高体温や頭痛、めまいもご用心!熱中症の危険な8つの症状
【数年前に自身もなったことのある熱中症】
最近では熱中症警戒アラートが発令されると、外での運動や活動を中止・延期するのが常識になってきました。
熱疲労と熱射病には、
それぞれ特徴的な違いがあります。
熱疲労は、
不快な高温に数日間さらされて、
体内の水分が不足することで生じる。これが多量の発汗、過呼吸、頻脈・弱脈を引き起こします。
この熱疲労を放置して、
症状が悪化したのが熱射病。
体温を急速に上昇させて、
熱疲労より不快な症状の連鎖を引き起こす熱射病は、人の命を奪いかねない健康障害。
日本では、
この熱疲労や熱射病を含む「暑さが原因の健康障害」をまとめて「熱中症」と呼びます。
夏を安全に楽しむために、
熱中症に関する基礎知識、症状の見分け方、予防策を学んでおきましょう。
熱射病には2種類。
•非労作性(古典的)熱中症
非労作性熱中症は徐々に進行し、体幹温度を上手く保てない子どもや高齢者に現れる。体を冷やす手段がない人(エアコンのない建物の中で暮らす人など)も、このタイプの熱射病のリスクが高い。体温が数時間または数日かけて上がるため、本人は体の熱さに気付かないこともある。
•労作性熱中症
労作性熱中症は急性で、高温の環境で活動する人に現れる。気温や湿度が特に高い日は、暑さ関連の健康障害が数時間で生じることも。暑さの中で活動している人には誰にでも起こり得るけれど、リスクがもっとも高いのはハードな運動をしている人。具体的には、ランナーやサッカー選手を始めとする耐久系のアスリート、息苦しい防具の中で汗をかくアメフト選手、建設現場で働く労働者など。
運動中の人間は、信じ難い量の汗をかく。
通常、汗は体を冷やすけれど、労作性熱中症ではこれが起きません。
屋外でのワークアウトや猛烈な暑さで臓器が熱くなりすぎると、体の体温調節中枢が機能しなくなってしまいます。
その結果、体幹温度が上昇して40度を超えてしまうと、いよいよ危険な状態に。ここまで体が高温になると、腸の細胞がダメージを受けるので、
有害な物質が血中に浸出し、
複数の臓器不全を引き起こします。
熱中症の症状
1.高体温
体温が39度以上に達したら熱中症の可能性がある。
体温は39度未満でも、
それ以外の熱中症の症状がある人や、何かおかしいと感じている人が目の前にいるときは、その人の体を冷やし、医療機関に連絡するべき。
なぜかというと、
体温計が必ずしも正常とは限らないから。
体温が41度でも、
口の中に体温計を差し込むと37度しかないこともありえる
ちょっと熱いだけ、と思いきや、実際は危険なほど熱いこともあるのです。
2.筋けいれん
熱けいれんとしても知られる筋けいれんは、運動中にもっとも早く現れる熱中症の症状。高温の環境で汗をかくと、特に脚、腕、腹部の筋肉がけいれんして痛み出す。多くの場合、その原因は暑さだけではないけれど、筋けいれんは体が暑さに慣れていないと起こりやすい。筋肉の使いすぎや脱水症も筋けいれんの主な要因。
でも、筋けいれんに付随して熱中症の他の症状が出ているときは、無視してはいけません。
3.汗が出ない、もしくは出すぎる
極端な暑さの中で長時間過ごしていると、体が正常な体幹温度を維持しようとしなくなる。だから、段階的に起こる非労作性熱中症では、汗が止まるかもしれない。
でも、労作性熱中症では、
異常なくらい汗が出るはず。
『まだ汗をかいているので、熱中症ではありません』
と言う人がいますが、
これは間違った理解。
労作性熱中症では、
ダウンするずっと前から、体が体温調節(体幹温度の維持)をしようとして、汗が噴き出すケースもあります。
4.意識の混乱、または歩行困難
労作性熱中症は、中枢神経系を狂わせる。体の整合が取れなくなったり、
頭が混乱したり、攻撃的になったり、まともに歩けなくなったりするのは深刻な警告サイン。
一種の脳震とうみたいなもので、
電気は付いているのに家に誰もいないときのような感覚です。
質問にちゃんと答えられないのは、
最初に現れるサインです。
5.ガンガンという頭痛
頭がガンガンするのも、熱中症のよくあるサイン。通常は脱水症か、熱中症が中枢神経系に与えた影響のせい。
6.めまい、吐き気、嘔吐
発汗が続くにつれて、体は脱水状態に。さまざまな臓器が暑さにやられ、このリストにある熱中症の症状が悪化して、めまい、失神、吐き気、嘔吐が起こることもある。
7.皮膚の発赤
非労作性熱中症でも労作性熱中症でも、体が自分を冷やす目的で血流を皮膚に向かわせるため、皮膚が赤くなる。熱中症の種類によって、肌が異常にベタベタしたり、乾いたりすることも。
8.心拍数の上昇、または呼吸困難
体がオーバーヒートを起こすと、心臓に多大なストレスがかかる。これは体の冷却機能を働かせ、体温を正常に保つため、鼓動を強く、速くする必要があるから。これが呼吸困難や過呼吸を引き起こす。
目の前の人が熱中症かもしれない。
何をするべき?
※熱中症が疑われる場合には救急車を。放っておくと、命に関わるかもしれない。
救急車の到着を待つ間、
その人の体を急速にガンガン冷やしてあげましょう。
可能であれば以下の応急処置を勧めます。
•患者を涼しい場所に移す。
直射日光の当たらない日陰や屋内の涼しい部屋へ。
•バスタブに氷水を入れ、
患者を15~20分冷やす。
バスタブがないときは、
体にホースで水をかけたり、ペットボトルの水をかけたりして冷やす。
•患者に水かスポーツドリンク、
経口補水液を飲ませる。
患者の意識がもうろうとしていたり、頭が混乱していたり、気が立っていたりするときは難しいかもしれないので、体が冷えるのを待ってから飲ませる必要があるかもしれません。
熱中症を防ぐには?
熱中症のリスクは、
いくつかの対策で最小限に抑えられる。
まず、危険な暑さの中で動き回る必要があるなら、水分補給で喉の渇きを潤すこと。
現在のガイドラインでは、
男性で1日2~3リットル、
女性で1日1.6~2.2リットルが摂取の目安
でも、アスリートとして強度の高い運動をするときは、発汗量に見合うだけの水分を補給するべき。その量を算出するには?
まず、裸で体重を測ってから運動をする。
終わったら汗を拭き、もう一度、裸で体重を測る。
その体重の差が汗によって失われる水分の量(途中で何かを食べたり、トイレに行ったりしない限り)。
キロをリットルに換算したら、
それが飲むべき水の量。
体重が0.5kg減っていたら、次のワークアウトで500ml弱の水を飲んで補給しましょう。
外気温が上がり始めたら、
徐々に体を慣らすのも大事なポイント。
日頃から運動している人でも、
太陽の下でワークアウトができるようになるまでには時間がかかる。
最初の数週間はワークアウトの時間と強度を減らし、徐々に通常の時間と強度に戻せばいい。そうすれば、体が暑さに慣れて、夏のワークアウトを安全に楽しめる。
※熱中症警戒アラートが出るほどの高温の時は、外での運動は中止すること。
※🇺🇸女性1日2リットル、男性1日2.5リットル、
🇬🇧では女性1日1.6リットル、男性1日2リットルを推奨しているそう。
日本の厚生労働省では性別によるガイドラインは提示しておらず、
1日2.5リットルの摂取を推奨しています。
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