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【養老孟司】作者の意図を読み間違えて、嗚呼、20年!?

養老孟司先生。
30代はいつも鞄にいれてました。
『バカの壁』『死の壁』『自分の壁』
『からだの見方』
『解剖教室へようこそ』
『無思想の発見』などなど。
人間には「フツウ」という概念はない。
生物はみな、違いがある。
だから、フツウはない。
それを解剖学の学識を背景に
様々な例えをしながら、
教えてくれた先生でした。

とりわけ養老孟司の名前を
世に広めた平成最大のベストセラー
『バカの壁』の印象は
衝撃的でした。

それがあまりに売れたので、
壁シリーズは次々と発売された。

バカの壁、
超バカの壁、
死の壁、
自分の壁、
ヒトの壁、などなど。

養老孟司は、
人間世界には、
不要な存在も、
役に立たない存在も、
生物の世界には必要だ、、、、
つまるところ、
人間はみな、無駄なことばかり
してるだけでもいいんだよ、
世の中に評価されたがるオノレの 
虚しき欲求を許してやろう!
フツウなんて、世の中の
ただの同調圧力なんだから。

そんな話を、
2003年、平成初期以来、
ずっと言ったり書いたりしてきた、
先駆けでした。

どうしても世の中から
はみ出してしまう部分に困り果て、
どうしたらいいのか、悩んでいた時に
すごく支えてくれた恩師でした。

ところが、ここ数年、
パタっと読む機会が減りました。
先生の説法はだいたい
読まなくても分かる気が
していたんですよ。
これこそ、オゴリという奴ですが(汗)。

今は、以前に比べて、
世の中が、同調圧力を
知ってしまいました。
フツウはない、ということも
世間はわかってしまいました。

だから、正直、
養老孟司を読まずとも、
養老先生が20年、
口を酸っぱくして 
書いたり言ったりきたことが
今は随分と馴染んできました。

さて。
そんな元恩師の養老孟司の文庫を
今日は何気なく手に取り、
なんだか、電気が走りました。

養老孟司は、
フツウはないとか、
世の中という同調圧力は
フィクションだ、
といっていた訳ではなかった、、、、
今までは、養老さんの本を
私は私が読みたいように、 
グイグイと身勝手に、
へし折り曲げて読んでいたんだ、
ということに
気づいてしまったんです。
ビビビって電気が肘を走りました。

養老孟司さんは
もっとひねくれた見地から、
人間の姿をむき出しに捉えようと
言ってきた人だったんだなあ。
なぜか、今日はすっと、
そんなメッセージがすっと
頭に入ってきました。
マジ?
やべー!

恩師の話に、きちんと
襟を整えて読んでなかったのかあ。

読書する以上、 
本の著者のメッセージを
自分に引きつけて読む
という傾向は誰でもあるでしょう。

でも、著者がシロと言ってる事を
読者である私はクロと信じて
読んでいるとしたら、
その読書態度は、
褒められたもんじゃあない?
かもしれませんね。

養老孟司さんを
たぶん、20年以上読んできて、
まさか、ずっと的はずれに
読んできたなんて、、、。

今日はちょっと、 
自分の誤読ぶりに
あっけに取られた日でした。

とはいえ、
30代40代に毎晩、親しんだ
温かい恩師的な存在がいた、
ということは、
やはり幸せだったことには
まちがいありません。

養老先生がいなかったら
もっともっと苦しかったに
ちがいありませんから。

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