住野よる「また、同じ夢を見ていた」を読んだ感想。
「また、同じ夢をみていた」を読んで、最初から最後までとても印象的な作品でした。
この物語は、主人公の女の子が「幸せとは何か」を求めていく旅を描いています。
学校では友達がいない彼女ですが、外の世界にはさまざまな人たちや猫の友達がいて、彼女はその中で成長していきます。
特に、「幸せって何だろう?」という問いかけが繰り返される中で、読者も自分自身の幸せについて考えさせられます。
物語が進んでいく中で、登場人物たちがそれぞれ持つ「幸せ」の形や背景が明らかになっていき、その中で、幸せは決して他人から与えられるものではなく、自分自身で掴むものだというメッセージが強く感じられました。
最終的に、主人公は自分の意思で「幸せ」を選ぶことができるようになり、幸せをつかむために自分の行動が大切だということを学びます。
このテーマが非常に心に残りました✨
また、物語の最後には「幸せは歩いてこない、だから歩いていくんだね」というセリフが登場し、自己実現や成長に向けて行動を起こす重要性を再認識させられました。
このシンプルな言葉が、物語全体を通して深い意味を持っていると感じました。
作品の中での登場人物たちの描写も非常にリアルで、それぞれが抱える葛藤や夢、悩みが共感を呼びます。
それにより、物語に感情移入しやすく、何度でも読み返したくなる作品でした。
【※ネタバレ含む感想】
さて、ここからは大きなネタバレを含みますので、これから読もうとしている方はご注意ください。
物語の中で最も驚いたのが、登場人物たちが実は同一人物であるという事実です。
南さん、アバズレさん、おばあちゃんが、すべて未来の主人公の姿であることが明かされます。
この伏線が、物語の中で少しずつ繋がり、最後に大きな感動を呼びました。
各人物が選ばなかった選択肢を、未来の自分が選んだことによって、主人公がどう成長していくのかが描かれていて、非常に興味深かったです。
南さんは「両親にごめんねと言えなかった」、アバズレさんは「桐生くんと向き合えなかった」、おばあちゃんは「桐生くんと結ばれなかった」という後悔を持っており、これらの後悔を抱えた未来の自分が登場することによって、主人公がどう向き合うべきかが試されます。
桐生くんという男の子は、唯一、主人公が学校で友達になれる存在として登場し、彼との関係が物語の中で重要な役割を果たします。
物語の終盤で、主人公が選んだ「幸せとは何か」の答えが明かされます。
彼女がたどり着いた答えは、自分が嬉しく、楽しく感じることや、大切な人を大事にしたり、自分を大切にすること。
それを自分の意思で選び取ることこそが「幸せ」だということです。
結局、主人公が成長して、自分の幸せをつかむために必要な行動を選択できるようになったことに、深い感動を覚えました。
最後には、「幸せは歩いてこない、だから歩いていくんだね」という言葉で締めくくられ、この作品が伝えたかったことが一言で表現されたように感じました。
幸せを手に入れるためには、自分から積極的に行動し、選択し続けることが必要だというメッセージは、非常に力強いものでした。
この作品を読み終えた後、自分にとっての「幸せ」について改めて考えるきっかけをもらいました。
幸せの形は一つではなく、結婚や家庭、趣味など、各人それぞれの形があると思います。
それを他人に押し付けることなく、自分自身の幸せを見つけることが大切だと感じました。この作品が、そのことを教えてくれました。
【こちらの本を読んだ人におすすめの本】