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海外在住者がただウィーンの魚について語るだけのnote

Hallo.かぬしゃいです。
今週末はウィーンは雪模様です。Augartenにも銀世界が広がり、親子で雪だるまを作っている様子がとても微笑ましいのですが、道路が凍る翌日を考えると、ちょっと気が重くなります…。

さて、本日はただ語るシリーズ、魚編。
ただ思いの丈をだらだらと書きとどめるだけですが、お時間ある方は是非ともスクロールを下に進めていただければと思います。

焼き鮭難民の私。

突然ですが、私の好きな食べ物トップ3は以下の通りです。
1,ラーメン
2,からあげ
3,焼き鮭
このあとに、白米(つや姫)が続きます。
では、嫌いなものはと言うと…
1、たくあん(理由:味、食感、匂い、見た目、すべてがNG)
2,みょうが(理由:脇役のはずなのに、主役級の主張をしてくるから)
3,黒パン(理由:シンプルにまずい)

御覧の通り、好きなものは日本食です。
例えば、「今週はがんばったから、今日は奮発してラーメンでも食べよう♪」なんてのは、日本食が人気なウィーンではできなくはない話ですが、コスパ・お味ともに日本に劣るため、だったら家で出前一丁のインスタントに味玉とメンマとのり(チャーシューは面倒なので却下)でいいか、ということになります。
とはいえ、ラーメンであればなんとかおいしいものを食べることはできますが、「焼き鮭」はいまだ食べられておりません。

いや、あるにはあるんです。
スーパーで鮭を買って焼けばいいのです。しかし、お味が…。

こちらの鮭は、北欧から生鮭がそのまま来ることが多いからなのか、塩鮭にしておらず、焼いた後も魚の臭みが強く、私の知っている塩気の適度に効いた焼き鮭にはならないのです。
塩気の強い味を好むこの地なので、塩辛いくらいかと思っていたら全くの逆でした。

会社のクリスマスパーティーで行ったレストランのビュッフェも同じで、ソースにはめちゃくちゃ凝るんですが、鮭が魚臭くて味がしない。そして、調理中に、鮭の中の油や水分が全部もってかれるので、パサパサしていました。

焼き鮭がおいしくない理由

なぜ、こんな忌々しき事態になってしまっているのかということを勝手に考察すると、下記の4点になるかと思います。

1,「魚の新鮮さ」の概念が日本とは違う
2,塩鮭を使っていない
3,オーブンが焼き鮭に適していない
4,解凍後の魚の扱いが下手

勝手ながら解説していきます。

1,魚の新鮮さの概念の違い
日本人は魚が鮮度が第一ということはみんな知っています。朝に港に上がってきた魚を、その日のうちに刺身や寿司で食べることが魚のおいしさを最大限に生かした食べ方でしょう。だからこそ、新鮮な魚を食べるためだけに旅行に行く人もいます。
一方のオーストリア。
この国には海がありませんので、オーストリア伝統料理には海魚の料理がありません。ゆえに、魚のパフォーマンスが最大になる食べ頃や食べ方の知恵というものは存在せず、「腐らなければ大丈夫」「変なにおいがしてなければ大丈夫」というのが魚の鮮度に対する認識です。
よって、港にあがってから、あるいは解凍してから2日、いや3日くらいなら新鮮な部類に入ってくるかと思います。

ここで、2番目のポイントにつながっていきます。

2,塩鮭を使っていない
日本もすべての地域が海に接しているわけではなく、山間の町や村では新鮮な魚を手に入れることが難しいため、長期保存のできる方法が考えられました。それが、塩漬けにする方法です。
塩鮭にすると、塩味が濃くなりますが、おいしさを保ったまま食卓に届けることができます。
しかし、魚の鮮度をあまり気にかけていないオーストリア(欧州全般かもしれません)では、鮮度が落ちる前に塩で長期保存できるようにするなんてことは考えず、輸入された鮭をそのまま料理するために、鮮度の問題もあいまって焼き鮭が魚臭くなってしまうのかと思います。

3,オーブンが焼き鮭に適していない
日本の台所とオーストリアの台所で大きく違うところのひとつに魚グリルがあげられるでしょう。
オーストリアでは魚をグリルするとなると、大きなオーブンで魚にたっぷり調味料と油を上からかけて、さらにソースをかけて野菜と一緒にぐつぐつすることになります。鮭も同様です。
これはこれでおいしいのですが、しかし、やっぱり魚の油や水分がどこかに取られて、パッサパサになるのです。
これも、魚を焼くための経験値、技術の差かと思います。
日本の魚焼きグリルは、魚がおいしく焼けるように工夫されて作られています。遠赤外線でふっくらおいしい!なんて宣伝をよく目にしますよね。
一方、オーストリアでは、魚だけを焼く需要がないので、魚を焼く機械の技術開発も進みませんし、それ故にいくらオーブンでがんばってみても、おいしく焼けないのです。

4,解凍後の魚の扱いが下手
鮭に限らず魚全般に言えることなのですが、この点はスーパーに行くと良くわかります。
少し高いスーパーは氷の上にきれいに魚がディスプレイされていて、海鮮ゾーンは高級感に溢れています。しかし、庶民的なスーパーに行くと、目の死んでいる川魚(小さめの鱒)が無造作に冷蔵庫の中に入っているのが、日常の光景です。
これをオーストリア人に話すと、「元から死んでいる魚の目が死んでいるのは当たり前だろ」と言われたのですが、日本人の皆さんなら「魚の目が死んでいる」という意味わかってくれますよね。

川魚がこれなので、氷の上に並べられていた海魚も鮮度チェックも頻繁にはされず、かっこいいディスプレイとして飾られているだけなのでしょう。
よって、一般の食卓に魚が届けられるころには、鮮度どころか味も落ちているので、私はスーパーで魚類は一切買わなくなってしまいました。

なお、これは冗談でよく私が友人に話すのですが、
「ウィーンの魚は3回死ぬ。
1回目は、地中海で水揚げされた時。
2回目は、アルプスを越えた時。
3回目は、ウィーンにたどり着いて、卸業者で保管されているとき」
これには、オーストリア人であっても笑いながらもそうかもね、なんて納得してくれます。

まとめ

以上のように、勝手ながらオーストリアの焼き鮭がなぜおいしくないかを考察してきましたが、まとめますと、
「魚料理の伝統がないために、保存方法も調理方法も調理器具も発達せず、焼き鮭がおいしくない」
ということになるかと思います。

日本を離れた時点で、日本食は諦めていましたし、おいしい焼き鮭も食べられなくなることは覚悟しておりましたので、値は張りますが、日本食が食べたい時に食べられることに感謝しています。
とはいいつつ、魚の能力を最大限に生かすにはどうすればいいのか、ということを魚の卸業者さんがもう少し考えてくれてもいいのでは、と思う昨今です。

お付き合いしていただきありがとうございました。

それでは、また次回!

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