見出し画像

【戦争3冊】ナチスは良いこともした?⇒ジェノサイド⇒昭和史は終わらない

一つの書評で
一冊の本を紹介するのは
困難ではない。

でも、一つの書評で、
共通テーマの本を3冊、
見つけてきて紹介するのは、
なかなか難しい。

今日は本屋さんをふらふら
回游していたら、
気になっていた本に出会った。
それも3冊も出会ったんです。
これはもう奇跡。
書くしかありません(笑)。

一冊は、
『ナチスは良いこともしたのか?』
ちょうど土曜の新聞の書評で知り、
気になっていたんです。

ナチスは良いこともした?
みなさんはどうお感じですか?
あの車のフォルクス・ワーゲンや
高速道路アウトバーンは、
ナチス時代に国策として、
雇用率を上げるために
ナチスがしたことです。
良いことも、きちんと評価しないと
という議論はこれまでも
沸き起こっては消え、
消えては沸き起こってきました。

アウトバーンの建設と
ユダヤ人やロマ族に対する
虐殺行為は、
等価交換で簡単に比べて良いのか?
また、優生思想による
障がい者への避妊手術は、 
ワーゲンの設計と同じ座標で
比較することが可能なのか?

こうした疑問は素人の私でも
わかりますが、
本を読むと、もっと明確に
ナチスは良いことをしていない
という事がわかります。

アウトバーン建設には、
侵略した国の捕虜たちが
たくさん酷使されていて、
そうした捕虜の人々の力によって
アウトバーンは建設されていました。
つまり、アウトバーンの建設は
良いことかもしれませんが、
侵略した国の人々の労働力に
よっていたのなら、
「良いこと」とは呼べないですね。
ただの収奪と独裁です。

ワーゲンの生産も、
やはり同じように、
大量の労働力が投入されましたが、
その労働力の大半は
ユダヤ人やポーランド人など、
ナチスによって連行された人々に
よるものだった。
そうなると、ワーゲン誕生も
手放しで「良いこと」だったと
言えるのか考え直す必要が…。

それにしても、
ナチスも良いことをしていた!
という議論が、欧米で
絶えず沸き起るのは、 
自虐史観に反発する日本の
修正主義者みたいな人々が
欧米にも、それなりに
いるということかあ…。

さて、
今日はもうひとつ、
戦争について無縁ではない本に
出会いました。

シベリアに8年も抑留され、
復員後、活躍した詩人、
石原吉朗のエッセイと詩を集めた
『石原吉朗セレクション』。

この本の冒頭には、
大量虐殺について触れる文章が
配置されています。
やはり、石原吉朗といえば、
シベリア抑留は一番最初に
知っておいて欲しい、
そうした編者の気持ちを感じます。
「ジェノサイド(大量虐殺)という言葉は、私にはついに理解できない言葉である。ただ、この言葉のおそろしさだけは実感できる。ジェノサイドのおそろしさは、一時に大量の人間が殺戮されることにあるのではない。ひとりひとりの死がないということが、私にはおそろしいのだ」
凍土シベリアに8年も抑留され、
強制労働させられ、辛うじて
生還できた石原吉朗ならではの言葉。
ジェノサイドなどと、
つい戦争の話では知ったつもりで
口にしたり書いたりしますが、
改めて考えさせられます。

それから、もう一冊。
最近、気になっている雑文家で
平山周吉さんという人がいます。

映画監督・小津安二郎の評伝や
評論家・江藤淳の評伝で、
地味ではありますが、
昭和の文化や戦争について
優れた仕事をしてる人で、
もと新潮社の編集さんです。

そんな平山周吉さんの
最新作『昭和史百冊』。
昭和史について書かれた、
100冊の本を紹介してるのかあ。
平山周吉さんなら
きっと面白い本、間違いなし。
ほぼ瞬間的に買うと決めました。

本当は、若い頃から、
こうした本を私自身が書いて
昭和の語り部になりたかったのですが
どんなことを書けばいいのか?
分からないまま、53歳に…。
さあ、平山周吉さんに
勉強させてもらいますね。

それにしても、この本は
昭和の本、ではなく、
昭和史の本、が百冊なんですね。
普通に書いていたら、
カロリーが重たくて重たくて、
途中で読むのを止めてしまいますね。
そうならないためには、
文章やセンスが大切。
まあ、平山周吉さんの腕前を 
ちょいと見せてもらいましょう。

どんな本か
目次だけでもご紹介して、
しめさせて頂きます。

『昭和史百冊』
1章
まずは十二冊で昭和史を掴む
2章
日本はなぜ開戦したか
3章
戦前日本社会へタイムスリップ
4章
陸海軍と銃後と総動員
5章
大日本帝国の拡大と破綻
6章
天皇陛下の存在とタブーの拘束
7章
個人的な昭和史
8章
占領期は「戦後」か
9章
昭和史本評判記
10章
昭和史は終わらない

どうですか?
読みたくなりました?
読みたくなった方は
昭和にハマりやすい体質ですね。
良かったら、私と
仲良くしてください(笑)。

この記事が参加している募集

推薦図書

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?