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美肌効果の高いドライフルーツ干し柿

優しい甘みと淡い香りが多くの女性に好まれるドライフルーツ。 
クレオパトラが愛したと言われるデーツ、太陽のように鮮やかな色に惹きつけられるマンゴー、ワインとの相性がいいフィグなど、さまざまなドライフルーツがあふれています。

たくさんあるドライフルーツのなかでも、美肌やアンチエイジング効果が期待できるとされる干し柿。あまりスポットがあたらない干し柿の魅力を紹介します。


干し柿は日本最古のドライフルーツであり、甘味(おやつ)

日本で販売されているドライフルーツのは、多くが海外から輸入されたもので、数十年前の子供の記憶ではカリフォルニアレーズンくらいしか思い浮かばないほど種類も数も限られていました。

スーパーマーケットではなく商店街や個人商店での買物が主流だった当時、デパ地下や酒屋さんで買ったり、ギフトでいただくことが多かったように思います。海外との貿易が活発になると少しずつ種類が増えるとともに、国内産ドライフルーツもたくさん販売されるようになり、今では何を選ぶか迷うほどです。

国内産ドライフルーツには、みかん、林檎のように古くから日本の生活になじんでいるもの、オレンジ、パイナップル、マンゴーといった国内で育てた外来フルーツのものがありますが、どちらも日本原産ではありません。
みかんはおよそ1200年前、不老長寿の果物として中国から持ち帰った橘が原形で、林檎は明治の頃にアメリカから苗木を購入したもので、日本原産フルーツはとても少ないのだそうです。

とても少ない日本原産フルーツの一つとされているのが柿。
縄文時代や弥生時代の遺跡から柿の種が発掘されているほど、古くから日本で自生していたようですが全て渋柿。そのままでは渋くて食べられないので、いつしか天日に干して食べるようになり誕生したのが干し柿です。

干し柿が文献に登場するのは平安時代で、祭礼用の菓子として使われていたと記されています。千利休がお茶席で干菓子(現代の干菓子は和三盆糖を固めたもの)としてだしたことでも知られる干し柿。実は日本最古のドライフルーツであり、砂糖が伝来する前や高価だった頃の甘味(おやつ)でもあったようです。


実は美容効果が高い干し柿

1200年以上もの長きにわたって日本人の生活とともにある干し柿ですが、他のドライフルーツに比べるとなんとなく地味なイメージ。スーパーやデパ地下などに常に並んでいるドライフィグやレーズンなどと違い、店頭に並ぶ期間が短いためか年中通してよく食べるという人は少ないのかもしれませんが、実はとても美容効果が高いのです。

◆ビタミンA◆
免疫力を上げ、皮膚や粘膜を健全に保つ働きがあります。
甘い生柿より干し柿の方が約4倍ほど多く含まれているそうです。

◆βカロテン◆
抗酸化作用があり、動脈硬化の予防や老化の原因となる酸化を防ぎます。
やはりこれも、生柿より干し柿の方が約3~4倍多く含まれています。

◆タンニン◆
渋みのもとであるタンニンは、ポリフェノールの一種。
抗酸化作用で動脈硬化や酸化を防ぐアンチエイジング効果に期待大。

◆食物繊維◆
美肌の敵とも言われる便秘の解消には、やはりコレがお勧めですね。
不溶性食物繊維が便の水分を吸収してかさを増やし、腸を刺激して排出をサポートしてくれます。食物繊維は善玉菌のエサでもあるので、腸内環境の改善にもつながるそうです。

◆カリウム◆
ナトリウムを体外に排出してくれるので、むくみの解消や血圧の上昇をおさえます。

◆マグネシウム◆
体内で合成されないミネラルの一種で、骨や歯の形成、柔軟性、弾力性を高め骨折しにくくします。神経の興奮を抑えたり、筋肉の収縮や弛緩の調整、抗動脈硬化作用など実に多彩。干し柿には生柿の約3倍多く含まれます。


錆びないカラダと食の安全

見た目は少し地味ですが、干し柿はとても栄養豊富で錆びないカラダの維持には最適です。

ここで一つ気をつけたいのは干し柿の選び方。
例えば砂糖でコーティングされていたり、保存料、亜硫酸塩(漂白、酸化防止のため)が使われているものも少なくありません。特に亜硫酸塩は食品添加物として日本では使用が認められているものですが、摂取量が決められています。また、国によっては使用が禁止されている添加物もあります。

ご存知のように、砂糖は大量に摂取しすぎると老化の加速、肌荒れの原因、人によっては片頭痛の原因になるなどといった解説があります。また、添加物についてはさらに賛否両論あるようですが、日本で登録されている添加物400種類を超えていて先進国では最多です。欧米では何年も前から禁止されているものも多く使われています。もともと自然界になかったもの、人によってはアレルギーの原因にもなることを理解して、なるべくナチュラルな食を意識することが錆びないカラダを保つ秘訣なのかもしれません。


オリーブオイル、ビネガーと相性がいい干し柿

干し柿にも種類があり、少し大きめで半熟感のある中がトロトロのもの、昔ながらのお婆ちゃん家の軒先で干したようなセミドライ感のものといろいろです。どれも甘く美味しくて、そのままでいくらでも食べてしまいそうになりますが、この甘みをいかしたドレッシングや、ワインにピッタリな一品にも使えます。


特にセミドライタイプのものはオリーブオイル&ビネガーとの相性がとてもよく、バックリブやスペアリブなどを煮込むのに最適。

スペアリブのバルサミコ煮込み

オリーブオイルでキツネ色に焦げ目をつけたスペアリブと、細かく刻みオリーブオイルで炒めたじっくり炒めた干し柿と香味野菜を少なめの水で少し煮込み、灰汁を綺麗にすくったら白ワインとバルサミコを加えて煮込むだけ。秋はキノコを加えたり、香味野菜にガーリックやジンジャーを加えても美味しくできます。バルサミコがなければ、白ワインビネガーや穀物酢でも大丈夫。砂糖の代替ではなく、味に深みをだしたい時にちょうどいい。
※スペアリブ、バックリブは、塩胡椒をすりこんで1時間くらい置いて余分な水分を拭いてから焼くと臭みが抜けます。

もっと簡単なのは、クリームチーズに刻んだ干し柿、刻んだ胡桃をパラパラ散らし、オリーブオイルと好みのペッパーをかけるだけ。甘すぎなくて、ワインのおともに最適な美味しさです。ペッパーは何種類かミックスして使うと香りが広がって、簡単なのに技ありな一品になります。

酢の物に入れたり、最近ではクリームチーズを巻くレシピがでていたり食べかたいろいろ。


古来から受継ぐ先人の知恵と食

主流なのは丸ごと干したものですが、地域によってはカットして干したものがあります。丸ごとよりも食べやすく、料理のアレンジがしやすく保存しやすいのはカットしたもの。

驚くほど急な角度の傾斜地で栽培される、徳島県つるぎ町の愛宕柿で作られる干し柿もカットタイプ。傾斜地を活用した農と暮らしのサイクルのなかにたくさんの先人の知恵が詰まっていて、世界農業遺産に登録されているエリアです。

今もそこで変わらず作られる干し柿は、皮剥きから袋詰めまで、工程の一つ一つが手作業で行われています。もちろん無添加。ほどよい食感、ほどよい甘み、何より封をあけた時の淡い柿の香りがたまらない。懐かしさを感じるような美味しさで、食べだすととまらなくなる。

日本では各地で干し柿が作られます。
食べ物があふれ廃棄が問題になっている今、日本の気候風土に長く根づいた食のあり方、受継いできたものを見直したいものです。

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