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私が突然死んだとき、あなたが何もできなくて困るのはあなた以上に子どもだから

「だから、家のことも子供のことも、私と同じようにできるようになって欲しい」

妊娠中、私は旦那にそう伝えて、実際今旦那は私と同じように、時には私よりも、子供のことや家のことをしてくれるようになった。

このnoteを書こうと思ったのは、実際に0歳の子供を残して亡くなった友人を思い出したから。
当時、悲しすぎて命日をあえて覚えないようにするという逃避に走っていたのだけど、確認してみたら昨日が彼女の命日だった。

そして彼女を思い出したのは、このツイートと、それに対する反応を見たから。

うちも衛生観念違いすぎて、一個一個説明したからめっちゃわかる……!と思いながら読んだ。

目に見えないもの(細菌とか雑菌とか)ってあまりピンとこない人いるし、完全に個人の見解(というか偏見)だけど、女性より男性にそういうタイプの人多い気がする。

少なくともうちはそうでした……。

我々は!ちょっと不衛生でお腹壊しても!「しまった……」って思って反省しながらおトイレにお篭りすればいいけども!赤ちゃんは「なんで痛いん!?こわっ!なにこれ!」ってギャン泣きするし、体重の差で大人より重篤症状になっちゃうんだよぉおおお!!!

でもここはすり合わせていくしかない。
だって考え方の違う人間同士だから。

そして、「ママの状態が万全ではない」「家庭内のタスクがいっぱい」という部分に対して「親呼べよ」とか「仕事を軽視しすぎ」みたいな反応がついていて、うむむむむむ……!と思ってしまった……。

「親呼べよ」→いやそんな簡単に呼べない距離や状況の人もいますよぅ……。私の実家は海の向こうです(国内ですけども)。一緒に親になりましょうよー!

「仕事を軽視しすぎ」→その仕事を休んで産んでるママさんもいますよー。というか最愛の妻子以上に大事な仕事はない気がする……の……。妻子を軽視しないであげてー!日本の医療が発達して忘れてるかもですけど母子ともに無事に出産終えることは奇跡なんですよ?その嫁子供が困ってるのですよー!

とか、色々言いたいことはあるんだけど(全部言ってる)、「そういうパパさんたちは家のことを基本ママさんに丸投げなのでは……?」と不安になって、このタイトルの話を、そしてあの子の話をしたくなって、書きかけの大量の下書きnoteを差し置いて書く。

実は亡くなったあの子は私が過去に書いたnoteに一度登場している。

このnoteの、結婚式をするきっかけを作ったA。

最後に会ったのは、彼女からの誘いでランチに行って妊娠の報告を受けた時。

「子供ができないから諦めて、ずっと欲しかった白い革の、かなりいい値段のソファをポチったところだったんだよ、どうしよう」という彼女は、とても嬉しそうだった。

最後の連絡は、彼女が休職したと聞いてラインした時。

何度かやりとりして、「今入院中で、少し早く生むことになるそうだからまた産まれたら連絡するね」とのことだった。

なんとなく、これ以上突っ込んで欲しくないのかな、と思って「心配だと思うけどできるだけ心身ともに穏やかに過ごしてねー!」と返して、次の連絡を待つことにした。


次の連絡は、総務からの訃報だった。

ランチから帰ってる途中の路上で、スマホでそのメールを確認した時、私はなんのことだかわからなかった。
タチの悪い冗談かと思ったけど、そんなことするような差出人ではなかった。

フロアに入って同僚を見つけて「Aが……」とだけ言って言葉に詰まった私に「僕も今見ました」と返した同僚の、悲しみとも困惑とも取れる表情を見て、思考よりも先に身体が現実だと把握したのか、涙が止まらなくなってしまった。

数日後のお通夜で、私は初めてAの子供を見た。
とっても可愛い男の子だった。

お通夜の席で、妊娠中に癌がわかったこと、つわりと似た症状で発見が遅れたこと、そもそもわかった時には進行していて治療が難しい癌だったこと、そして彼女が治療よりも妊娠の継続を望んだことを知った。

「名前は忘れたけど、〇〇(芸能人の名前)と同じ癌だったらしいよ」と帰りの電車で一緒だった人が言ってたけど、彼女が私に言わなかったことを検索してまで知るのはよくない気がして調べなかった。


「私が突然死んだとき、あなたが何もできなくて困るのは、あなた以上に子どもだから。
だから、家のことも子供のことも、私と同じようにできるようになって欲しい」

これはAが亡くなるよりも、彼女が妊娠するよりも前、私の一人目の妊娠中に旦那にお願いしていたこと。

私はなぜか子供の頃から「明日突然交通事故とかで死ぬかもしれないしなぁ」と思って生きてきた。
だから周りの友達があんまりそんなことを考えて生きてない、と気づいた時は逆に衝撃だった。

そんな私でも「やっぱり人は死んでしまうんだ」と、Aの死は本当にショックだった。
3ヶ月くらい毎晩寝る前に泣いていた。

Aの話を少し具体的に書こうと思ったのは、「母親が子供を残して死んでしまう可能性もある」ではなくて「実際に子どもを残して亡くなってしまった母親もいる」ということを伝えた方が、「可能性の話でしょ?」と一蹴されないかな、と思ったのと、何より私が、彼女が生きてたことを忘れないようにしたいと思ったから。

人は突然死んでしまうことがある。

会社という組織で、「一人しかできない業務」を作らないようにするのは、その人がいなくなっても業務が回るように、残された人が困らないようにするためでしょう?
そのリスク分散、家庭にも必要だと思いませんか?

何より、せっかく産まれてきてくれた奇跡のような子どもを、そしてその奇跡をお腹の中で育んで、必死に産んで育てている奥さんを、大事にしようと思ってはもらえませんか。

家族が元気で笑っているという奇跡が、ずっと続くかもわからない。
だからパパにもママにも、みんなが笑っている状況を一緒に作れる家族でいてほしい、と切に願います。


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