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【編集の悩み】私は売上的には、残念な編集者でした。

私は売り上げとしては
残念な編集者でした。

漫画家が描きたいことがあれば、
ほぼ100%「それでいきましょう」
と私は言ってきました。

そう言ったからには、上の人間には
何としてでも、許諾をもわらねば
なりませんが、
作家が描きたいというなら
きっと体重をのせて
描いてくれるでしょう。

まあ、本音を申せば、
ノーと言えなかったからかなあ。汗。

マンガ編集者には、大きく分け
2つのタイプがあるようです。

①スターター型編集者と
②リリーフ型編集者です。

新人を見つけ、
設定の相談もとことんやって、
アレコレ決めてから、
連載という船をスタートさせる。
この①のタイプが一般的なイメージ 
ではないでしょうか。

②のリリーフ型は、
連載の途中から担当となり、
作品の世界観を守るべきは守り、
イメチェンすべきは変える。
そんな野球で言うリリーフです。

私はそんなどちらでもありません。
小さな出版社で、
雑誌も出していなかったから、
いきなり書き下ろしを依頼するか、
20年前、やっと作った
会社のホームページのスペースで
漫画やエッセイを掲載する、、、
これなら、無名の作家では、
誰も読みに来てくれないかなと
思ったので、とにかく
人気作家、大作家に
書いてもらうしかないと思って、
無茶ぶりなアタックをするしか
ありませんでした。

多分、私はこの手法が
知らず知らず「基本体系」に
なってしまったんです。

おかげで、新人を育てるような
「鬼滅の刃」や「進撃の巨人」を
手掛けた方々のような、
クリエイティブな編集者には
なれませんでした。

もうすっかり名を成した作家に
エッセイでも短くてもいいので
何か書いてくださいと依頼に行く、
これは、若い頃から作家を
信じてやってきた馴染みの編集には
面白くないですよね。

その馴染みの編集にも
しっかり配慮しながら、
その人気作家に、
俄ながら信頼してもらうには
どうしたらいいか。

最初から人気の高い作家に当たり、
信頼を勝ち取るのも
それなりにギャンブル。

もちろん、無名の新人に
作品を描いてもらうよう、
連日打ち合わせするのも、
また、多いにギャンブル。

私は前者でしたから、
仕事の一番のエクスタシーは、
人気作家に、
あなたと仕事しましょう、
と言ってもらえた瞬間でした。

おかげでたくさんの
人気作家と会ったり、
一度だけお仕事したり、
連載のお仕事をしてくれたり。

もちろん、そのぶん、
そうして会えた作家たちの
100倍の人には、手紙を書いて
断られているのですが。

OK下さった漫画家も
大手出版社では、
描かせてもらえないような
ニッチなテーマを希望します。
私にはそれに乗るしか
道はありませんでした。

いや、漫画家の希望に
だめだししてでも、
いかにも売れそうな
王道な漫画を描いてもらう
べきだったかしら?

編集部から離れて3年。
少し冷静に、編集とは
どうあるべきか考えてしまう。

これはきっと死ぬまでずっと
考え続けてしまいそうです。

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