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予期せぬ出会いから|ミラノサローネ2019出張記

はじめまして、杢保(もくぼ)と申します。RippleDesignLab(リプルデザインラボ)というデザイン事務所を営んでいます。

工業デザインを軸として、新商品・サービスの立ち上げや、それにともなうプロトタイプ制作や開発要件固めのお手伝いなどをしております。

さて初めてのnoteは、先日4年ぶりにミラノサローネに行く機会があったので、その話からスタートしたいと思います。

ロンドンに向かう機中で

相変わらず安めの航空券を取った僕は、ミラノへ行くのに、ロンドンの、しかも異なる空港(市街挟んで東西)を三時間半という鬼トランジットを前に、機中でドキドキしてました。(これについては、また回を分けて書こうと思います。)それで隣に座るおじさんに、空港間を一番早く移動できる手段を相談しようと声をかけたのです。

すると、彼はロンドンからではなく、ミラノから来た、レジンを使ってハンドメイドで様々なテクスチャー(木目や大理石を模したものから、全く違うものまで。参考:>>彼が務めるARTIGIANartという会社のWebsite)を作る、マッシモという名のアーティストだったのです。

互いの作品をスマホで見せあって、すっかり意気投合すると、「ミラノのショールームにおいでよ。」って事になり、サローネ期間中にショールームで開かれる夕方のパーティーにご招待頂く事になりました。

こんな世界があるのか、、、。

さてパーティー会場には、建築家、デザイナー、コーディネーター、弁護士、ジャーナリスト、などなど、実にいろんな人で賑わっていて、マッシモはそこらじゅうの人へ僕を紹介してくれました。日本からの方も数名いらっしゃいました。

ところでイタリアの経済事情をニュースで聞く限りは、あんまり調子良さそうには聞こえないですよね?でも、この場、、というか恐らくサローネにバーンとお金をかけて出展している企業って、だいたい絶好調なんですよね。イタリアの南北格差問題は僕らが社会で学んだ通り存在するのですが、潤っている北部の中でも、よりなお際立っている印象を受けました。

内装工事のコーディネーターをやっている紳士から、彼がフロリダで担当した案件について教えてもらったのですが、世の中にはとんでもなくラグジュアリーな世界があって(ビル上層2フロアの個人邸の内装工事で予算3千万”ドル"とか、もぅ意味がわからん。)、その中で確実に価値を発揮しているたくましき小さな企業の姿がそこにありました。

もちろんイタリアの手工芸がすべて潤っているというわけではなく、日本と同じく先細っていく分野があるのも事実です、、、が、ある所にはあるなぁ、、というのが、ちょっと中に覗き見ることが出来た僕の発見でした。

まぁ、でも、そりゃそうなんですよね。サローネの本会場をご覧になった方ならお分かりだと思うのですが、「誰が買うねん??」というくらい、ちょっと形容しがたいくらいゴージャスで、ブース作りやスタッフにもとんでもなくお金をかけている家具や照明の企業が、回りきれないくらい沢山あるわけです。彼らのビジネスが成立していなければ、そんな事出来るはずないで。大体クライアントは中東かヨーロッパ(中でもロンドン)、中国やアメリカの一部だったりするみたいです。

よく市場が大きいとか小さいとかいう話がありますが、そうではなくて、自らが信じた価値を実直に形にして、ちゃんと現代に機能する世界を片隅を見つけ、アピールして生きていく大切さを感じました。


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