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トランプ氏の幼な子のような問いかけ

アメリカ合衆国大統領・トランプ氏は、幼な子のような純粋さで、素朴な疑問を問いかけているのかも知れない。

『だれかが日本を攻撃したらアメリカには戦って日本を守る義務があるが、日本は、それをしなくてもいい。不公平だ』

『アメリカが日本を助けるのなら、日本もアメリカを助けるべきだ』

トランプ氏の言っていることは筋が通っているではないか。
本来、何かあったら互いに助け合うのが同盟だ。

当たり前なことを当たり前に考え、率直な疑問を投じているトランプ氏。

『板門店まで足を運ぶ予定なんだが、キム委員長、ちょっと顔を出さないかね? 少しだけでも会って話そうじゃないか』

と、「ダメもと」でも勝手にツイートしてしまう。
だが、その結果、本当に独裁者キムを軍事境界線まで呼び出してしまったのを、つい昨日、世界中の人びとが目撃し、驚いた。
トランプ氏というひとは、どうやらそういうひとのようである。
これまでの常識など、まったく通用しない。
きっと常識など、眼中にない。

トランプ氏の幼な子のような問いかけに、応えてみようではないか。

同盟を結んでいる間柄なのだから、アメリカが攻撃されたら、日本も戦ってアメリカを守る。
日本も他のすべての国々と同じように、集団的自衛権をフツーに行使すればいい。
しかし日本は憲法9条で、軍隊を保持しない/国には交戦権がない、と規定している。
それなら憲法9条を改正して、他のすべての国々がそうであるように、自衛隊を正規軍として保持し交戦権を認めれば良い。
ただし、それだけでは、日本も戦ってアメリカを守ることは難しい。

なぜか。
日本の自衛隊を制御している関連法制は、自衛隊がもともと警察予備隊として発足した経緯から、警察法制の建て付け(ポジティヴリスト)で構成されており、やって良いことしか書いていない。
やって良いこと以外をやると、法律違反となり処罰の対象となる。

これに対し、そもそも軍隊を制御する法制の建て付けは、国際法上やってはいけない基本事項以外は、どんなことをやっても構わないことになっている(ネガティヴリスト)。
ありとあらゆる方策を尽くし、何が何でも勝って、自分たちの国土・国民そして同盟国を守り抜く。

必要なのは憲法9条改正だけではない。
自衛隊を制御している関連法制の建て付けをネガティヴリストに改めなければならない。
さもないと、実際に攻撃を受けても、それが反撃しても良い事例にあてはまるかどうか、六法全書を片手に検討せねばならず、そうこうするうちに自衛隊の部隊は全滅してしまうに違いない。

さらに、自衛隊員が戦いの中で敵兵士を殺めても殺人罪に問われることのないように、刑法とは別に、兵士だけに通用する軍法=軍隊法を定めなければならない。
他のすべての国々には、ちゃんとある。

ここまでやって、日本はようやく、ごく当たり前のフツーの主権国家となる。
当たり前の外交交渉を、当たり前にこなしてゆくことが可能となる。

トランプ氏の幼な子のような問いかけは、私たち日本人の多くを、敗戦後の洗脳から目覚めさせてくれる。