【プレゼンや面接の際に役に立つ】5分で読める 話し方の技術シリーズ②【品よく、柔らかな印象に。鼻濁音について】
フリーアナウンサー、ナレーターの壽老(じゅろう)麻衣です。
TBS系列RKB毎日放送の局アナを経てフリーとなり、報道番組TBS NEWSのキャスターなどを担当。現在は主にTBS制作の番組やイベントなどに携わっていて、10年以上アナウンサーとして働いています。
今回は、鼻濁音(びだくおん)について書いていきます。
正しく使えるようになれば柔らかい印象になる「鼻濁音」
「鼻濁音」は、一般的に音声表現に詳しい人しか知らないような言葉かと思います。
某大学の教授の論文や、公共放送が公に発信している情報によると、そもそも、中国・九州地方では鼻濁音で話す習慣がないそうですし、東日本の人達も、特に若い世代を中心に鼻濁音で話す人は少なくなっている傾向だということです。
ただ、鼻濁音を意識し、自然に使えるようになると、日本語として正しい発音・アナウンスができているというのはもちろんのこと、「品がある、印象が柔らかくなる」という効果も得られます。
印象を良くしたいという方は、ぜひ、これから意識してみてほしいポイントです。
鼻濁音とは?
鼻濁音とは、簡単に言えば、少し鼻にかかったガ行の音のこと。
活字で表記するとすれば、「ンガ、ンギ、ング、ンゲ、ンゴ」です。
「ガギグゲゴ」という濁音と、どう違うの?と疑問に思う方も多いと思います。使用する際の違いは以下の通りです。
語頭にくるガ行とカタカナの場合は、原則として濁音「ガギグゲゴ」
例→がちょう、学問、学校、ガス、ガザなど
助詞や語中、語尾のガ行は、原則として鼻濁音「ンガ、ンギ、ング、ンゲ、ンゴ」
例→私が、あなたが、手紙、ひぐらし、衆議院、参議院など
(ただ、細かい点ですが、中には語中にあっても鼻濁音ではなく濁音で発音する言葉もあります。具体的には、専門学校や日本銀行など。しかし、音声表現のプロフェッショナル以外の方々は、上記を意識すれば十分かと思います。)
濁音と鼻濁音の印象の違い
鼻濁音を使わずに濁音のみで話した場合、鼻濁音を使った場合と比べると、ややきつい印象になりますが・・・鼻濁音を使うことで、柔らかく、品のある印象に変わります。
アナウンサーやナレーター、声優など、音声表現を仕事にする人達には必須のスキルですし、ビジネスマン・ビジネスウーマンの皆さんにとっても、普段から使えるようになれば、様々なビジネスシーンで役に立ちます。
ただ、文字だけで表現されても、おそらくピンとこない方も多いですよね。
そもそも、鼻濁音を使う人自体、減少しているというのですから…!
そこで、何事もそうかと思いますが、「上手い人の技術を見て学ぶ」ことが、成長に繋がる一番の近道です。
特に演歌歌手の皆さんの鼻濁音が、非常にわかりやすく美しい発音
石川さゆりさんの名曲、「天城越え」を聴いてみましょう。
↑石川さゆりさんが所属されている音楽レーベルの公式YouTubeチャンネルの映像です。
1分40秒くらいのところから、ぜひご覧ください。
普通の表記「あまぎ〜ご〜え〜」
鼻濁音まで入れた表記「あまんぎ〜んご〜え〜」
↑となっているのが、おわかりいただけるかと思います。
石川さゆりさんをはじめ、演歌歌手の皆さんの鼻濁音は、本当に美しく柔らかな響きで、アナウンサーのニュース読みの研修時、鼻濁音については「演歌歌手の皆さんの歌声を、よく聴いてみなさい」と指導を受けたこともあります。
鼻濁音 練習表
鼻濁音の発音の仕方のイメージがついたら、ぜひ以下の言葉を鼻濁音にして読んでみてください。
身近な言葉を鼻濁音で読んでみましょう!
玉ねぎ
鍵(かぎ)
午後(ごご)
小学校(しょうがっこう)
山羊(やぎ)
囲碁(いご)
手紙(てがみ)
卵焼き(たまごやき)
ひぐらし
ビジネスシーンでも多用する言葉
私が
上司が
部下が
伺う(うかがう)
申し上げる(もうしあげる)
いかがでしょう
お手数ですが
あいにくですが
早口で読むと、鼻濁音は綺麗に発音がしづらいので、まずはゆっくり、繰り返し読んでみましょう。
少しずつでも意識していけば、印象は良い方向へ変わっていきます。
今回はここまでです。
読んでいただき、ありがとうございました。
今回の記事が、誰かのお役に立てますように。
壽老麻衣
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