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【コラム】「コミュ力」に必要な「聴き力」と「訊き力」

前職時代、若手社員だった頃に苦手だった先輩との会話。

分からないことがあった際、先輩に質問した時に返ってきた
「髙橋ちゃんはどう思う?」
の答え。

はい。今なら分かります。
私の考える力を養おうと、あえて答えを言わず、私の持つ知識からその答えを導こうとする対応。

全く初めてのことなのであれば、相手(この場合は私)の引き出しに答えはない状態なので、知識を与える「ティーチング」が効果的ですが、
多様な答えが存在する際や、既に持つ知識を応用すれば答えに辿り着く可能性がある場合は、このような「コーチング」的対応が育成には効果的。

はい。分かります。そのロジック。
けれど…
「え…分からないから聞いてるんだけど?」と、
少々謙虚さに欠けた私は、当時このように思っていました😅笑

自分なりに考えを恐る恐る言うと、
「そうだね。でも〇〇の方がいいんじゃない?」と返ってくる答えに、
「後出しジャンケン」のような気持ち悪さを感じていたのです。

最近では、企業内でもコーチングを学び、そのスキルを人材育成や組織全体に取り入れているところが増えています。

私は前職時代、マネジメント層になるタイミングや、OJTインストラクターの養成訓練、訓練インストラクターの養成訓練の時に、「コミュニケーションスキル」の一つとしてコーチングの触り部分を学びました。

そこから、コミュ力って「聴き力」と「訊き力」だと痛感しています。

学生までは、「コミュ力高い=おしゃべり上手・盛り上げ上手」だと感じていましたが、社会人になると求められる要素が全く変わります。

いかに相手の話を「聴ける」のか?
「聞く」ではなく「聴く」ができるか?

音が勝手に耳に入ってくる様子を表す「聞く」。
そして、こちらから耳を傾けるような主体的な要素が加わる「聴く」。
「聴く」の姿勢で相手と向き合えば、自ずと会話相手も本音を話し始めてくれる効果が得られます。

そうすると、自然と「質問の質=訊き力」も高まる好循環が生まれるのです。

会話のイニシアチブ(主導権)って、一見「話し側」にありそうな雰囲気ですが、実は「聴き側」に主導権があって、その「聴き手」のスキルが高いと、話す側は気持ちよく自分の話をすることが出来ます。

つまり…「聴き手」の掌の上で転がされています。笑

聴き手のスキルが高ければ、相手の話の真髄を引き出すことも出来ますし、たとえ興味のない話でも上手く切り上げることが出来るのです。

面接・面談を思い出して頂けたら、イメージしやすいのではないでしょうか?

面接の時、そのほとんどは「受験者」が話しますが、そのすべての会話は「面接官」、つまり「聴き手」に主導権があります。

面接を終えた学生たちがよく、「結構上手く話せて、その場も盛り上がりました!」と満足そうな感想を語ってくれますが…

真のカラクリは、
面接官が緊張した受験者でも上手く話せるようにしてくれているのです。

近年、多くの企業で取り入れている「1 on 1」でも同様です。
いかに面談を「する側」が「される側」の話しやすい環境・質問を投げられるかで、その面談の効果が変わってくるのです。

最近では、コーチングやコミュニケーションスキルが学べる、自己啓発スクールに通う学生も多くいます。
そうなると、サービス業界で近年よく言われる「賢いお客様」と同じように、若手社員の方がそのスキルを上手く使いこなす逆転現象が生じるのです。

冒頭での話。
「髙橋ちゃんはどう思う?」
どうしてあの時、この返しにモヤモヤした感情を抱いたのだろう?

本当は、何かを尋ねれば「髙橋ちゃんはどう思う?」と、毎回AIのような同じ返しに、気持ち悪さを感じていたのかも知れません。
きっと、私の質問を「聞く」状態だったんだろうなと。

時代の進化とともに、学生や若手社員が最初から取り入れている情報の量や質にも変化があります。
評価する側・受け入れる側、つまり「聴き側」のコミュ力向上が、「賢いお客様」もとい「賢い若手社員」を上手く動かすコツなのではないでしょうか。

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