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変わることが怖かったぼくへ

10代の頃は変化がこわかった。

自分が変わっていくことに対して、
危機感なのか何なのか、
正体のわからない漠然としたものが、
胸の奥の方を覆っていた。


特に大学に入って交友関係が一気に広がると、
世界の広がりに合わせるために、
自分自身にも変化が求められた。


バイト、部活、学科、ゼミ、
それぞれで見せなければならない顔が違う。

それまでの人生で、せいぜい2種類くらいの顔しか手持ちがなかった18歳の青少年には、
すこしキャパオーバーな要求だったかもしれない。


変化の圧力に対抗するように、
自分を曲げたくないという類いの弱々しいプライドが、漠然とした怖さという形で僕の中に侵食し、静かに、変わることを拒んでいた。


そんな感覚を、ふと懐かしく思う30歳のぼくは、いま新しい挑戦のために、どんな風に自分を変えていこうかとワクワクしている。



変わりたくねえよな。



そう言って呑み明かしたあの狭くて古いアパートでの日々は、すこし苦くも微笑ましくて、
ぼくが間違ったふうに変わっていってしまわないように、いまも見張ってくれている。

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