見出し画像

天才ウェス・アンダーソンの世界!

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イブニング・サン別冊』が絶賛公開中のウェス・アンダーソン監督。
独特で特徴的な世界観が持ち味の映画作家です。
個人的にも大好きでして、今回の新作のタイミングもあるので彼のフィルモグラフィーや特徴をまとめてみたいと思います。

ということで今回は、「天才ウェス・アンダーソンの世界」でnote書いてみたいと思います!


全作品紹介!

まずはざっくりとウェス・アンダーソン全作品を簡単に紹介します。

『フレンチ・ディスパッチ ザ・リバティ、カンザス・イヴニング・サン別冊』(2021)

https://filmarks.com/movies/83941

ウェス・アンダーソンの集大成ともいうべき作品で、今までの常連俳優であるビル・マーレイやオーウェン・ウィルソンに加え、ティモシー・シャラメやベニチオ・デル・トロなども加わり超豪華キャストで織りなすウェス・アンダーソン劇場。
ニューヨーカー誌やフランス映画への愛とオマージュに溢れた作品。
ウェスの世界観てんこ盛りでお腹いっぱい堪能できます。

#自転車レポーター編
#ストーリー1「確固たる名作」
#ストーリー2「宣誓書の改訂」
#ストーリー3「警察署長の食事室」


『犬ヶ島』(2018)

https://filmarks.com/movies/71657

こちらは何と日本が舞台! そしてストップモーションアニメ!
ウェス・アンダーソンの映画ってキャラはよく見るとグロかったりかわいくないのも多いんですが全体的に完成された構図の中にあるとおしゃれに見えてくるのが不思議。
少年と犬たちが大人たちの陰謀に立ち向かってゆく展開。


『グランド・ブダペスト・ホテル』(2014)

https://filmarks.com/movies/55611

こちらは大傑作。ウェス・アンダーソン作品の中でもトップクラスに好きなやつ。
東欧にあるクラシックなホテルにまつわるサスペンス。
こういう品格あるクラシックなスタイルとウェスの世界観はばっちりハマります。そんなクリエイティブが一番発揮されたのがこの作品じゃないでしょうか。
調度品の一つひとつが美しいし、洋菓子店メンドルピンクの包装紙とかもうサイコーです。


『ムーンライズ・キングダム』(2012)

https://filmarks.com/movies/53007

これも大好きな作品!
冒頭のボーイスカウトキャンプのシーンが横スクロールのみで展開していく流れとか、一気にこの世界観に引きずり込まれます。
身寄りのない少年とちょっと反抗期な女の子の恋の逃避行と大冒険。

カラフルな色彩もとっても良くて見ているだけでも楽しい作品。


『ファンタスティック Mr.FOX』(2009)

https://filmarks.com/movies/53007

こちらはウェス・アンダーソン初のストップモーションアニメです。
森で家族と一緒に暮らすMr.FOXは、対峙する人間たちとプライドをかけて戦うために仲間たちと立ち上がるという展開。

まさかこういうスタイルもできるのか!って思わされた作品です。
全カット数は、何と125,280というとてつもない労力。
やっぱりこういう世界観を完全に作り上げるタイプの人は、全てが自分の手によって作れるアニメーションをやって見たくなるのも分かる気がする。


『ダージリン急行』(2007)

https://filmarks.com/movies/4552

これもいい! 疎遠だったポンコツ3兄弟がインド旅行を通して兄弟の絆を取り戻そうとする物語。
こんなインド旅行してみたいってなるほっこりするロードムービー。

旅行カバンもマーク・ジェイコブスがデザインしたルイ・ヴィトンのスーツケースだったり、この列車もわざわざ専用に改装したそうで細々したデザインまでが全部いい!


『ライフ・アクアティック』(2004)

https://filmarks.com/movies/19369

青い服に赤い帽子なスタイルが決まっててとっても印象的だった作品。
やっぱりウェス・アンダーソンの作品はスタイルが決まっててどの作品も印象深いです。

落ちぶれた海洋ドキュメンタリー監督が、起死回生の撮影のために仲間たちと海の中へ旅立つという物語。
海の中は、ストップモーションアニメで描かれていてこの時から素養はありましたね。
脚本は、『フランシス・ハ』のノア・バームバックが参加してます。


『ザ・ロイヤル・テネンバウムス』(2001)

https://filmarks.com/movies/297

若くして金融に作家にスポーツ選手という才能に恵まれた兄弟たち。父親は今や崩壊してしまったかつての天才ファミリーの絆を再び取り戻そうとするのだが…

日本でウェス・アンダーソン作品が劇場公開されたのは本作が初。
この時にはもう完全に世界観が出来上がっていて、天才なんだけどどこかおかしい人たちの家族の崩壊と再生の物語がテーマになってます。


『天才マックスの世界』(1998)

https://filmarks.com/movies/51532

あらゆる課外活動クラブの会長を務める天才ながら、課外活動に忙しすぎて落第しそうなマックスの青春を描く学園コメディ。

これも面白い!
マックス役のジェイソン・シュワルツマンやビル・マーレイはこの後も常連俳優としてウェス・アンダーソンのお気に入りとなってます。
劇場未公開ながら、ウェス・アンダーソンの世界観は出来上がっていてめちゃ面白いのでおすすめです。


『アンソニーのハッピーモーテル』(1996)

https://filmarks.com/movies/41319

こちらがウェス・アンダーソンのデビュー作!
テキサス大学時代に友達のオーウェン・ウィルソン、ルーク・ウィルソン兄弟と作った13分の短編『Bottle Rocket』をセルフリメイクしたのが本作。
ポンコツ3人組が強盗で一発当てようとする…という話。

ここから全てが始まった作品。
今や盟友となったオーウェン・ウィルソンもこれが俳優デビュー作。


ウェス・アンダーソンの番外編ショートフィルム

『Bottle Rocket』以外にも短編作品があります。
それぞれ、映画と連動した作品となっていてDVDの特典映像になってたりするんですがYouTubeでも見れるものはリンクを貼っておきます。


Cousin Ben Troop Screening(2012)

『ムーンライズキングダム』の番外編です。
テントの中で上映会をするというお話。
スクリーンのサイズも小ちゃくてかわいい。



『ホテル・シュヴァリエ』(2007)

HOTEL CHEVALIER

こちらは『ダージリン急行』の番外編として作られた短編。
ジェイソン・シュワルツマンとナタリー・ポートマンによるあるホテルの一室でのストーリー。
セクシーナタリーも見れちゃいます。


ウェス・アンダーソン制作のCM

映画番外編以外にも、企業とのコラボレーションでショートフィルム制作したり、CMも作ってたりしますので、それらもこちらで紹介していきます。
YouTubeで鑑賞できるのでリンクも貼っておきます。

アメリカン・エキスプレス(2006)

こちらはウェス・アンダーソンの撮影風景をCMにしたものです。
ウェスの服装だったり、裏側が見れるのがいいですね。


Stella Artois

Stella Artois

こちらはベルギービールのCM。
部屋に招かれた女性がいろんなスイッチを押してしまい…
シンメトリックな構図の部屋がウェスっぽい。


ソフトバンク(2011)

こちらは日本の携帯会社ソフトバンクのCM。
しかも主演がブラピです!
フランスのリゾート地を舞台にセリフはなくコミカルな動きは、ジャック・タチの「ぼくの伯父さんの休暇」が完全に元ネタです。


ヒュンダイ(2012)

HYUNDAI

こちらは韓国の自動車メーカーのCM。
水陸両用で空まで飛べるすごい車の展開が、『ライフアクアティック』のような映像で楽しい。


SONY EXPEDIA

こちらはストップモーションアニメーションです。
スマホの中の部品たちの世界が「トイストーリー」的な感じで展開されています。


『カステロ・カヴァルカンティ』(2013)

Castello Cavalcanti

こちらはプラダとのコラボ〜レーションで制作されたショートムービー。
イタリアでレース中のドライバーがクラッシュして途中のカフェで一杯やるっていう小粋な内容です。

何がプラダなのかは良くわかりませんが笑 楽しい映像です。


CANDY

プラダとは、CADYという香水でもコラボレーションしています。
こちらはレア・セドゥ主演の三部作となっています。


H&M(2016)

H&M LINES

こちらはH&Mのクリスマスシーズンのコマーシャル。
WINTEREXPRESSという列車に乗った乗客たちに起こったこととは。

全て列車の中だけの展開で、雰囲気的にもダージリン急行にも通じる内容です。



ウェス・アンダーソン監督の特徴

ここまで過去作品を一挙に見てきましたが、やっぱり一見しただけでウェス・アンダーソンだって分かってしまうくらい特徴的です。
分かりやすく主なところを挙げますと、

シンメトリックな構図

最大の特徴はやはり左右対称なシンメトリックな構図です。
ウェス・アンダーソンの画は、必ず左右が対象です。
見事までにこだわったこの構図はずっとブレることなく一貫しているので、見ただけで分かる特徴かなと思います。

箱庭のように作り込まれたセット

パペットアニメーションの部分はもちろんなんですが、建物から内装、美術。その色彩、それに役者の衣装や小道具まで隅々まで全てを完全にコントロールしている完璧主義者。

演技の演出に関しても独特の間があってセリフまわしなんかも特徴的です。
フィンランドのアキ・カウリスマキも役者が全員無表情でぶっきらぼうに話すので共通点があります。

常連俳優たち

ウェス・アンダーソンは同じ俳優を繰り返し起用することが多いです。
もちろん新しい俳優もどんどん参加してくるのですが、再起用も多いのでキャストが増えていき、最新作ではとんでもない超豪華キャストになってます笑

オーウェン・ウィルソンは一番最初からの盟友だし、ビル・マーレイ、ジェイソン・シュワルツマンも初期からずっと起用していて、ティルダ・スウィントン、エイドリアン・ブロディ、エドワート・ノートン、フランシス・マクドーマンド、マチュー・アマルリックなどなど。

その他

横スクロールが多い独特のカメラワーク。
ちょっとおかしな家族の崩壊と再生の物語。
クラシック映画へのオマージュや音楽の使い方。

などなど
この辺りが主な特徴じゃないでしょうか。


ウェス・アンダーソンと野村訓一

ウェス・アンダーソンから何かと頼まれ『犬ヶ島』のコーディネートをしたという野村訓一とは何者なのか。
映画人ではないのになぜ?
という疑問を持つ方もいると思います。自分も最初は不思議でした。
ファッション関係の人かと思ってたので。

色々と顔の広い野村訓一さんですが、友達の友達というところから広がっていったとか。
そもそもソフィア・コッポラと知り合い、彼女が『ロスト・イン・トランスレーション』を日本で撮影した際に色々と手伝い、そこからソフィアに紹介されたのがウェス・アンダーソンだったらしい。
しかも最初は誰かも分からず途中で「え?ウェスってあのウェス・アンダーソンだったの?」って感じだったとか笑

なんかすごい人脈持ってる人ってすごい繋がり方していきますね。


ウェス・アンダーソンの風景

まるでウェス・アンダーソンの映画に出てきそうな風景ばかりを集めた人気インスタグラムがあるんですが、この風景がみんないいんです!
行ってみたくなるような世界中の風景だし、どれも左右対称のシンメトリックでかわいい構図。



インスタグラムでもウェス・アンダーソンのネタをあげてたりもしますので、こちらもチェックしてみてください。


最後に

もっと上手くまとめたかったのですが、過去作のボリュームが思ってた以上に膨らんでしまいました。
でも短編もかなり面白いのでYouTubeでぜひチェックしてみてください。

最新作『フレンチ・ディスパッチ〜』はこれらの要素がふんだんに盛り込まれていますので、ある程度分かってから観るとより楽しめると思います。
かなり情報量の多い作品だったので、一度観た方も全部処理しきれないから2回目以降も楽しめる映画だと思います。

ということで今回は話題の新作にちなんでウェス・アンダーソンの世界をまとめてみました。


最後までありがとうございます。


この記事が参加している募集

#私のイチオシ

50,893件

#映画感想文

67,333件

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?