戎橋(えびすばし)東側で船上より口上

大阪松竹座まで移動
15:05 式典(大阪松竹座 劇場前にて) 

15:35 終了予定
詳しくは関西・歌舞伎を愛する会のHPをご確認ください

麻の葉さん手ぬぐい展@丸善博多店

かぶきDOUのスタジオを素敵な手ぬぐいで彩って頂いております麻布十番 麻の葉さんの手ぬぐい展が福岡で始まっています!会場はJR博多シティ アミュプラザ8Fにあります丸善博多店の文具スペースです。
夏らしいデザインや歌舞伎の手ぬぐい、手ぬぐいハンカチ、手ぬぐいを扇面に使った扇子(数量限定)、手ぬぐいエコバッグ、アートフレーム等々バラエティー豊かな品揃えとなっていますので皆様ぜひ足をお運びください♪
期間は7/25まで 営業時間は10:00-20:00です。


めでてえなぁ6/19-6/25

お誕生日を迎えられます歌舞伎役者さんをご紹介するめでてえなあのコーナーです。
6/19から6/25がお誕生日の皆さまです。お名前と所属 屋号をご紹介します。五十音順となっておりますのでご了承ください。

6/20坂東守若さん
大和屋

6/21中村翫之さん
中村鴈治郎一門


今回は2名の皆様でした。お誕生日おめでとうございます!


6/25アーカイブはこちらからどうぞ 

かぶきDOUのスタジオでは博多座6月大歌舞伎昼の部の演目にちなみまして 麻布十番の麻の葉さんのご協力で手ぬぐい原画作家 大城戸建雄さんの作品 恋飛脚大和往来 新口村の手ぬぐいを展示させて頂いておりましたが今回で千穐楽となりました。 スタジオを凛とした雰囲気に包みこむ手ぬぐいの魅力を改めて感じさせて頂きました。心より感謝申し上げます。


※次回は7/2(火)午前10時よりFM77.7Mhzで25分生放送です!
権利の関係でYou Tubeには音楽BGMが入っておりませんのでご了承ください


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