たまこ曹長

生きて、考えて、気づいたことを書いて、ときどき読み返してみたり。

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最近の記事

短歌風『散歩』

忘れるために歩く足先を落ち葉とぬかるみと小石にゆだねて あっちの道が良かった気がしたときに見つけた古本屋 肌寒さをここぞとばかりに利用したコンビニおでん サブスク音楽のビートで変わるシャッフル歩調 チワワに吠えられるのはいいけどダックスフンドだとちょっと気になる 大通りに出そうな道を見なかったことにするのが探検

    • 短歌風『3歳』

      チョキを出すのにあんなに苦戦してたのに年をきかれてらくらく出すゆび3つ 錆びたメリーゴーランドに乗るのは最後だよと言いながらくずす千円札 帰り道 カゲがすっごく大きいねと不思議そうな顔に向けたお父さんはもっと大きいよ そのエネルギーを半分わけてもらえたらちょうど良いのに 布団と外の温度差が この前は にがいって言ってなかったじゃんと色どりなくなったスープ たった3本のろうそくをきみが吹き消しただけでぼくの30本がまとめて明るい

      • ああシナジーよ

        昔からシナジーという言葉に強烈に惹かれている。 というより憧れている。 シナジーを平たく言うと、 協力し合う人たちの一体感が高まってMAXになった時、通常ではあり得ない熱量で大きな力を発揮するという状態のことで、 よくスポーツでゾーンに入るとか言うたぐいのやつの、いわばチーム版みたいなイメージだろうか。 例えば、 スラムダンクの山王戦が映画化されたが、あの時の湘北はまさにシナジーを発揮している。 というかスポーツ漫画で主人公は大抵無名のチームだけどなぜか強豪校相手にジャ

        • 知のロマン

          ちょっと前に、この漫画がすごい、か何かで取り上げられて話題になった 「チ。―地球の運動について―」は、アカデミアに残りそこねて知識人に半端な憧れのあるボクにとって、好みの内容だった。 物語の舞台は中世なのか、地球が太陽の周りを公転しているという地動説じゃなくて、地球を中心にすべての星が回ってるんだという天動説が当たり前だった時代のようで、 宗教的理由から、地動説を口にしようものなら大騒ぎになり、下手したら処刑されるような中にあって、 真に正しい知識と知恵を追い求めるヤツら

        短歌風『散歩』

          変わることが怖かったぼくへ

          10代の頃は変化がこわかった。 自分が変わっていくことに対して、 危機感なのか何なのか、 正体のわからない漠然としたものが、 胸の奥の方を覆っていた。 特に大学に入って交友関係が一気に広がると、 世界の広がりに合わせるために、 自分自身にも変化が求められた。 バイト、部活、学科、ゼミ、 それぞれで見せなければならない顔が違う。 それまでの人生で、せいぜい2種類くらいの顔しか手持ちがなかった18歳の青少年には、 すこしキャパオーバーな要求だったかもしれない。 変化の圧

          変わることが怖かったぼくへ

          「幸せ」と「美しさ」について

          幸せとは何か。 かつて厨ニだったぼくは、延々と考えた。 そしてこれこそが、幸せです。という答えを得ることはなかった。 何か一つの人生をとりあげて、それこそが「幸せ」としてしまうと、 そうでない生き方を否定することにもなる。 金持ちになることこそが幸せと思うと、 あの頃は貧乏だけど幸せだった、なんて言葉をきく。 子をもって家族と生きることこそが幸せと思うと、 独身の成功者が世界中をエネルギッシュに飛び回る。 細く長く、丁寧に人生を送ることがこそが幸せと思うと、 矢吹

          「幸せ」と「美しさ」について

          [小説]おばあちゃんとピアノ

          ピアノを弾くおばあちゃんのストーリーがふと浮かんだ。 短編小説風に書いてみよう 〜〜〜〜〜〜〜〜 おばあちゃんが小さいころ、親に連れられ見に行ったピアノコンサート。 街でいちばん大きな劇場でやるというので、 少しおめかししてお出かけした。 慣れない人混み、厳かな劇場の空気になぜかこっちが緊張していた。 舞台は光で照らされ、客席は暗くなった。 みんなが静まりかえる中、 自分よりも10こくらい年上なのか、きれいなお姉さんが袖から出てきて、 ペコリと頭を下げピアノにす

          [小説]おばあちゃんとピアノ

          読書がもたらすもの

          最近、本読んでないなあ。 そう思い始めたら、ぼくの中では黄色信号。 忙しくて本も読めない。 そんな時にぼくの頭の中を見ると、驚くほど流れが悪いはず。淀んでいる。 新しいアイディアだとか、奇抜な発想だとか、 いつもはムダなほど思い付くのに、湧き出てこない。 このポンコツ具合は、疲れているから、というだけではなさそうだ。 本を読んでいないからだろう。 読書がもたらす「あれ」が足りない。 どんなに頭のいい人でも「あれ」がないと、 なかなか考え事が進まないだろうと思っている

          読書がもたらすもの