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【まとめ】アカデミー賞の結果について

アカデミー賞の発表から1週間経っちゃいました。
すごい楽しみにしていて当日も生放送見てました。
ちょっと時間あきましたが今回の受賞結果についてまとめてみたいと思います。

アカデミー賞はいろいろな問題を抱えながらもここ数年は、人種や性別などが偏らないよう多様性を意識してきました。
その辺りも受賞結果のポイントとなってますので、そこを意識して見てました。

<主要部門>

◎作品賞:『コーダ あいのうた』

https://filmarks.com/movies/96257

メインの作品賞。大本命は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』でしたが、『コーダ あいのうた』が見事に受賞しました。
今回の投票形式(1位が10点、2位が9点〜で合計点で競う)だと、全員が2位に選ぶような作品が選ばれるとも言われていました。
そして、Appleオリジナル作品だったというのも注目ポイントです。
それにしてもお見事でした。

本作は、ろう者の家族の中で唯一の聴者である娘が主人公。
家族の通訳としての仕事があり自分の夢を諦めようか悩む話ですが、ヤングケアラーの問題、障がい者と社会の問題を内包しつつ音楽が素晴らしい感動作でした。
作品としてはめちゃいいので、とてもおすすめな作品です。


◎監督賞:ジェーン・カンピオン(パワー・オブ・ザ・ドッグ)

https://filmarks.com/movies/98897

こちらは大本命でした。堂々の受賞です。
作品賞は受賞ならずでしたが、本当にすごいです。
作品自体もすごく深みがあって、監督としての手腕は確かなものだと思います。
女性監督としては、史上3人目ということで女性を代表しての受賞でもあります。

マッチョなカウボーイの世界における性差別などを静かなドラマの中でしっかりと繊細に表現していました。
『パワー・オブ・ザ・ドッグ』については、noteに詳しく書いてます。


◎主演男優賞:ウィル・スミス(ドリームプラン)

https://filmarks.com/movies/84780

ウィル・スミスも大本命だったので堂々たる受賞です。
主演男優賞の受賞の前に騒動となってるハプニングがありましたので、どうなるかと思いましたがそこはしっかりと受賞でした。

白人ばかりが受賞する"ホワイトオスカー問題"のキッカケでもあるのがウィル・スミス夫妻の発言でした。
本作はプロデューサーとしても製作に関わり、貧困層から実力でテニスのチャンピオンになったヴィーナス&セリーナ・ウィリアムズ姉妹を独学で指導した父のリチャードを演じ切りました。

黒人として、女性として、貧困層からの成功者として、スポーツものとしてテーマがしっかりとしているし、映画もとても面白いです。


◎主演女優賞:ジェシカ・チャスティン(タミー・フェイの瞳)

https://filmarks.com/movies/91056

ジェシカ・チャスティンも本命でした。
もう本人の顔の原型が分からないほどの憑依ぶり。
身振り手振りや話し方まで全て完コピしていたというのが(日本ではタミー・フェイは馴染みがないですが)かなり評判でした。

宗教番組で成功していった伝道師夫婦が徐々に崩壊していくという実在の人物による事件の映画化でした。
今回ニコール・キッドマンも同じような役柄でノミネートされていましたが、ジェシカ・チャスティンが見事に受賞。

本作は日本では劇場公開されておらず、Disney+のみでの配信となってます。
製作は良作で定評のあるサーチライトピクチャーズです。
(旧FOXサーチライト)


◎助演男優賞:トロイ・コッツァー(コーダあいのうた)

https://filmarks.com/movies/96257

トロイ・コッツァーも有力視はされていましたが、すごいです。
ろう者家族の大黒柱としての役柄を見事に演じきっていました。
『コーダ あいのうた』で評価されている点もろう者の役を実際のろう者の俳優が演じているところもあります。
本作はリメイクなのですが元ネタの『エール!』もいい映画なのですが聴者である俳優が演じていたことが批判の対象になってもいました。

この辺りも時代の空気を感じさせる結果だなと思います。
ろう者での受賞は史上2人目で、男性・助演男優賞としては史上初です。
そして過去の受賞者が今回夫婦での妻役だったマーリー・マトリン(1986年『愛は静けさの中に』)でした。
この辺りもドラマチックな展開ですね。


◎助演女優賞:アリアナ・デボーズ(ウエスト・サイド・ストーリー)

https://filmarks.com/movies/81473

こちらは本命中の本命でした。
今回一番固かった受賞ではないでしょうか。
実際、圧巻の踊りと演技でしたし皆が文句なしの受賞だったのではないでしょうか。

プエルトリカンの役でしたが、彼女もプエルトリコとアフリカ系の血を引く女優です。
本作はスピルバーグによるリメイク版ですが、オリジナル版では白人が顔を黒く塗ってプエルトリカンを演じていた経緯がありますが、今の時代はそういうのは完全に批判の対象になります。

そしてオリジナル版で、同じくアニタ役を演じアカデミー賞助演女優賞を演じたのがリメイク版にも登場していたリタ・モレノ。彼女はプエルトリコ出身の女優でした。


<主要部門の受賞結果からの傾向>

今回の結果からは、やはりアカデミーの「多様性に対する姿勢」がはっきりと感じ取れました。
非白人、女性の活躍、障がい者の活躍など白人男性に偏らない意識が感じ取れますし、それにふさわしい作品も多いです。

監督賞は2年連続で女性監督です。(昨年はクロエ・ジャオ)
そして過去2人はアジア系でもありました。(一昨年はポン・ジュノ)

俳優賞は、4部門中の3人が黒人、ラテン系、障がい者でした。

作品賞の注目ポイントもAppleオリジナル作品だったことです。
Netflixは大本命と言われながら受賞できませんでしたが、結局受賞したのは動画配信のオリジナル作品でした。
アカデミー賞では長らく動画配信作品は受賞できていませんでしたが、遂に受賞したというのが大きな変革でした。
アメリカではコロナで映画館が長らく閉鎖していて(日本以上に)、スタッフや俳優の仕事の場として動画配信の作る映画作品は欠かせないものになっていたという社会的背景もあります。

アカデミー賞でも遂に認められる形となりました。


<その他の賞>

https://filmarks.com/movies/82861

その他の賞で目についたのが、『DUNE/デューン 砂の惑星』が技術系の部門をことごとく受賞していたところです。
今回は『パワー・オブ・ザ・ドッグ』が最多ノミネートでしたが、その次がデューンでした。

<受賞した部門>
撮影賞
視覚効果賞
作曲賞
音響賞
編集賞
美術賞

重要な編集賞も含む6部門の受賞で、作品としては最多受賞なんじゃないでしょうか。
ここはSF映画としてのクオリティの高さがかなり高く評価されているってことだと思います。
公開当時はIMAXで真っ先に観に行きました。
パート2の製作も決まったとのことで良かったです。


『ドライブ・マイ・カー』について

『ドライブ・マイ・カー』が今回ノミネートされたのは、
作品賞、監督賞、脚色賞、国際長編映画賞
の4部門でした。


もうノミネートされるだけですごいんですが、結果としては「国際長編映画賞」を受賞しました!
とにかく快挙でした。

とはいえ今回受賞した国際長編映画賞は本命中の本命でした。
ここは一番固いと言われていたところでしたのでサプライズではありませんでした。

脚色賞もいけるんじゃないかと言われておりましたが、受賞したのは『コーダ あいのうた』でした。とにかく『コーダ』の勢いがすごかった印象です。3部門ノミネートで3部門受賞です。

作品賞、監督賞はさすがにハードルが高いところだったのですが、本当にここにノミネートされただけでもすごいことです。
でも日本映画がいつかここで受賞してほしいものです。


ウィル・スミスについて

今回のアカデミー賞で一番のハプニングでした。
毎回何か起こりますね。。

リアルタイムで放送を見てたんですが、最初何が起こったのか分かりませんでした。何かショーの一環なのか、それとも、、って思ってたらどうやら本気で怒ってるらしいし、場の空気が凍りついているのが画面越しにも伝わってくるという修羅場状態でした。
周りの人たちもさぞかし嫌な緊張感だっただろうなと思いました。

ここだけ連日ニュースになってしまっているのがとても悲しいです。
ウィル・スミスは、ホワイトオスカー問題に声を上げて、アカデミー賞に多様性をもたらす動きのキカッケを作って今回は黒人の活躍を描いた作品で見事に主演男優賞も受賞して〜とちゃんと歩んできたのに、ここで台無しにしてほしくないです。
あれだけの場で理性を失ってしまったのはとても残念ですし、アメリカではウィル・スミスに対して否定的な意見が大半なので、今後どうなるか分かりませんが彼には相当な社会的な制裁が待っているでしょう。

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最後に

それにしても今回のアカデミー賞も楽しめました!
ウィル・スミスの一件が後半だったのでびっくりしましたが、最後の作品賞の『コーダ あいのうた』の受賞は盛り上がりました。

今回受賞した作品のほとんどは、現在映画館で鑑賞できたらい動画配信で観ることができます。
どれも良い作品ばかりなので、ぜひこの勢いのあるタイミングでの鑑賞をおすすめします。


最後までありがとうございます。


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