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人の音楽人生を支える倶楽部

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レッスンの気まぐれな足跡
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#声

すべてのバージョン

すべてのバージョン

Open Lesson覚書。

ハーモニーについて、と今回はリクエストがあった。
そもそもなぜ人類は一緒に歌い始めたのか?疑問に思って宿題をしてから臨む。

円になって、順番に発声したランダムな音をルートと見立て、和音をどんどん組み立てていく。隣の人の、声だけを頼りに声を出す。

お互いの声に"耳を澄ます"ことは、実は高度な技術だ。

己の解釈とは違う"音"を、一人ひとり異なる感性を、すべてのバー

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郷愁と、再会

郷愁と、再会

Open Lesson備忘録。

数年前に歌った曲を歌う。
不思議なもので、その瞬間に心身が過去に連れ去られ、忘れていた感覚や感情が呼び覚まされる。

きちんと時間をかけて取り組もうと努力し血肉となった曲は、数年後に再会したとき、郷愁をもたらしてくれる。
そしてまた、その当時には見えなかった新しい側面も発見することができる。

曲は無機物なので変わらず、鏡として在り続ける。
人が、変わる。
新しい

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練習の目的

練習の目的

Open Lesson備忘録。

社会的発話を身につける以前の発声を、便宜的に"表のハミング"、と呼んでいる。

かつては誰もが全方位性の発声を使いこなしていた。社会性及び言語を獲得する段で、忘れ去ってしまう発声。
フランチェスコ・タマーニョが死後、解剖された時、特筆すべき点は声帯のタコくらいのものだったという。
わたしたちの楽器は、元来極めて平等なのだった。

表現が豊かである、ということはどう

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記号の向こうに広がる世界

記号の向こうに広がる世界

Open Lesson備忘録。

聴こえた音をひろうワークの最中、
理論的な解説で"わかった"と思った瞬間に、ほんの少し予想外の和音を全員が聞き取れない、ということが起こった。

記号に縛られると、目の前の空間にあるはずの音が聴こえないことがある。

音楽は、ひとつの言語だ。
新しい言語を知ることは、新しい世界観を知ること。

音楽でも英語でも数学でも、新しい言語を学べば見知ったつもりの世界とは全

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曲を人にみたてることとインタラクションについて

曲を人にみたてることとインタラクションについて

表現とはなんだろうか。
こんなところでぼんやり問うてみたところで、むろん容易に答えはでない。

気がつけば、音楽を教え始めてから10年の月日が経過している。ど素人の状態から始めたレッスンがここまで長く(もちろん、か細くではあるとしても)続くとは当時のわたしも予想していたんだかしていなかったんだか、どうにも思い出せないが、とにかく、当初から変わらぬポリシーとして持っているのは"講師は仲人である"(そ

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